かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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第21回東京国際映画祭 鑑賞メモ その1
2008年 10月 23日 |
東京国際映画祭開催中で通い倒し中ー。



というわけで、記事更新もできずにいます。
というか、更新する時間もなかったのは、映画祭通いのせいというかその後に飲みに行っちゃうからだという話もあるんですが・・・。
別のことで体力と時間を消費しているようなようなような。
ということなんだけど、とりあえず映画祭鑑賞作のメモメモ何度かに分けてしてみるの巻。

世間一般的な盛り上がりどころは、まずゲストがやってくる特別招待作品部門なのだろうけど、私としては、そのうち普通に劇場公開される作品を映画祭で観る必要はなく、日本では一般公開には至らないけれど、世界の映画祭で賞を取っているような秀作を劇場鑑賞することができるということこそが魅力なのです。国際映画祭なんだから、世界各国の映画を観ようよー。ヤタベさん、ありがとうー。

--鑑賞作品-- その1 まず、アジアあたり

『カイロ中央駅』 エジプト (アジアの風)
 BAB AL-HADID  1958  (アラビア語)
監督:ユーセフ・シャヒーン
出演:ユーセフ・シャヒーン、ヒンド・ルストム
去る7月に亡くなったエジプトの巨匠の初期の傑作。
レモネード売りの魅惑的な美女に恋した新聞売り青年のお話。
主演は監督自身だとは知らずに鑑賞、大熱演。駅の活気と喧噪、人々のエネルギーが素晴らしかった。物語そのものは何とも悲しいのに、パワフルな作品でした。

『私のマジック』  シンガポール  (アジアの風)d0029596_403784.jpg
 My Magic  (タミル語/中国語)
監督:エリック・クー
出演:ボスコ・フランシス、ジャテスウェラン
シンガポール初のカンヌ映画祭コンペ出品作。
マジシャンのインド系シンガポール人父息子の物語。
マジックものの映画もいろいろだけど、ここでのマジックは体を張るタイプ。火を食べちゃったり、グラスを食べちゃったりするシーンは観ているこちらの方がドキドキ。主演は監督の友人の本物のマジシャンなのだけど、そういう芸風なだけに、格闘家のような巨体な風貌(黒いコニシキみたいな・・)決して目の保養にはならない鑑賞ではあったのだけど、見ているうちにその主人公を応援せずにはいられなくなり、親子愛に胸をうたれてしまうのでした。ゲストにも来てくれて、劇中にも登場した燃える財布を見せてくれたり。この映画をきっかけに仲のよくなかった息子と仲直りしたというお話もよかったです。先日シンガポール映画の福建語作品を観たのに続き、今度はタミル語を話すインド系の人の物語を観られて興味深かったです。「MAGIC」とは必ずしも魔法的なものではなくて、人間の精神力で成し遂げられるものなのかもというあたりも面白く。息子の健気さがとにかくのポイントでラストシーンは感動ー。

『ムアラフ-改心』  マレーシア  (アジアの風)
 Muallaf (英語/中国語/マレー語)
監督:ヤスミン・アハマド
出演:ブライアン・ヤップ、トニー・サバリムトゥ、シャリファ・アマニ・サイド・ザイナル・ラシッド
一昨年のTIFFの大収穫といえば、ヤスミン・アハマド作品に出会えたことだったわけで。追加発売時にチケット買えてよかった。また、シャリファ・アマニに会えるのは嬉しく。
シンガポールに続き、多民族の国マレーシアの人々の暮らしは、日本人から見ると興味深くて、ヤスミンの作品には常に自分の日常にはない気づきの物語があるのだよね。いつもロング・ヘアーだった彼女がベリーショートで登場することに驚くのだけれど、それがまた一つの伏線になっていたりして。ブライアン目線で、アニとアナという一風変わった姉妹の姿を見守りながら、次第に寛容なるものに包まれていくの。ユーモアにあふれたその躍動的なテンポはやっぱり爽快。
民族のことにしろ、宗教のことにしろ、そこにある境界を取っ払おうとするヤスミン作品の姿勢が大好きなの。ムスリムの彼女が、キリスト教に背を向けるようになった彼の心に変化をもたらすなんて。アラーの神が絶対だとか、イエスを尊べとかそういうことではなく、お母さんに酷い口の聞き方をすることが悲しいことだと思えることは大切だし、憎しみを溶かし赦すことができるのは素晴らしい。そんな宗教観というか、信仰についてのアプローチがよいなぁと感銘を受けるの。経典を丸暗記するだけじゃなくて、実感してその教えを理解することができたなら。仲の悪い同僚であっても、仲間の情報を悪い奴らに売ったりしない信念は、神の名を口にしながら武器を手にすることよりよほどにステキだし。

