かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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第9回東京フィルメックスの鑑賞メモ
2008年 12月 04日 |
11月の定番。
第9回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2008 !で観た作品記録と一言感想。



今年はこれといった目玉作品がなかったような。ゲストもね。
国際フォーラムでのオープニングもなくなってジミジミに?
チケットが即完売っていうのもなかったみたいだし、結構空席多かったね。
個人的にも、心踊るラインナップというんではなかったですね。
という割には、たくさん観たのだけどー。

このたびの鑑賞作品のMYベストは、

1. 『いつか分かるだろう』 (アモス・ギタイ)
2. 『ティトフ・ヴェレスに生まれて』
3. 『デルタ』
プラス1 短編の『河の上の愛情』もー

水辺が美しければそれだけでいいのか、私はー。


▼特別招待作品

・『デルタ』 - Delta /ハンガリー /クロージング作品
監督: ムンドゥルツォ・コルネール(MUNDRUCZO Kornel)
ドナウ川デルタを舞台に、再会した兄妹をめぐる物語を神話的に描く夢幻的で美しい傑作。著名バイオリニストのライコ・フェーリクスが主演し、音楽も担当。ハンガリー映画週間最優秀作品賞受賞、カンヌ映画祭で上映され国際批評家連盟賞を受賞。

素晴らしきドナウ川。幻想的な美しさにクラクラ。古めかしさと神話性を感じさせるこの物語世界にはバイオリンの音色が調和するの。酒場の喧噪も独特な描かれ方で印象的。


・『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』 - Welcome to São Paulo /ブラジル
監督:アモス・ギタイ、ツァイ・ミンリャン、ミカ・カウリスマキ、吉田喜重、レオン・カーコフ他
 サンパウロ映画祭の呼びかけにより、世界の18人の映画作家たちが巨大都市サンパウロをそれぞれの視点からとらえた17話のオムニバス・ドキュメンタリー。ブラジルを代表する歌手カエターノ・ヴェローゾの語りが全体をナビゲートする。

ドキュメンタリーの一つ一つはイマヒトツだったけど、カエターノ・ヴェローゾの語りによる詩的な雰囲気とその音楽が心地よかったな。最後のやつのレコードに針が落ちる瞬間なども好きでした。

・『河の上の愛情』 - Cry Me a River /19分d0029596_11504895.jpg
監督:ジャ・ジャンクー(JIA Zhang-ke)
 旧友の男女4人が蘇州で再会する。『プラットホーム』のチャオ・タオとワン・ホンウェイ、『天安門、恋人たち』のハオ・レイとグオ・シャオドンが共演。

『天安門』の2人の出演も興味深く。たった19分なのに、大人になってしまった彼らのドラマにグッと心寄り添ってしまう。ジャ・ジャンクーはさすがだ。川と船がステキ過ぎ。

・『可視から不可視へ』 - From Visible to Invisible /7分
監督: マノエル・デ・オリヴェイラ(Manoel de OLIVEIRA)
携帯電話を題材として、現代社会を鋭くコミカルに風刺する短編。サンパウロ映画祭によって製作され、サンパウロ中心部パウリスタ通りで撮影が行なわれた。

長老も思うことは一緒だなぁ。マノエルはケータイ使ってる?

・『いつか分かるだろう』 - One Day You'll Understand /フランス
監督: アモス・ギタイ(Amos GITAI)
  ジャンヌ・モローを主演に、家族の隠された過去をめぐる母と息子の葛藤を描く。現在のフランスを主な舞台として、ホロコーストの傷跡を物語った巨匠ギタイの最新作。ベルリン映画祭で特別上映。撮影はカロリーヌ・シャンプティエ。

ギタイはやっぱり巨匠だ。ホロコーストの過去の秘密のドラマは多かれど、フランスの現代を舞台にシンプルな場面構成で、ここまでの深みをもたらしてくれるなんて。今のジャンヌ・モローをこんなふうに撮りきるということだけで感激。息子の質問をはぐらかす母の姿がせつないの。それと、ドゥヴォスの表情も素晴らしすぎ。玄関先から部屋の奥へ移動する彼らを捉えたカメラが絶妙だったり。ブラボー、シャンプティエ。そして、映画の終わりには、"いつかわかるだろう"というフレーズが胸に響いてくるの。

・『クラウド9』 - Cloud 9 / ドイツ
監督: アンドレアス・ドレーゼン(Andreas DRESEN)
  結婚生活30年を平穏に送っていた60代のインゲは、ある日、76歳のカールと恋に落ちる。老夫婦に訪れた転機をみずみずしく描いた秀作。温かいまなざしの繊細な人間描写で、カンヌ映画祭「ある視点」部門<一目惚れ賞>受賞。

てっきり老人の恋を描いた温かドラマかと思っていたので、こんなに痛々しい物語だとはビックリ衝撃。正直に生きようとするインゲの姿には心打たれました。ドイツも高齢化社会なのですね。

