かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ブーリン家の姉妹』
2008年 11月 07日 |
女の生きる道は哀しく。ファッショナブルにドロドロコスプレ。

16世紀、イングランド。国王ヘンリー8世は、王妃キャサリンとの間に男子の世継ぎが出来ずにいた。そこで新興貴族のトーマス・ブーリンは、長女アンを王の愛人にしようとする。



ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが競演するなら、おしゃれ系現代劇の方がハマりそうな気がするんだけど、あえて英国宮廷舞台の歴史もので姉妹に扮するという趣向がまた興味深く。そんなきらびやか俳優陣の共演ももちろんのこと、一番注目していたのはサンディ・パウエルの手がけた衣装だったのだけど、今をときめく2人の若手女優が姉妹役で色違いのドレスを身にまとった姿を眺めるだけでもワクワクしちゃうものだった。パウエルの衣装によって、とことん重厚に荘厳な歴史の世界が、少しだけ現代的にファッショナブルにアレンジされる感じ。グリーン系の鮮やかカラーがいつも目を引くのだよね。美術に衣装は歴史ものの楽しみどころ。

でもね、映像全般はそんなには気に入らなかったなぁ。構図やカメラワークがあまり好みではなかったし、光と影の加減がどうも今一つ美しくなかった気がした。せっかくのゴージャスな被写体なのにもったいないなぁと。ハイビジョンの撮影だから、こういう質感なのだろうか。まぁ、監督も撮影監督も長編劇映画は初めてということだからこんなものなのかな。(でも、ジョー・ライトは『プライドと偏見』からいい画を撮っていたよね。) 映像面では、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』ほどに魅了されなかったのはちょっと残念。

だけど、その物語にはいつのまにやら引き込まれてしまい、とても面白く観ることができたかな。もしも脚本や演出や演技がよくなかったら、絶好調の美しい人気女優2人がどんなに劇中で悲劇のヒロインに扮したところで同情なんてしなかったかもしれないのに。『私がクマにキレた理由』のキャラのことなんてすっかり忘れさせてくれるスカジョの別人ぶりは素晴らしく。姉思いの妹メアリーの清らかなる優しさにすっかり心打たれてしまったし。『宮廷画家ゴヤは見た』の体当たり演技も記憶に新しいナタポーは、このたびは野心家の気位の高い女なんだけど、嫌な女でありながらもその焦燥感が伝わってきて、突き放すことはできなくて。姉妹のどちらかに肩入れするというのではなく、2人の関係に亀裂が入ってしまうことにハラハラして目が離せないの。

一見きらびやか華やかな世界だけど、この時代に生きる女たちはなんて辛い思いをしなくてはいけなかったのかと胸が痛むばかりで。ああ、お世継問題。フェミニズム的にとても興味深かったな。20世紀後半に生まれたナタやスカはその魅力でいくらでも男たちを侍らせて手玉にとることができるのに?16世紀のイングランドのこの世界では、1人の男のご機嫌伺いでがんじがらめになってしまうとは。こんな哀しきドロドロドラマが歴史上の出来事に基づいているというのだから、心捕らわれてしまうのだ。姉妹の争い・確執模様は、『ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ』的におもしろかったな。

去年、今年と『ミツバチのささやき』を引き合いに出す機会が多かったのだけど、アナ・トレントにスクリーンで再会できたことも嬉しく。自分一人が幸せを掴むことばかりに一生懸命だったアンに対し、もっと大らかな気高さでプライドを見せてくれたキャサリンのその毅然とした姿が印象的。運命に翻弄されるブーリン家の姉妹の母、KSTの思いにも大いに心打たれてしまった。女たちは大きな力には抗えない時代であっても、母親というものだけは確かな存在なんだなぁということを思う。そして、このアン・ブーリンとメアリー・ブーリンの姉妹があって、やがて女王エリザベス1世が君臨したということを思うと、感慨が増していくのだった。
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by CaeRu_noix | 2008-11-07 23:57 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(4)
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Commented by きぐるまん at 2008-11-08 20:50 x
お邪魔します。
>アナ・トレントにスクリーンで再会できたことも嬉しく
ああ!
王妃役は『ミツバチのささやき』のアナでしたか。
恥ずかしながら気づきませんでした。
存在感のある女優になりましたね。
それを知るとまたちょっとうれしくなる映画です。
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-09 01:34
きぐるまん さん♪
そうなんですよー。あのアナちゃんがスペインからイングランドにお嫁入りー。
いやー、私も事前に知らなかったら、気づくはずはなかったと思います。
本作は事前にキャストチェックをしていて、アナには注目していたので感無量でした。
前に『テシス』というホラー映画かなんかにも出ていたのを観たのですが、今回の役どころ、存在感はそれよりも断然素晴らしいものでした。
最近私は中古VIDEOで『エル・ニド』を観たこともあったりして。
あのアナが、と思うと嬉しくなりますよねー♪
Commented by cinema_61 at 2008-11-09 20:23 x
こんばんは。
私的にはこの時代の英国映画大好きで・・・楽しみにしておりました。
史実に基づいているストーリーとはいえ、あのドロドロした家族や王室の欲望には面食らいましたが、引き込まれました。
姉のアンを演じたナタリー・ポートマンの演技が印象的で、スカーレット・ヨハンソンは「らしさ」があまり出ていないような。
アンの娘→エリザベス女王!あぁ~なんとドラマチックな!
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-10 00:32
cinema_61さん♪
イギリス王朝ものお好きなのですねぇ。
私はここらへんの歴史ものの硬さが少し苦手でもあったりするんですが、歴史絵巻を映像で見られるというのはやっぱり魅力を感じます。
紹介文に英国版「大奥」なんて表現もあったりしましたが、ホントにドロドロしていてビックリでした。おじさんに夜のことを話さなくちゃいけないなんて最悪だし。姉妹で奪い合うっていう状況も辛いものでしたよね。
ドロドロゆえに大変面白く見ることができたのですけどね。
ナタリーとスカジョの役は反対の方がよかったんじゃ・・・っていう感想もわりとあったみたいですね。私は必ずしもそうとは思わなかったんですが。
スカちゃんが魅惑のプレイガール?なのはあくまでも実生活の実行動の話であって、彼女の顔立ちだけでいったら、優しいポワーンとした女役も似合うと思うのですよね。演技的にはオールマイティだし。ナタリーのキリリ美人顔は意志の強い女が似合うし。
ホント、エリザベス女王のことを思うと、味わいが深まりますよねー。歴史はおもしろーい。
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