かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『真木栗ノ穴』
2008年 11月 10日 |
人間と穴の深い関係。穴にはドラマがあるよね。

売れない小説家の真木栗勉は、住まいの古いアパートの部屋の壁に二つの穴がある事に気付く。



穴があったら入りたい?穴は掘るもの?埋めるもの?真木栗の穴は覗くもの。それが謎めいた世界への入り口になるという意味ではマルコヴィッチの穴とだって大きくは違わないかもしれない。でも、アメリカ人のように商売に利用してみんなで大騒ぎしたりせず、こっそり1人で好奇心を満たしてほくそえむ日本人小説家。穴は迷宮の入り口。とめどない幻想世界への入り口。穴は文学的なものでもあるけれど、とても映画的でもあるよね。カメラの長方形のフレームの中に映し出される穴を、誰だって覗いてみたくなるよね。

秋のユーロスペースはまさに西島専門館状態。『東南角部屋二階の女』でも、古びた木造アパートに住んでいたにしじーが、またこちらでもボロアパートに住んでいる。それが何だか似合っちゃうんだよね。洋室よりも畳の和室が似合う男。東京物語だねぇ。あ、これは鎌倉物語。日本情緒がミステリアスに。そして、本当は理系の人なのに、文学の香りが漂っていて、作家という役どころがハマっちゃうんだよね。そんなわけで文学青年系横顔俳優西島秀俊真骨頂。いろんな表情が見られて満悦です。坐って原稿執筆する姿も、穴を覗き見る表情も、お風呂ショットもいとをかし。

そりゃあ、彼がお隣さんだったら、いそいそとトマトをおすそ分けに行くさ。リコピン。お返しの梅酒も楽しみさ。でも、やっぱり覗かれるのは困りますよね。そんなにお上品に服を脱いでないしさ。お互いのために。舞台裏ってのは必要なもの。夜は鶴に戻って機織りをするから、決して覗かないでほしかったってな感じで、月に帰らねばなりません。いや、そんなんではなくて、彼は官能小説を執筆中なので、穴の向こうに見えるのは淫らな情事。そして、いつの間にやら、周囲でおこる現実の出来事が小説のストーリーとリンクする。予告もじっくり見ちゃったし、主人公が小説家という時点で、その展開やらは初めからわかっているのだけど、どこから・・・どこまでが・・・ということはどうでもよくて、レトロな摩訶不思議感を楽しむのみなのだ。

これは原作の方も、想像力をかきたてる小説ならではの面白さがあるのだろうけれど、そのエッセンスをうまく掬い取って映像化できたのではないかなと思える手ごたえで、とても面白かったな。鎌倉の風景は美しいし、昭和テイストが充満する映像表現ならではの魅力にもあふれ。隣の女役ををあえて?絶世の美女キャスティングにせず、主人公にしじーの端正な美しさをクローズアップしてくれたり。『狼少女』の深川監督、いいじゃないですか。

「お客さん、」「うちのお風呂入っていかない?」って、お風呂ご一緒作戦、面白すぎ。ヨガのポーズもあなたがやると微笑ましいですな。
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by CaeRu_noix | 2008-11-10 21:32 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(0)
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