・『ベガス』 - Vegas: Based on a True Story /アメリカ
監督: アミール・ナデリ(Amir NADERI)
 ラスベガス郊外の小さな一軒家。ある男の訪問をきっかけに、家庭が激変する……。『水、風、砂』(89)ほかイランで活躍後、米国に移住したナデリが、実話をもとに鋭く人間描写するドラマ。ヴェネチア映画祭コンぺティション上映。

ラスベガスというロケーションはいいな。展開が見えてからの終盤はちょっと飽きてしまったりもしたけど、哀しき人間のサガを描いた興味深い物語でした。気づけー。

・『ティトフ・ヴェレスに生まれて』 - I am from Titov Veles /マケドニア
監督: テオナ・ストゥルガー・ミテフスカ(Teona Strugar MITEVSKA)
 環境汚染の産業都市、ヴェレス(旧称のティトフ・ヴェレスはユーゴスラビア時代の指導者に由来)に生きる三姉妹の日々を、鮮烈な映像美で詩的に描く。サラエボ映画祭審査員特別賞、ベルリン映画祭で上映された女性監督の第2作。

ささやき声のモノローグといい。テントウムシといい。マケドニアの風景の美しさと女性監督ならではの洋服の色使いと一つ一つのショットがツボなのでした。哀しいお話だったけど、お気に入り度は高し。
「セットデザイン」を手がけたところのサイトが興味深く   ilyaの日記
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・『文雀』 - Sparrow / 文雀 /香港
監督: ジョニー・トー(Jonnie TO)
 スリの仲間たちが美女と出会い巻き起こる騒動を描いた痛快なコメディ。ジョニー・トーが数年がかりで撮った最新作であり、クラシカルな趣きと香港の街への愛着が極上の雰囲気を醸し出す。ベルリン映画祭コンペティションで上映。

ジョン・ウーのスローモーションはムカつくのに、ジョニー・トーのそれは気持ちいいと思ってしまうのは何故?微笑ましくて面白かったです。

▼コンペティション

・『バシールとワルツを』 『戦場でワルツを』 - Waltz with Bashir /イスラエル
監督: アリ・フォルマン(Ari FOLMAN)
  『セイント・クララ』(96)のアリ・フォルマンが、80年代のレバノン戦争にまつわる自伝的ドキュメンタリーをアニメーションで展開。従軍体験を真摯に見つめ、幻想的な映像で衝撃の真実に迫っていく。カンヌ映画祭コンペティションで上映。

現実の戦争を描いたリアルな劇画調アニメなのに、ゆらゆら幻想的だったりもするミックス加減がオツな味わい。納得のエクセレントな作品。『ぺルセポリス』の方がもっと好きだけど。


・『私は見たい』 - I Want to See /レバノン
監督: ジョアナ・ハジトゥーマ&カリル・ジョレイジュ(Joana HADJITHOMAS, Khalil JOREIGE)
 06年レバノン侵攻の後、ベイルートを訪れたカトリーヌ・ドヌーヴが破壊された南部を見たいと出かけて行く。『完全な一日』(05、第6回東京フィルメックスで上映)の監督達による、刺激的なドキュ・ドラマ。カンヌ映画祭「ある視点」部門で上映。

私も見たかった。ドキドキ興味深かったです。大使館パーティのギャップもよろし。

・『ヘアカット』 - Strizh /カザフスタン
監督: アバイ・クルバイ(Abai KULBAI)
 家庭や学校になじめず、短い髪で少年のように振舞う多感な10代少女を描く青春映画。カザフスタン最大の都市アルマティに生きる、ソ連邦時代を知らない若者たちを捉える。風景と心理を鮮烈に映し出す長編監督デビュー作。

多感な少女ものは好き。せつなくて、瑞々しく。

・『サバイバル・ソング』 - Survival Song/小李子 / 中国
監督: ユー・グァンイー(于廣義 YU Guang-yi)
 黒龍江省長白山脈の猟師たちに密着したドキュメンタリー。昔ながらの生活を記録し、貯水池建設での立退きに抵抗する姿を追う。『最後の木こりたち』(第8回フィルメックスで上映)に続く監督第2作。シネマ・デジタル・ソウル最優秀作品賞受賞。

シャンテで観た『ディスコ』より、このオジサンが「ディスコ!」と叫びながら踊る姿の方がインパクトあり。作品として優れているというのは私にはわからないのだけど。

・『黄瓜(きゅうり)』 - Cucumber /中国
監督: チョウ・ヤオウー(周耀武 ZHOU Yao-wu)
 北京に暮らす3組(工場を解雇された中年男・映画監督志望の青年・屋台で野菜を売る一家)の日常を並行して描く。現代中国での夢や欲望のあり方や家族の変貌を繊細なタッチで捉えた監督第1作。ヴェネチア映画祭批評家週間で上映。

