かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『アラトリステ』
2008年 12月 24日 |
美しきディエゴのスペイン。

西欧を支配下に置く17世紀初頭のスペイン。1622年、国王フェリペ4世に仕える兵士ディエゴ・アラトリステはフランドルの戦場での戦いを終えて帰還した。



スペインの人気作家アルトゥーロ・ペレス=レベルテの冒険小説が原作。

ヴィゴが今度は17世紀スペインの孤高の戦士!アメリカ人のヴィゴなのにスペイン語作品の主役をはれちゃう語学堪能ぶりがスゴいよね。せっかくの自国の歴史大作なのにスペイン人俳優には主演にふさわしい人はいなかったのかというのは残念な気もするけれど(『サルバトールの朝』の主演にしても、半分スペイン人とはいえ、主にドイツで活躍しているダニエル・ブリュールが主演だったという例もあったり。)、多大な製作費が投じられるゆえに、著名なビッグスターを主演に据える必要があったというから、それは仕方ないのかな。メジャーな名優といっても、ハビエル・バルデムがやったんじゃ、絵にならないものね。その戦いぶりにウットリせずにはいられないクールで魅力的な戦士はやっぱりヴィゴが最適。カピターン。

ヴィゴ主演の戦士ものといったら、自然にLotRのような作品をイメージしてしまうのだけど、どうやら少し違うらしいということを、作品紹介記事等によって映画が公開される頃に認識。凄まじい戦闘シーンも描かれているけれど、エンターテイメント性の強いアクション・アドベンチャーという雰囲気ではなくて、重厚な歴史劇という落ち着いた質感のものだった。動のアクションを主に楽しむ映画なのかと思いきや、むしろ静の映像の美しさに心奪われることとなって、私にとってはむしろポイントアップ。スペイン映画の歴史ものというと 『女王フアナ』の映像、光と影や構図、美術・衣装がとても気に入っていたのだけど、それと同じような感触で、映像美に引き込まれる。ヴィゴの立ち振る舞いも機敏に美しく、振り向いたお顔も常に麗しく、風景と人物合わせて、見入ってしまうばかり。

前情報でチラリと知り得ていたベラスケスのこと。『レンブラントの夜警』でも、そんな映像表現が見所だったけど、本作においても、実存の絵画そのものを再現するようなショットが登場したのだった。その再現のために、スクリーンに映し出された世界が静止するのだけど、その瞬間がまたステキなのだった。アラトリステは架空の戦士なのだけど、17世紀の絵画を媒体に、歴史的な一幕が21世紀にリアルに蘇るなんてね。それ以外にもたびたび絵画のような映像美に出くわした。劇中で宮廷画家の話が出ると、その場に置かれていた1枚の絵が映されるというシーンもあって、ニ通りの方法でベラスケスの絵画が登場するというのが面白い。「ブレダの開城」や「セビーリャの水売り」は一昨年、プラド美術館で観たはずなので、嬉しいアプローチ。

そんな感じで、エンタメものというよりはアート系な肌触り。静かな語り口で、油断をすると眠くなりそうにもなったのだけど、それは逐一手に汗握る活劇ではなかったというだけのことで、壮大な美しき歴史絵巻としては充分に楽しめるものだった。勇敢なる孤高の戦士の生き様はヴィゴが演じたゆえか非常にカッコいいから、当然支持せずにはいられなくて、興味深く見守ってしまうの。ノリエガの存在感もよかったな。歴史上の出来事と人物関係がわかりやすく描かれているという感じでもなかったのだけど、レッドクリフのようにわかりやすさを追求し過ぎることは作品の質を損ないかねないもの。そんなスタンスで品よく歴史大作が仕上げられて、私は大いに満足。

『ボルベール』に次ぎ、『パンズ・ラビリンス』や『サルバトールの朝』と肩を並べるゴヤ賞ノミネート作品なのでありました。ゴヤ賞って、日◇アカデミー賞なんかとは大違いのセンスのよい選定。アグスティン・ディアス・ヤネス監督の新作「Sólo quiero caminar」もゴヤ賞ノミネート。これって、ディエゴ・ルナが主演で、これまた楽しみ。ディエゴー。
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by CaeRu_noix | 2008-12-24 01:11 | CINEMAレヴュー | Trackback(7) | Comments(8)
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Tracked from JUNeK-CINEMA.. at 2008-12-26 20:56
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Commented by 哀生龍 at 2008-12-24 06:06 x
>スペイン人俳優には主演にふさわしい人はいなかったのかというのは残念な気もするけれど
哀生龍もそれが非常に残念で一生懸命考えてみたのですが、結局スペイン人俳優でアラトリステにぴったりの人が思いつけないくて、とても悔しく思いました。

>歴史上の出来事と人物関係がわかりやすく描かれているという感じでもなかったのだけど
小説の中の色んなエピソードが詰め込まれ、年代もどんどん変わり、人物紹介も少なめ。
哀生龍は“少々不親切な部分もあるかな?”と感じてしまいました。
逆に、“スペイン人ならみんなこの小説は読んでいるから、わざわざ説明しなくても分かるよね!?”と言いたくなるほど、スペインでは知らない人がいないほどの小説なんだろうなぁ~と、改めて小説の人気を認識してしまいました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-24 16:42
哀生龍さん♪
アラトリステをやれるスペイン俳優、ホントに存在しないんでしょうか。
哀生龍さんでも思いつかないなんて。
バンデラスなどではダメなんでしょうか。
イメージが違うのか、もはや彼はスペイン映画には出ないのか。

