かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『オリンダのリストランテ』 Herencia
2008年 11月 14日 |
こんなリストランテに立ち寄りたい。

アルゼンチンのブエノスアイレスで、小さなリストランテを切り盛りする女主人オリンダのもとにドイツ人青年ペーターが現れる。



アルゼンチン映画なのにオランダのリストランテ?と思ったら、主人公の名前がオリンダだった。(余談ですが、タルコフスキーの『ローラーとバイオリン』は主人公の名前がローラなんだと思い込んでいて、少女の登場を心待ちにしながら観ておりました。)南米のパリといわれているのは関係ないとしても、スペイン語圏のアルゼンチンでリストランテなのか。と思ったら、この国はスペインからばかりでなく、イタリア系の移民の数がかなり多いのだそう。遠い昔、ヨーロッパからこの大陸にやって来てその地の住人となった女性が、今ヨーロッパからの旅人の青年に出会い、それをキッカケに忘れていた何かを見出すというささやかだけど心温まる物語。

異国情緒あふれるラテンな映画は外せないのだけど、アルゼンチン映画というのも実に多様。ブエノスアイレスの街からは、どうしてもレスリーの悪戯な笑顔を思い出してしまうわけで、そこは恋人たちの街でもあるのだ。リストランテもいいけど、トニーとチャン・チェンが働く厨房もいいよねってな。そんな別の連想も含め、本作はイメージ通りの好みの作品でありました。店もの、レストランものって大好きで、リストランテで振る舞われる料理と集う人々の語らいを眺めているだけでも楽しくて。通りの向かいからお店を映し出すショットもキマっていて、センスを感じさせる映像も気に入ったし。

地球の裏側が舞台で、もう1人の主人公が旅人というのもツボ。それにしても写真1枚だけで、人探しをしようなんて気が遠くなる話。でも、そうやって、シルビアのいる街でチックに、見知らぬ街で忘れられない人を探さずにはいられない思いには、つい心を動かされてしまう。まさに、オリンダもそうなんだよね。なんだかんだ言いながら、ペーターを迎え入れて、面倒を見る。言語はそれぞれでも、人情は万国共通で嬉しいよね。自分が旅人ならば、所持金を無くしたからって、一度寄っただけのお店の人に住食の面倒をお願いなんてできないだろうって、現実的には思うけれど、その最初の思い切った嘆願で、新しい人間関係と互いにとってのよい変化がもたらされるならこの世界はとてもステキだなぁ。

人探し旅行で訪れたドイツ人が店をまかされちゃっていいんだろうかと思いつつ、チャン・チェンなんかも旅の途中で働いていたもんね。旅人がたやすく居ついちゃえるような寛容な街なのかもしれないね。ブエノスアイレスって。常連客フェデリコのオリンダへのアプローチも嬉しいご褒美だったなぁ。『やわらかい手』で、ミキが彼女に恋心を抱くという展開をどうもしっくりと受け止められなかった私だけど、例えばこういうゆっくり長いつき合いの末のホップステップは自然なものに思えるんだよね。人生はまだまだこれからなんだよって。

80歳の老女が主人公の『マルタのやさしい刺繍』を撮ったのも30代の女性監督だったけど、こちらのパウラ・エルナンデス監督も69年生まれの女性。

とても大切な存在だったフェデリコ役のマルティン・アジェミアン氏は、2006年に亡くなっていました。ザンネン。

安宿の盗難には気をつけましょう。
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by CaeRu_noix | 2008-11-14 23:03 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(2)
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Tracked from DIARIO-M at 2008-11-27 16:00
タイトル : 『オリンダのリストランテ』
好き度:★★★★☆「Herencia」ブエノスアイレスの街で小さな食堂を女手ひとつで切り盛りするオリンダ(リタ・コルテセ)。彼女の前に、昔の恋人を探してはるばるドイツから来た青年ピーター(アドリアン・ウィツケ)が現れる。なりゆきでピーターの面倒をみることになったオリンダは、彼との交流を通じて自分の人生をみつめなおすことになる・・・・。スペイン語の映画ってやっぱり語感がとっても心地よくて好きオリンダが、お皿をしょっちゅう割るウェイターにキレてまくしたてるのも機関銃のような迫力があるんだけれど、テンポよく...... more
Tracked from 〜青いそよ風が吹く街角〜 at 2009-03-31 21:01
タイトル : ○『オリンダのリストランテ』○ ※ネタバレ有
2001年:アルゼンチン映画、パウラ・エルナンデス監督、リタ・コルテセ主演。... more
Commented by Minita at 2008-11-27 15:59 x
最終日ぎりぎりで観てきました。私もレストランが舞台の映画って好きですね~。根が食いしんぼなもので^^

ブエノスアイレスって、ラテンの底抜けの陽気さとはちょっと違って、
なんとなく都会的な雰囲気を感じました。
でも、ドイツからきたピーターにとっては、十分フレンドリーな街だったのかしらと。

この映画も30歳代の女性監督なのですね。
確かに、色使いがとっても綺麗で私も好きでした。
中年のオリンダがふと見せる女っぽさも、女性ならではの視点ですね。
(フェデリコが他の女性と話している時に、うっすら焼くやきもちとか)
Commented by CaeRu_noix at 2008-11-28 16:16
Minitaさん♪
間に合ってよかったです~。
ラテンな映画は外せません。
そうですね。ブエノスアイレスってラテンアメリカ全体のイメージとは違って洗練された都会を感じますよね。でも、多くの移民を受け入れた街であるから、排他的ではない寛容さがあるのかもしれませんね。
タンゴ映画の方も見たのですが、こちらのコンテストにも多様な国からの参加者がいて盛り上がってました。
レストラン映画ってホントによいですよね~。私も料理を眺めているだけで満足なほど。
女性監督らしい美術センスと繊細な描写もグーで小品ながらお気に入り印です。
オリンダのハッピーに乾杯♪
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