かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ベティの小さな秘密』 Je m'appelle Elisabeth
2008年 10月 10日 |
小さな小さな冒険を思い出す。

10歳少女のベティは、父が院長を務める精神病院の隣の敷地で、父母と仲良しの姉と4人で暮らしていた。



真っ赤なコートがよく似合う可愛いベティちゃんの物語。イメージ通りのラブリーな映画。舞台は60年代ということで、そういわれてみれば現代とはずいぶん違う風情の日常なんだけど、そんな時代設定ということに気づかないほどに、ベティの住む世界はおとぎ話の色を帯びていて。それは、ささやかな日常の物語に過ぎなくて、空も飛べないし、妖精が現れるわけでもないというのに。感受性豊かな少女が不安の中で毎日を過ごしていると、何だか今にも、森の木陰から魔法使いが出てきそうな気もしたりして。そんな雰囲気がいい感じ。

毎日仲良くしていた歳の近いお姉ちゃんが寄宿学校に入ることになってベティは途端に寂しくなる。もっと両親がベティのことを気にかけてくれたらいいのだけど、大人には大人の問題があって、子どもの寂しさを慮る余地もなく。そして、ベティは空想力の翼を広げ、自分の世界でささやかな冒険をするのだった。子どもの頃って、ちょっとしたことで大きな恐怖にかられたりするものだよね。遠い昔のことなのに、その頃の心細さは今も鮮明に憶えていて、繊細に綴られるベティのせつない思いに、心寄り添ってしまうの。少女映画って、やっぱり好きなのだ。

『ミツバチのささやき』にオマージュを捧げているのだって。なるほど、そんなテイストがとても好み。そして、この監督は、『千と千尋の神隠し』からもインスピレーションを得たのだそう。このベティの世界はあくまでも現実のもので、千尋のようにあっちの不思議な世界に行くことはないのだけど、そういうファンタジーの香りがするのはそんな影響もあるんだね。私も結局、一度たりとも不思議の国の方へ行けたことはなかったけど、しょっちゅうその入り口の存在にドキドキしていたような気がするな。現実は変わらなくても、クルリとファンタジー世界に足を踏み入れてしまいそうな狭間感覚が好きなの。脚本は『アメリ』を手がけた人ということにも納得。

お姉ちゃんは遠くに行っちゃったし、パパとママは何だかしょっちゅうケンカばかりしているし、仲良くなった転校生の男の子にも傷つけられてしまう。ベティのやるせない思いにハラハラと胸を痛くなるばかり。そして、精神病院から抜け出した青年イヴォンに遭遇し、彼を匿うエピソード。自分が10歳の頃には、たぶんそんなことはできなかっただろうな。精神病院に入っていた人というのは何だか怖いと思ったはず。だけど、ベティは勇敢で優しい女の子だったのだ。寂しい思いをしていた少女が、誰かに何かをしてもらうことに期待するのはやめて、怯えた青年のために自分が何かをしてあげなくちゃと奮い立つ。そんな出来事を経て、ちょっぴり大人に近づいたベティの姿には微笑まずにはいられない。ホッ。

数ある子ども主人公映画の中では、ストーリーはずいぶんシンプルで地味。大冒険もしないし、大感動が訪れるわけでもないから、一般的には物足りない映画というジャッジをくだされるタイプかなって。それでも、ヨーロッパの子どもものは私好み。
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by CaeRu_noix | 2008-10-10 21:14 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(6)
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Tracked from 晴れたらソファで何を見ようか at 2008-10-16 00:45
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Commented by moto at 2008-10-11 23:41 x
最後の台詞にドキドキしました。
あぁだからJe m'apelle Elisabethなのかと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-12 00:25
moto さん♪
こちらもご覧でしたか。
ベスもそうだけど、ベティもエリザベスの愛称なんですよねぇ。
そうそう。大人から見たら、小さな子どもなんだけど、実際は案外としっかりした意思をもっているんですよね。
子ども扱いしてばかりいちゃいけないのかもしれません。
えりざべすったら、女王な名前だし。気高いのです。
Commented by ぺろんぱ at 2008-10-26 21:34 x
こんばんは。

私は昨日観てまいりました。
『ミツバチの・・・』へのオマージュがあったとか、、、私も本作を観て、その作品を想起しました。
しかし別ステージで、それぞれに佳き作品であったかと思っています。

でもエリザベスと呼ばれなくても、ベティは立派なレディでしたよねー(*^_^*)。
いい作品でしたぁ!確かに「物足りない感」は否めないものの(拙ブログでも書きましたが、確かにその感は否めませんね・・・)、ぞれでも何だか私はとても気に入ってしまいましたぁ・・・!(*^_^*)

少女映画で最近“ハズレがない”ことにも嬉しい私です。

Commented by CaeRu_noix at 2008-10-27 00:27
ぺろんぱ さん♪
ミツバチのささやきに通じる少女映画ってみーんな大好きです。
親世代になっても、いくつになっても、小さな少女の不安・恐怖に思いっきし感情移入できちゃう私ですが、ぺろんぱさんも?
本当にベティはステキなレディでした。大人に頼らないのもカッコイイ。
こうやって、子どもは大人になっていくんですよねぇってキューン。
東京では結構すぐに上映回数が減っちゃって、今月いっぱいで終わります。人気はなかったかなぁって感じなんですが、私としてはとても好みのタイプでしたー。ささやかなメルヘン加減がすごくツボ。
ぺろんぱさんにも気に入っていただけて嬉しいっす。
少女映画も少年映画もいい作品ばかりですよねー。
あと、ヨランド・モローがよかった!
Commented by jester at 2008-11-06 14:52 x
かえるさん、こんにちは~
この映画、とっても気に入って何回か見ました。
もう終わっちゃって淋しい限りです。
なんか、キャストからストーリーからお屋敷のインテリア、ベティのファッション、すべてつぼでした。
ひたむきなベティの姿に涙・・・・でございました。
周りの混濁に気がつきながらも、自分はピュアのまま、大人への道を歩き始めてるベティに共感しっぱなしでございました♪
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-07 00:19
jester さん♪
きゃー、2回どころではなくて、何回かご覧になったのですか?!
そんなに気に入ってもらえたなんて(何故か私が)とても嬉しいですー。
私もねぇ、こういうミツバチのささやき系の繊細少女映画は大好きなんですよー。
おとぎチックなロケーションもファッションもステキでしたよねー。
本当に自分の年齢を忘れて、小さなベティにめいっぱい感情移入しちゃいましたよ。
仲良くなった転校性の少年に酷いことをされた時は哀しくて泣けちゃったしー。
jester さんは、そんなにフランス映画はお好きじゃないのかしらん・・って思うことがわりとあったので、本作がそんなにツボだったとは感無量であります♪
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