『世界の現状』  多国籍オムニバス (アジアの風)
 O Estado do Mundo
監督:シャンタル・アケルマン、ワン・ビン、ペドロ・コスタ、ヴィセンテ・フェラス、アピチャッポン・ウィーラセタクン、アーイシャ・アブラハム
「Luminous People」 Apichatpong Weerasethakul
「One Way」 Ayisha Abraham
「Germano」 Vicente Ferraz
「Brutality Factory」 Bing Wang
「Tarrafal」 Pedro Costa
「Tombe'e de nuit sur Shanghai」 Chantal Akerman
カーボベルデにどうたらこうたらと、コスタは常にコスタ。僧侶の装束でウィラーセタクンのものを判別したりとか。今日なテーマ的にもドラマ的にも面白かったのは漁師もののブラジルのやつかな。アケルマンの眠らない街上海の夜景と音楽も感覚的に好きだったり。

『アンダー・ザ・ツリー』  インドネシア (コンペティション)
 Di Bawah Pohon (インドネシア語)
監督:ガリン・ヌグロホ
出演:マルセラ・ザリアンティ、ナディア・サフィラ、アユ・ラクスミ
それぞれの事情を抱えてバリ島を訪れる3人の女性。
異国情緒あふれる素材がとても好みで前から観たかったヌグロホ作品をようやく鑑賞。ケチャに興奮。複数の人々の物語という構成も好みな感じ。だけど、画面の暗さのせいかたびたび眠くなり。迫力いっぱいのケチャのシーンももうちょっとぶっ続けで観たかったなぁと思ったし、バリ島ならでは神秘性、舞踊と母性というテーマが相乗的に盛り上がったように感じられなかったのは残念。

そんなこんなで充実のアジアな映画。
その他では、特集されていたパレスチナの名匠ラシード・マシャラーウィ作品なども気になり。
人気絶倒のパン・ホーチョン監督作品なども一度観てみたくなったし。
チアン・ウェン監督作品の『陽もまた昇る』も都合が合えば観たかったっす。

そういえば、『私のマジック』の主人公はアル中で情けない醜態をさらしていたり、『ムアラフ』ではお酒が人を悪人に変えると言及されていたりしたけれど、私はそこのところを教訓にするべきだったのかなぁ。みんなお酒のせいなのーっていうことでもないんだけどね。フェスティバルってことで?飲んでばかりー
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by CaeRu_noix | 2008-10-23 07:34 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented by kusukusu at 2008-10-24 00:51 x
今晩は。
シャヒーンは最初、俳優志望だったのが、ハンサムではないので主役の俳優になれないので俳優を諦め演出家、映画監督の道を進むようになったそうなんですが、そうしたコンプレックス(?)をバネにして監督、主演でこんな映画を撮り上げたとはあっぱれですね。
この『カイロ中央駅』はミュージカルではないけれども、ヒロインが踊りながら売り歩くシーンなどミュージカルっぽくて、後のシャヒーンのミュージカル映画の片リンがうかがえました。
というか、このパワフルなヒロインはその存在自体がほとんどミュージカルです(笑)。特に、水浸しになってはしゃぎ回るヒロインの姿はまばゆいばかりで、主人公の青年がいかれてしまうのもよく分かりますね(笑)。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-25 07:20
kusukusu さん♪
なるほど、最初は俳優志望だったんですね。
監督が兼ねている割には、すごくウマい演技だなぁって思ったんですよ。(他のキャストの演技は幾分、大げさに感じられたのに比べ) 素晴らしいですね。
シャンテの特上でやっていた『炎のアンダルシア』も観たかったのだけど観られず、亡くなられた後に、作品初鑑賞という形になっちゃいましたが、ミュージカルも是非観たいですー。アラブなミュージカルももっと観たいですー。(アラブ映画祭でちょっと観たことがあるくらいなので。)
みんなちょっと濃すぎ・テンション高すぎと思えるほどに、エネルギッシュな人たちでした。なるほどー、ヒロインは私好みではなかったけど、主人公の思いに共感せずにはいられない魅力を放っていたんですね。w
こういう主人公の場合、同情の対象となる無垢な善人として描かれることが多い気がするんですが、そうではなかったのがとても面白かったです。悲しいお話だったけど。
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