人物関係や出来事はちゃんと把握できなかった感じです。
世界マーケットを意識して、ヴィゴを主役にしたと思うので、決して観客が原作を読んでいることを前提に映画を作ったわけでもないと思うんですよね。そういう意味ではもう少し工夫してくれてもよかったかなとは思うんですが、作品の方向性、テイストが好みだったので、私はこれでいいや。
小説はそんなに人気があるんですかー。
Commented by jester at 2008-12-26 20:49 x
かえるさん、お邪魔します♪

俳優のファンだと冷静に見られなくて、今回はjesterは客観的には評価できませんでしたが、かえるさんに気に入っていただけたなんて、とっても嬉しいです♪

とにかく、日本公開はないのか・・・と思っていただけに、公開されたというだけでとっても嬉しかったのです。

ヴィゴは幼少期アルゼンチンで過ごしているので、スペイン語はかなり訛ってるらしい。それをスペイン風に直し、しかも舞台になった地方のなまりになるように、その辺のバールなどにいって、地元の人たちの会話を録音したりして、お勉強したらしいです。
といってもわたくしには訛りなどわかりませんでしたが・・・・

長すぎと怒られたので一旦送信しますね。
Commented by jester at 2008-12-26 20:50 x
続き。

イニゴは最初ガエル・ガルシア・ベルナルにキャスティングされたんですが、ウナクス君にかわっちゃったんですよ。
当初は「ガエル~~」(かえる~~じゃなくて)とわめいてましたが、ウナクス君もかなりガエル似でいい感じでした。
ま、子役のナチョ君のほうが可愛かったけど。

などなどと、いろいろ情報を蓄えてて、こうして人様のところに行くと書けるくせに、自分のブログは今読み返してみるとお恥ずかしい内容でございまする。
なんかね・・・やはりがっくりしてたのかなあ・・・?

ちなみに原作はほんとに大ベストセラーらしいです。
日本語にも翻訳されたぐらいだしね~
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-27 18:46
jester さん♪
よかったですよー。
スペイン映画の歴史ものってそもそもあまり観たことがない中、こんなに壮大なものが作られたなんて。
エンタメ系アクションな見ごたえを期待していった人にとってはたぶんイマイチな映画だったのでしょうけど、逆に私好みのテイストでありました。
ゴヤ賞ノミネートの上質感がありましたです。
ヴィゴは私も好きな俳優の一人なんですけど、特別に贔屓にしている人でもないので、冷静に観察しちゃったと思います。
その上でやっぱり、すごくステキでございましたー♪
日本公開されてよかったですよねー。
これはスクリーンで観なくちゃ意味がないと思いますもの。
バロック絵画のような映像美も、ヴィゴの表情と立ち振る舞いのカッコよさにしても。

なるほど。ヴィゴはアルゼンチン育ちだから、スペイン語が話せるんですね。
それに加えて、努力家なのだから尊敬しちゃいます。えらーい。
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-27 18:46
ガエルーー!そうなんですか!
私もどうせなら、ガエルなイニゴがよかったなぁ。
ガエルのコスプレってあんまり見たことないですもんね。
ウナクスくんは、「コレラの時代の愛」の時は、ハビエルの少年時代を演じていたために、かわいい少年に見えたのですが、今回はその子ども時代を演じた子がちゃんと美形な可愛さだったから、ウナクスくんになってちょっとがっくりな感じもありました。
でも、大活躍のウナクスくんですねー。

jester さん的には本当のところは、やや期待はずれだったのでしょうか?
確かに期待が大きいとそのハードルを越えるのは簡単なことじゃないですもんね。
でも、私はよかったと思いますよー。
一般受けはしなそうですけれどー。
戦う人が主人公な小説にはあまり興味をもてない私は、映画でその世界を知ることができてよかったっす。
Commented by 俄フェレリスタ at 2009-01-11 20:18 x
こんばんは。初めまして。
2年以上前、この作品へのEnrico Lo Versoの出演を偶然知りました。大画面でマリウスを見られるんだ! Eduardo Noriegaの出演も知り、期待値が跳ね上がり、この2人目当てで見ました。2人共格好良かったぁ~♪
原作未読者には少し判り辛いだろう筋書き、意外と少ない戦闘場面、全体的に静かな感じ、当時の様子を細かく再現…と、Master and Commanderとの共通点が多いです。
M&Cの時と違い、原作未読の状態で見ましたが、それなりに入り込めました。船上が主な舞台で、時間は飛ばなかったM&Cと違い、Alatristeは舞台も時間も大きく飛ぶ分、纏め辛かったでしょうね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-01-12 00:00
俄フェレリスタ さん♪
はじめまして。ようこそ、いらっしゃいませー。
エンリコ・ロー・ヴェルソって、すみません、名前は憶えていなかったのですが、はいはいはい。私の好きなジャンニ・アメリオ監督の「小さな旅人」「いつか来た道」に出ていた彼ですねー。ええ、カッコよかったですよねぇ。ノリエガも存在感ありましたし。カマラのおかっぱも。
「レミゼラブル」にも出ていたのですね。私は未見なんですが、これは昨年亡くなったギョーム・ドパルデューが出ていたこともあり是非観たかったのでした。(TVものは普段はあまり観ないのですが。)
そうなんですか。小説の映像化の仕方が「マスター・アンド・コマンダー」に似ているんですね。確かに、物語的には、マスターの方が場面が絞られていて、わかりやすかった気もしますが、キャスト的に美術的には「アラトリステ」の方が好きだなぁという感じです。マスターも海に浮かぶ帆船が美しかったのは記憶しています。
わかりにくい部分はありましたが、この大作が日本でもようやく公開されてよかったですよねー。
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