かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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第21回東京国際映画祭 鑑賞メモ その3
2008年 10月 25日 |
鑑賞メモ その3  その他の地域(ヨーロッパ以外あたり)d0029596_20104524.jpg



『トルパン』 ドイツ/スイス/カザフスタン/ロシア/ポーランド (コンペティション)
 TULPAN  (ロシア語/カザフ語)
監督:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ
出演:アスハット・クチンチレコフ、サマル・エスリャーモヴァ、オンダスン・ベシクバーソフ
今年のカンヌ映画祭で「トウキョウソナタ」が審査員賞を取ったある視点部門の大賞受賞作で、大自然もの、遊牧民ものといったら、必見でしょう。遊牧民ものは好んで観てきたけれど、大方はモンゴルが舞台のものだったから、カザフスタンの物語というのは新鮮。モンゴルだとゲルなんだけど、ここではユルトなんだー。
大好きな羊の群れの映像もいつもだと長閑さを感じるものなんだけど、ここでは、走るように移動する羊たちがかなり接写で撮られていて、その力強さに冒頭から心つかまれる。爆笑問題太田風味の主人公が求婚に行った家でそこの両親に何やら真剣に蛸の話をしている姿も妙におかしかったりして、不思議な個性が感じられて。駆けずり回る次男坊の無邪気さも竜巻の迫力も何もかにも圧倒されるの。コミカルさとほろ苦さの配分がとてもいい感じ。長女の歌も心に響いたし、羊の出産シーンはそれはもうもう感動したなぁ。こんなのよく撮れたなぁって思ったんだけど、撮影期間は足掛け4年というから納得。そこまでの熱意で撮られた作品ゆえの素晴らしさ。ラクダ母さんの執拗さも泣けた。そして、フドイナザーロフ風味。
祝☆サクラグランプリ

『プラネット・カルロス』 ドイツ (コンペティション)
 PLANET CARLOS  (スペイン語)
監督:アンドレアス・カネンギーサー
出演:マリオ・ホセ・チャベス・チャベス、クリステル・ソフィア・サンチェス・エルナンデス、キャサリン・メルセデス・モリーナ・セラジャ
監督はドイツ人でドイツ製作の映画なんだけど、ニカラグアで現地の人々を起用して撮られたもの。ニカラグアに1年住んでこの題材を取ることにしたという、こちらもまた真面目な姿勢のもの。ほとんど素人な出演者たちなんだけど、その等身大な感じがよかったなぁ。本当はもっと貧しい暮らしをしている人たちもいるということだけど、この物語に登場するカルロスくんたちは、明らかに観客の憐れみを誘うような層ではなくて、貧しいながらも精一杯それぞれのよろこびを持ちながら暮らしている。カルロスくんが友達たちとモメる姿にハラハラしつつも、彼のたくましさにただただ微笑んでしまう。お母さんのパワフルさも印象的。とりわけインパクトのある映画でもなかったけど、好きなタイプの日常もの。ニカラグアの人々の暮らしというのは身近じゃないので興味深く。

『スリー・モンキーズ』 トルコ (WORLD CINEMA)
 U"c, Maymun
監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
出演:ヤヴズ・ビンギョル、ハティジェ・アスラン、アフメト・ルファト・シュンガル
2008年カンヌ映画祭監督賞
見ざる言わざる聞かざるが世界的なものだなんて、この映画のことを知った時に初めて認識。ここでのそれは教訓ではなく止むを得ない処世術という感じで、シニカルなもの。父がボスの身代わりに受刑したことが始まりで、家族3人の間に波風がたっていくという物語。「粘着質でディープな演出センス」と表現されていることに納得せずにはいられない独特のテイスト。美学の感じられる映像の質感はとても素晴らしく好みで、人間の愚かさが見えるスリリングに不穏な物語が、そういうタッチで冷徹に執拗に描かれていることがたまらなく魅力的。快いドラマではないのに、この演出、映像センス、才覚には惚れぼれしてしまう。世界の映画祭で何度も受賞しているのも納得で、ようやく監督作品を見ることができてよかった。美しいあのお母さんがあのオヤジに恋するところだけは私には謎だったので、あの役はダンディな人の方がよかったなぁってのが唯一。ケイタイの着メロづかい面白すぎ。

