かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『クリスマス・ストーリー』(Un conte de Noël)のこと
2008年 12月 25日 |
せめて、タイトルにクリスマスがつく映画のことでもね。



2008年カンヌ映画祭コンペティション出品作品。

それはひと月前のこと。東京フィルメックスに通うのに忙しい最中に、カイエ・デュ・シネマ週間が重なって、さぁ大変。でも、他でもない、大好きなアルノー・デプレシャン監督の新作で、大好きなマチュー・アマルリックが出演しているときたら、観に行かねば、なのでした。
それが混んでいてビックリ。ここのチケット売り場の長蛇の列を私が体験するのは、『キングス&クイーン』の時以来のことでした。フィルメックス後に向かった休日の回は、チケット発売時刻の前からどう見ても定員以上の人が既に並んでいて、二度目の上映日にリトライすることになりました。そちらの平日もさほど変わらない混み方でした。どうしてこの人気がサクッと配給に結びつかないのでしょうねぇ。

そんな激戦の中で、観ることのできた映画。

父アベル:ジャン=ポール・ルシヨン
母ジュノン:カトリーヌ・ドヌーヴ
長女エリザベット:アンヌ・コンシニ
次男アンリ:マチュー・アマルリック
三男イヴァン:メルヴィル・プポー
甥シモン:ローラン・カペルト
長女の夫クロード:イポリット・ジラルド
三男の妻シルヴィア:キアラ・マストロヤンニ
長女夫妻の息子ポール
次男の恋人:エマニュエル・ドゥヴォス

クリスマスのヴィヤール家の家族の物語。
北フランスのルーベの家に久しぶりに集合するジュノンとアベルの子供たちと孫たち。
骨髄移植をめぐって。
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のっけからドラマが広がっていく。あらゆる方向に。
その濃厚さに圧倒されながら、魅了されていくの。

家族には歴史がある。婚姻によって、誕生によって、人物関係は広がっていく。そのひとりひとりにもちろん個性があって、それぞれの人生がある。それが複雑に絡みあって、愛憎が入り混じる。誕生とともに死が背中合わせの生が過去にあって、またひとたび家族の生と死を見つめる。血液が体内をめぐるように循環するイメージで、物語が繋がり広がっていくような。クリスマスの赤は血の色かな。

クリスマスのディナーのように豪華なのだ。食材も調理方法も定番のものなんだけど、その日ならではの格別なものであり、極上の味わいがあるの。そう、家族だとか愛だとか生と死なんていうのも、定番のテーマだし、演じるのはお馴染みの俳優陣。それが、カリスマシェフ、デプレシャンの手にかかったら、二つとないクリスマススペシャルの一丁上がり。スパイシーでコクがある、その味わいのハーモニーに舌鼓を打つの。

いつも魅力的な女性だったアンヌ・コンシニが憎しみを露わにしている。デプレシャン映画の何がクールかって、主人公格の女を決して心優しい人物にはしないこと。憎しみを隠さない酷い姉さんなんだけど、王国を守りたいゆえの行動というのは理解できなくはないかな。素行の悪い次男坊、マチューアマルリックの嫌われ者ぶりもナイス・キャラ。他の家族がいなければ、こんなに彼女は彼を疎ましく思わなかったのかもしれないけれど、繋がり広がっていく関係性・家族があるから、それが溶解する機会もあったりする。単独の1本の線よりも、複数の輪の重なりは果てしない可能性をもって。

年老いたお父さんが温かくてすごくいいんだよね。ドヌーヴ母さんは病気だとは思えないほどに貫禄と気品にあふれ。極端なキャラクターの役をやることの多いプポーが穏やかなよきパパに扮する姿もよいのだな。それから、家族の一員ではないエマニュエル・ドゥヴォスの存在が最高。温かな家族のドラマに、こういう立ち位置の女を登場させちゃうところが痛快。彼女の訪問によって、風が通る感じがすごく好き。

そして、またしても、甥の存在が光り輝いちゃうところに痺れてしまう。アンリとポール、イヴァンとポールのやりとりも好きだったし。シモンは、控え目なキャラクターながら、ジワリジワリと大切な役割の人だということに気づいてきて。最後の方ではもう、シモンの一途な思いにキューン。彼女の気持ちになって、すっかり感動しちゃったりしたよ。まさかシモンが、って観客の私もそういうエピソードがあるとは思いもよらなかったから、血縁とは別の部分の静かなる思いにやられました。複雑さゆえにね。

