かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』&ブラザーズ・クエイの幻想博物館
2008年 11月 09日 |
この妖しき幻想世界の味わいを言葉になんてすることができない。



2008年、やっとやっとブラザーズ・クエイ-BROTHERS QUAY- 作品を堪能することができて感無量。
その監督作品は観たことがなくて、ブラザーズ・クエイという名前をちゃんと認識したのもブログを初めてからだったかもしれないなぁ。
でもね、過去メールを検索してみたら、、7年程前にメーリングリストでラリハスさんが
> 人形アニメ好きなら「ストリート・オブ・クロコダイル」も見て下さいね。
> これはイギリスの作家(ブラザー・クエイ)でとてもダークでシュールですか
>とても不思議な感覚で面白いです。

って、教えてくれていたんだよね。
その当時の私はティム・バートン製作のパペット・アニメに喜んでいるくらいのものだったのかな。で、同じ頃にラリハスさんはシュヴァンクマイエルも面白いよって教えてくれていて、こちらの方はちょうど劇場鑑賞できるものがあったので、おかげさまですっかりハマることとなったし、他のチェコアニメの魅力にも目覚めた。でも、そのシュヴァンクマイエルが日本で脚光を浴びるキッカケをつくったクエイの方のことはインプットできずにきてしまったのだよね。バカ。ラリハスさーん、やっと、『ストリート・オブ・クロコダイル』を観ましたよー。

コーエン兄弟も好きだし、タヴィアーニ兄弟も好きだし、ファレリー兄弟も、ウォシャウスキー兄弟もいいけど、さすが双子のクエイ兄弟は格別だなぁ。本当はアメリカ生まれなのに、映画製作のためにロンドンに住み続けてしまったのだね。アメリカではここまで徹底したダークな雰囲気の作品は作れないだろうなって思う。ギリアムの映画はダークでもやっぱり少しアメリカ的な明るい軽快さが感じられてしまう気がするもの。バートンのダーク・ファンタジーに近頃物足りなさを感じちゃうのってこういうものなんだよね。クエイ作品のこの徹底した世界観、表現力はとても素晴らしい。幻想的にダークでとことん妖しい怪奇の世界が、美しくもの悲しくへんてこに描かれている。その独創性には魅了されずにはいられない。

私が求めているのは、ジョン・ウーの映画じゃなくって、こういうの。


・プログラムA <アルケミストたちの形而上的遊び部屋>
『ストラヴィンスキー:パリでの日々』
~作曲家ストラヴィンスキーと詩人コクトーと党員のやり取り
『レオシュ・ヤナーチェク』
『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』

映像の魔術師のクエイ兄弟なんだけど、音楽の合わせ方がまたお見事。
弦楽器やピアノの旋律は妖しい世界によく似合う。
自動演奏ピアノも機械仕掛けモノとして独特の味わいのあるものだって初めて気付いた。


・プログラムB <書物のカフカ的迷宮>
『ギルガメッシュ/小さなほうき』 85
『失われた解剖模型のリハーサル』Reheasals for Extince Anatomies 87
『櫛』 90
『スティル・ナハト3』 92
『ストリート・オブ・クロコダイル』
-ブルーノ・シュルツの短編「大鰐通り」が原作-
--荒れ果てた田舎の博物館にひとりの男が迷い込む。男はそこに展示されていたクロコダイル通りの古地図を眺め、覗き見式のキネトスコープでクロコダイル通りの模型を見る。機械仕掛けの模型はほこりと鉄さびで動きを止めていたが、男の垂らしたツバで作動を開始する。模型の中にいたパペットの男は、クロコダイル通りをさまよい、とある仕立て屋の作業部屋にたどりつく。当否を剥ぎ取られたマネキン人形の仕立て屋たちは、男の首をすげかえ、仕立て屋の紙で生の肝臓を丁寧に包むのだった。--

レジャーランドのアトラクションにしてほしい。クロコダイル通りを歩きたい。

・プログラムD <執事養成室>
『ベンヤメンタ学院』  Institute Benjamenta 95
イメージフォーラム作品解説
-スイスの異端の作家ローベルト・ヴァルザー(1878-1956)の小説「ヤーコプ・フォン・グンテン」と彼の「白雪姫」と「シンデレラ」のリメイクにインスパイアされている。
--観客はベンヤメンタ学院の迷宮的な回廊と、そこに立ち現われる住人の複雑な困惑させられるような行為に魅せられ、導かれていきます。荒れ果て今にも消滅しそうなこの学院は執事を養成するための寄宿学校であり、一つのレッスンを際限なく繰り返す独自のカリキュラムが組まれています。時代はあいまいで、学院は大都市のどこかの高い建物に囲まれた中庭の裏側にひっそりとあります。入学した主人公のヤーコプは学院と友人の生徒(模範生徒で気難しいクラウス)、学院長のベンヤメンタ氏とその妹の隠された秘密を暴きだそうと企てます。