『パルケ・ヴィア』 メキシコ (WORLD CINEMA)
 Parque vi'a  (スペイン語)
監督:エンリケ・リベロ
出演:ノルベルト・コリア、ナンシー・オロスコ、テザリア・ウェルタ
ロカルノ映画祭金豹賞
大金持ちのお屋敷が売却されるまでそこに管理人として暮らす男の物語。孤独で単調な毎日だけど、仕事として大邸宅で暮らせるというのは確かに手放せない生活になってしまうものかもしれない。別段に魅力的なキャラでもない主人公の、淡々としたドラマなのに、何がが起りそうな予感に引っ張られるように興味深く見入ってしまうのだった。こういうタッチでシンプル、ミニマムなつくりのものって結構よく見かけるなぁって。

『レイク・タホ』  メキシコ (WORLD CINEMA)
 Lake Tahoe  (スペイン語)
監督:フェルナンド・エインビッケ
出演:ディエゴ・カターニョ、エクトル・エレーラ、ダニエラ・ヴァレンティーネ
ベルリン映画祭アルフレッド・バウワー賞
車の修理をするために駆けずり回る青年の1日。『ダック・シーズン』の監督作品だもの、とてもラブリーな作品。この映画祭では、日本語字幕が右に出るものが多く左寄りの席の方が見やすい感じだったのだけど、たまたま本作は前の方の中央の席だったのが大正解で、(字幕は下だったし)シネスコな大画面のど真ん中からそのショット、構図を眺めるのがめちゃめちゃ気持ちよかった。画的には素晴らしく好き。『ダック~』はモノクロだったけど、こちらはメキシコの田舎町の風景にポップな色が浮かんでいるのがまたいい感じで。この、間の多い独特のテンポがオカシイんだよね。トホホ主人公の右往左往が微笑ましいったらありゃしない。これをスクリーン5で観られて嬉しく。好き度の高い愛おしい作品なり。カンフーオタクのキャラがよろし。犬の散歩シークエンスは最高。
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by CaeRu_noix | 2008-10-25 08:11 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(2)
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Tracked from It's a wonde.. at 2008-10-30 23:09
タイトル : 「トルパン」
 2008年/ドイツ、スイス、カザフスタン、ロシア、ポーランド  監督/セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ  出演/アスハット・クチンチレコフ      サマル・エスリャーモヴァ  カザフスタンが舞台のお話っていうのも珍しいなあ、と思って東京国際映画祭で観賞。サクラグランプリを受賞しましたね。おめでとうございます。  海軍の兵役を終えたアサは、姉のサマルが嫁いだ家に身を寄せる。姉の夫は遊牧民としてカザフの草原で暮らしていた。そんなアサが羊飼いとして一人前になるには、結婚しなければならなかっ...... more
Tracked from シャーロットの涙 at 2008-11-02 12:05
タイトル : トルパンTULPAN 〜TIFFにて
雄大なカザフスタンのステップ地帯で生きる遊牧民一家の物語 ... more
Commented by mayumi-68 at 2008-10-29 22:39
かえるさん、こんばんは~。
私も「トルパン」観ました!祝★サクラグランプリ!
去年の「迷子の警察音楽隊」に続き、唯一観賞した作品がグランプリ・・・ということで、なんだか得したような気分になってます(笑)。
そういえば、受賞時に監督がコメントしていたらしいんですけど、撮影終了後にキャストの少年が事故で亡くなったとか・・・。誰だろう?と思ったんですけど、あの少ないキャストの中で少年というと・・・サマルの長男役の子しかいないなあって思いました。その後日談はちょっと悲しかったです。
Commented by CaeRu_noix at 2008-10-30 02:22
mayumi さん♪
おお、唯一の鑑賞作がグランプリ受賞だなんて素晴らしい。
それも二年連続とは、鼻がききますね♪
少年が事故で亡くなったというのは私も読みました。
そうか・・・。深く考えなかったんですが、あの少年ということですかね・・・。
あんなに元気な姿を見せてくれていたのに、、、と思うと悲しいですね。
逆に、彼の姿がフィルムに残ったことはよかったなぁとも思えますし。
映画の方は、受賞も納得のキラキラ輝くよい映画でしたよねー。
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