ちょっと悲劇寄り過ぎの気もしたけれど、構成・トーンは好みでした。『ブラック・スネーク・モーン』のポスターが気になるなぁと思ったら・・。

・『完美生活』 - Perfect Life /香港、中国
監督: エミリー・タン(唐暁白 Emily TANG)
  中国東北部からへ向かうリーのドラマと、香港で離婚して中国へ戻ろうとするジェニーのドキュメンタリーを交え、2人の女性を通じて中国の今に迫る。香港に移住した中国女性監督の第2作で、ヴェネチア映画祭にて上映。ジャ・ジャンクーが製作に参加。

ドキュメンタリーの方はちょっと痛々しい感じだったけど、ジャ・ジャンクー風味のフィクションパートがよかったな。室内のライティングが好みで。

・『PASSION』 /日本
監督: 濱口竜介
 結婚間近の果歩と智也を祝う席上、智也の過去の浮気が発覚し……。男女5人が揺れ動く一夜を描いた群像劇。サンセバスチャン映画祭で上映された。河井青葉、占部房子が複雑な女性像を好演。東京藝術大学大学院修了作品。

『UNloved』的に、心釘づけになる面白さでした。濃厚過ぎるんじゃないかと思えるほどに。人物造型はどうなんでしょうという部分もあったけれど、自国語映画ならではの繊細で密な味わいのある会話劇・人間ドラマだったなぁと。

以上

『リーニャ・ヂ・パッシ』 は配給してくださーい。
ホン・サンスの『夜と昼』もシネマートなどでやってくれませぬか?
秀作な『木のない山』も観たかった。
熊切監督、坂井さんらのトークを聞いちゃったので、『ノン子36歳(家事手伝い)』も行かなくちゃ。
園監督の『愛のむきだし』も楽しみにしていたんだけど、長ーい。

そんなこんなで。
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by CaeRu_noix | 2008-12-04 23:11 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(4)
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Tracked from シャーロットの涙 at 2008-12-07 10:09
タイトル : 東京フィルメックス 鑑賞記
第9回東京フィルメックスで見た作品の感想まとめ... more
Commented by たかこ at 2008-12-04 23:52 x
わお。なんだかんだ言ってちゃんと鑑賞されてるかえるさん♪
「河の上の愛情」はせっかく観たのに「プラットホーム」「天安門~」を観てないので感慨がわかず、もったいなかったかなぁ。
「可視から~」の二人、キャッチのサービスは登録してないんでしょうね♪
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-05 00:04
たかこさん♪
なんだかんだいって、今年の私は、映画祭のチケットをまとめ買いするクセがついてしまいました。
前は、観たいものを観る、だったのに、今は観られるものは観る、になったような・・・。

ジャ・ジャンクーの青春ものテイストが大好きなので、大人になってしまった彼らが、青春期の仲間たちと再会するドラマには、否応なしにグッときてしまったのでした。
河・船の映像が素晴らしかったしねー。
そうそう、『天安門』はね、恋人たちの失われた革命っぽいところがあるので、たかこさんにも是非観てほしいのです。いつか、よろしく。

「可視から~」の二人はまだケータイの機能の多くを使いこなしていないとみた。
あ、それは私もか・・・。
Commented by シャーロット at 2008-12-07 10:08 x
かえるさんのベストは見られなかったので、とっても気になりまする;
そうそうジャンクー監督のはよかったですよねえ。天安門…はいつか見たい;…というか、ジャンクー監督作品があるのにしばらく気がつかなくて、今年は上映がないんだ…つまらん、と思っていたのでしたw
完美生活も気になりますー。
いつかわかるだろう・・・も、いつか見れるだろうと期待してみるww
どうかいっぱい配給がつきますように。。。
たくさんの鑑賞、お疲れ様でした。
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-07 14:18
シャーロット さん♪
アジアな映画が中心のフィルメックスですが、今回は西洋寄りな作品のお気に入り度が高かった感じ。
「いつか分かるだろう」を観ている時、ユダヤ人の親の秘密を知る物語として、フランス映画祭で観た「秘密」を思い出したのですが、あんなにサスペンスフルで複雑なプロットにしなくても、こんなにしみじみ味わい深いものが作られるのだなぁと感銘を受けました。ナチス占領下のフランスを描いた映画はあれこれ観たけれど、こんなにシンプルで落ち着いたものはなかったんじゃないかなぁと。
マケドニアのは女性監督らしく、主人公の赤やグリーン系のワンピースのやわらかさがとてもステキで自分の感性にフィットするテイストでした。
「デルタ」もとにかく美しく、バイオリンな音楽もステキでしたので、シャーロットさんに観てほしかったー。
配給されそうなものはほとんどないような気もしますがぁぁ。
ギタイの一昨年のはナタポーが出ていたからか、DVDリリースはされましたが。
イスラエル舞台ものよりは欧舞台のユダヤものの方が公開されやすいかなぁ。
「バシールとワルツを」はいけるか。
あ、去年のハナちゃんのアフガンで撮った映画は来年岩波で公開されますね。
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