こんな奇妙な学院を覗くことができて嬉しく。こんな学院に入りたい。いや、怖いから入れない。でも、こっそりと見ていたい。『ブーリン家』なんていう正統派作品にも出ちゃっているマーク・ライランスだけど、あなたの世界はここだったのね。実写も素晴らしいじゃないかと圧倒されます。


『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』
-ビオイ・カサーレスの「モレルの発明」、ルーセルの「ロクス・ソルス」が原案。
--歌姫マルヴィーナの声に魅せられた天才科学者ドロスは、彼女を誘拐して軟禁する。その孤島の邸宅へ仕事を依頼された調律師フェリスベルト・がやってくる。

ディーバの歌も音楽も、「ナイチンゲール」、「フェルスベルト・フェルナンデス」、「Witch One?」という言葉たちも耳に残り心に響く。孤島の森も、密室の機械仕掛けのものたちも、全てが謎めいていて魅惑的。見覚えのあるような動きをする庭師たちもステキだ。世界を構成する要素の一つ一つがツボ。シュヴァンクマイエル世界より落ち着いたダークさが徹底している感じ。この幻想世界に浸ることが心地よくて。
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by CaeRu_noix | 2008-11-09 23:59 | CINEMAレヴュー | Trackback(7) | Comments(12)
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Commented by manimani at 2008-11-12 23:53 x
こんばんは
>レジャーランドのアトラクションにしてほしい。クロコダイル通りを歩きたい。
これ、怖いと思う(汗)
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-13 18:12
manimaniさん♪
怖いですとも。
怖いからいいんじゃないですか。子どもは入れないのです。
クエイな世界を三次元体験したいのだもの。
3D上映もしてほしいかも。
Commented by mi10kuma at 2008-11-15 09:48
コレ観に行きたいと思っているのです;;ギリアムがからんでると知ったときからなんとか観に行きたいのです。ああ、頑張ろう。
いいレビューありがとう。
Commented by シャーロット at 2008-11-15 18:40 x
こんにちは。
うう、結局特上は出かけられず;;
特上Aプロの音楽もの以外も結構面白そうですね。
で、やはりサウンドはどの作品も良さ気?
クエイ兄弟の音楽的センスがかえるさんにはまるのなら、私も見たくなりまする。
本作以外でも調律師がでてくる映画は何気に気に入ってるかも。すこし天狗になる私;ww
ちなみに自動演奏ピアノって、よくオルゴール博物館みたいなところにものすごいものがあったりしますよね。オーケストラのようなたくさんの楽器が含まれてるものもあるし。調律はどうやってするのか、私にはわからなかったりする;
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-15 22:43
シリキさん♪
そうそう、ギリアムが製作総指揮なんですよねぇ。それも納得。
ダークでシュールなギリアムの世界も、こちたに比べると、俗世のものって感じなんですよね。
ぜひぜひ劇場体験してくださいー。
私はあんまり大したことを書いてないですがね・・・
(右脳系は感想を言語化できない私・・・)
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-16 04:26
シャーロット さん♪
旧作たちもステキでしたのよー。残念でした。
ヤナーチェクはもちろん、ピアノも弦楽器も音楽は概ねよい感じでした。
映像との合わせ方が絶妙というか、シネコン大作系の自己主張し過ぎなスコアとは大違いで、クリエータークエイが構築している世界の一部として魅惑的に共鳴しているという感じなのです。リズミカルだったり、おどろおどろしかったり。
調律師って、日本語名称としても何かカッコイイし(調教師もー)演奏家とはまた違うステキな存在だと思います。レッドバルーンの調律師さんにもグッときましたしねぇ。
『ダニー・ザ・ドッグ』のモーガン・フリーマンの調律師はどう?
自動演奏ピアノは邪道でしょうって思っていたんだけど、人間の天才ピアニストでも弾けないような演奏ができちゃうかもっていうところに気づき、すごいかもって思ったんですよ。どうなんだろう?
オルゴールも好きだなー。時計の存在も。
Commented by とらねこ at 2008-11-16 15:32 x
かえるさん、行ってらっしゃいませ~。
いいなあ、これから当てのないブラっと旅行だなんて。
帰ってからの旅日記、今から楽しみにしております!