血縁って、ナンボのものなのだろうってことを思うこともある中、紛れもない血のつながりがあってこその骨髄提供によって、家族についてを描くという切り口が見事だなって思う。病気がただの悲劇の材料で終わらないところがね。母から生まれた息子の一部が母の元にかえるって感動的だよね。無菌室のツーショットもたまらないのでした。清濁併せ呑むっていう感じがいいんです。
デプレシャンはいいよー。

というわけで至福でした。
それもね。

あ、あれがクリスマスだったかな。
ロースト・チキンじゃなくてタンドリー
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by CaeRu_noix | 2008-12-25 23:58 | CINEMAレヴュー | Trackback(2) | Comments(4)
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Tracked from あーうぃ だにぇっと at 2010-11-21 07:16
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Commented by stland at 2008-12-26 01:08 x
ハッピーノエル!(キリスト教徒でないけどキリストの誕生日はお祝いしませう)

ってもうすぎてるやん((;-o-)σォィォィ・・・)

ということで
遅いですがw 有名なクリスマスソングのミュージカル

1、ホワイトクリスマス
有名なアイ~ドリーミングオブ~
というビーイングクロスビーの大ヒット曲
作品もまあ悪くないですが
オリジナルのスウィングドアをおすすめしますw(だってクロスビーは・・わが道を行くしか評価できないし・・)

2.セントルイス出会いましょう
いやもとい 若草の頃w

ジュディーガーランドの
~メリーメリークリスマスも有名

だけどおすすめはしませんwので悪しからず


PS
今週公開の映画半分みることができたので、全部見れそう

おすすめはラースとその彼女
彼のセリフと間に注意すると、脚本か演技かわからないが絶妙

ではでは
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-27 00:06
stland さん♪
のえるは終わっちまいましたが、何でもかんでもお祝いしませう。
はっぴー。飲めや歌えやー。

おお、おススメありがとうございますー。
そのへんのミュージカルは観ていないものも多いですわ。
近年は正統派なクリスマス映画も見ていないような。
「ホワイト・クリスマス」も「若草の頃」もよさげですね。
ミネリ作品は、「巴里のアメリカ人」と「バンド・ワゴン」しか観てないかも。
王道スタンダードなくりすますソングもいいかも。

最近は、ウォーリーの影響で、「ハロー・ドーリー!」に浸り。
ルイ・アームストロングの歌声にうっとり。

19、20日公開作品は何本鑑賞予定なんでしょうー?
そうそう、「ラースとその彼女」はすばらしくよかったねー。
ビアンカの演技はさいこーだったし。

2008年のベストもおしえてくださいねー。
Commented by rose_chocolat at 2010-03-28 18:39 x
ぼんそわーる^^
ずいぶん以前にもうしっかりとご鑑賞だったんですね!
さすがです。
この、びみょーに「仲よしこよし」じゃない家族の在り方こそが、
リアルでしたね。
(うちもそうですー 爆笑)
その、汚ささえもうまく混沌に押し込めて、美しくまとめてしまう。 デプレシャン監督、鬼才ですね。
一般公開されたらパンフ買いに行きたいです。 っていうかもう1回観ないと!?
Commented by CaeRu_noix at 2010-03-29 13:02
rose_chocolat さん♪
ぼんじゅーる。
この当時は一般公開がきまっていなかったので、絶対観る!と思って特集上映に足を運びました。
ようやく今年公開がきまってよかったなぁと。
そうなんですよ。家族の関係性、不調和のあるところが非常にリアル。
日本とフランスは違うから、なんてことを言う人もたまにいますけど、私はお国柄に隔たれない共通のものを描いていると思います。
家族のドラマは巷にあふれていますけど、こういう感じって独特だと思います。
日本映画にはまずないけれど、そういえば私は、是枝監督の『歩いても〜』を観た時、デプレシャンみたいだなーってことを思いました。
デプレシャンは本当にステキな素晴らしい監督なので、今後ともよろしくお願いしますー。
公開されたらぜひぜひ、もう一度!
そうそう、パンフほしいですね。
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