かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『コドモのコドモ』
2008年 10月 14日 |
チョーウケル。ね。

小学5年生の春菜が妊娠?



小学5年生がニンシーンだなんて、全国のポール・トーマス・アンダーソンたちに反発を受けちゃいそうな題材をよくぞ映画化に踏み切ったものだ。原作の漫画の方は打ち切りのような格好で連載が終わったということなのに。萩生田監督は、温和そうな風貌に見えるのだけど、案外と気概のある人なんだなぁと好感度アップ。主題歌は奥田民生っちの書き下ろしというのがまた素晴らしい。私の中では、監督の雰囲気とタミオさんの風貌のイメージがなんとなくちょっとかぶるのだよね。ほんわか系。

16歳の高校生が予期せぬ妊娠をした物語『JUNO』はお気に入りで、そのテーマに大きな感動を覚えた私は、当然のごとく、本作にも大いに感動しちゃったな。感動のツボはたぶん同じようなところ。少女の妊娠・出産問題はさておき、一つの困難に見舞われた主人公を、周囲の人たちが一丸となって応援し助け合う姿に心うたれずにはいられないの。JUNOの場合は、主に両親の存在が肝要だったのだけど、こちらの場合は、大人は蚊帳の外というのが興味深いところ。子どもたちの団結というのもまた心揺さぶるものなのだった。

小5の娘が妊娠してどんどんお腹が大きくなっていくのに、あんなにいいお母さんがそれに気づかないというのは絶対にありえない。絶対にありえないから、もうこれはファンタジーとして受け入れられてしまうんだよね。とにかく、そんなことが起ってしまった時に、皆はどうやってその事態に立ち向かえるだろうかっていう話。普段は取り立てて結束が固い仲間たちというんでもないし、むしろ仲がよくもなかったりするクラスメイトたちが、緊急事態に手を取り合って、その山場を乗り切ろうと奮闘する様に感動するのだよ。

キャラクターが真逆で、主人公の春菜とは仲がよくはなかったはずのしっかり者優等生な学級委員長みかちゃんが、この春菜の危機に際しては、率先してその場を取り仕切ってがんばってくれたことが素晴らしい。大人ははたして、日頃の蟠りを忘れて、困っている仲間のためにがんばることができるだろうかと思う。現実的には、後ろめたさを感じて、大人に告げ口せずにはいられない子も一人や二人はいるかもしれないし。今の社会、どこの共同体も、こんな風に皆がまとまり協調することって、難しいかもしれない。そんな思いもあるからこそ、このファンタジー世界の一致団結が輝いて見えるの。一つの生命誕生の歓びを皆で分かち合えるなんて、ステキじゃないの。

と、ただただ感動させられるばかりじゃなくって、問題はのしかかるから、考えさせられる。映画の中でも、PTAの皆さんは、同じことにばかり手厳しい。子どもたちの感動の団結出産シーンを目撃した私は、メデタシメデタシという気分になったのに、学校では臨時の集会が開かれて、教師たちは弁明をしなけらばならない。コトはすんだのだから、もう温かく見守りましょうというわけにはいかなくて、責任追及に暇がない。ファンタジーなドラマにおいて、ここんところの現実味にはため息。そして、世間の目から逃げるようにヒロくんちが去っていくのも悲しいなぁ。でも、これが日本の社会の現実なんだろうね。

おばあちゃんの温かさにも心うたれたなぁ。コドモを正しく躾け教育するために一生懸命な親の厳しさを和らげる祖父母というものがいてくれるといいね。力み過ぎていて危なっかしいほどの麻生さん扮する女教師の役もなくてはならないものだったよね。その思いはわかるんだけど、賢いやり方には見えない。でも、その愚かさや感情的になっていく姿がやけにリアルで突き放せなくなったりもした。登場人物それぞれに考えさせれるものがあり。思考ポイントも感動どころもいっぱい。今年観た子どもを描いたもう一つの邦画『闇の子供たち』のような子どもがいることを思うと、私はこっちのコドモたちの姿に心底幸福感を覚えるよ。
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by CaeRu_noix | 2008-10-14 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(0)
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