ブラザーズ・クエイ、ネットでのお友達が教えて下さったのですね。。素敵。
私、実はベンヤメンタの予告を見て、おお!と思ったのですが、予告では、あんまりタイトルが出てこなかったんです。
あの「INSTITUTE BENYAMENTA」と、ひっそりとアートロゴが入るぐらいで。
あの幻想的映像、映画の数シーンが、数分間流れるぐらいで、
興味を持ってはみたものの「これって一体何の映画なの?」って感じだったんですよ。
映画が終わった後、思わずモギリの人に訊いてみたのでした。
そしたら、私の前に居た人も、興味を持ったみたいで、同じ質問をしていました。で、私もそこに居た人と話になって。
もぎりの人は分からなかったので、映写の人に確認を取ってもらいました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-22 02:16
とらねこ さん♪
ただいまっす。
いや、当てのない旅っていうほどでもなかったんだけど、具体的なことが全然決まってなくて、出たとこ勝負だったのですよ。
でも、行ってみたらば、すんごい楽ちん選択をしてしまいました・・・。
とらねこさんのように、たくさんサクサクは記事にできないと思うけど、早めにさっと旅記事をエントリさせたいと思いますー。

そう、私にチェコアニメのことやアート系アニメのことを教えてくれたのはネットのML友人の方だったのでした。でも、その時にはクエイのことをちゃんとインプットしていなかったおバカな私でした。その名に再会できて何よりでした。

予告で見たら、絶対コレ観たいーって思いますよね。同じように聞いた人がいたというのがまたステキ。同志発見!って感じですね。映写の人まで登場とはすごい。ちゃんとわかって観に来れてよかった、よかった。
Commented by 狗山椀太郎 at 2008-12-04 00:41 x
こんばんは。
私はかれこれ10年ほど前に、クエイ好きな知り合いに勧められて『ストリート・オブ・クロコダイル』ほか短編作をビデオ鑑賞した覚えがあります。当時はひたすら訳が分からなくて途中で寝入ってしまったのですが、今回の劇場鑑賞でも夢と現実の狭間を何回か行き来しておりました(苦笑)。
それはともかく、シュヴァンクマイエルの影響を受けているだけあって、クエイ兄弟の作品にはヨーロッパ的な味わいがありますね。実写版の『ピアノチューナー』
は一昨年に見た仏映画『エコール』や『薬指の標本』のような、俗世界から離れた妖しさや美しさがあったと思います。
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-04 23:23
狗山椀太郎 さん♪
クエイ好きな知り合いがいらっしゃったとはステキです!
ってか、友人ではなくて、あくまでも知り合いなんでしょうか?
10年前に『ストリート・オブ・クロコダイル』をご覧になったとは幸せなことじゃないですか。
確かにまぁ、その頃に観ていたら、わけわかんねーっていう思いも強かったかもしれませんね。
眠気に襲われるタイプというのは今も昔も変わらないかもしれませんが。
でも、眠たさを感じさせるほどに、あっちの世界っぽい雰囲気が濃厚な映画ってとっても魅力的ですよね。
心に残る名作は睡魔に襲われるものが多いです。
クエイ兄弟はてっきりイギリス人だと思ってましたよ。アメリカ生まれとは意外です。まったくもってヨーロッパ風味(それも東寄り)の作風ですよね。
『エコール』とか『薬指の標本』とか、そういう不思議な世界にいざなってくれる映画がとにかく最高です。
妖しさがたまりませんよねー。
Commented by BC at 2008-12-23 00:35 x
かえるさん、こんばんは。

私は『ピアノチューナー~』だけ観たのですが、
動く絵画のような幻想的な映像に魅せられました。
アメリカの軽快さやアジアの情感とは一味違った、
ヨーロッパのエレガントさが心地良くて余韻が残りました。

ブラザーズ・クエイ(スティーブン・クエイ、ティモシー・クエイ)は
『ピアノチューナー~』を観て初めて知りました。
『ストリート・オブ・クロコダイル』も観たいと思いました♪
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-24 09:24
BCさん♪
スクリーンで観られてよかったー。
あやしくて幻想的な映像美でしたよねー。
ヨーロッパならではのテイストですよね。
アメリカ製映画にはありえないし、まさかもとはアメリカ人だったとは思いもよらず。
そういえば、アジア映画にはあんまりアヤシイ系カルトなアート映画ってないですよね。
アピチャッポンとか。

短編の『ストリート・オブ・クロコダイル』も魅力的ですよ。
私はクエイ兄弟の名前は前からきいていたのだけど、ようやく体験できて嬉しかったのでした。
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