かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ラースと、その彼女』 Lars and the Real Girl
2008年 12月 27日 |
本物の体温のあたたかさを教えてくれたトレビアン、ビアンカ。

アメリカ中西部の小さな町。青年ラースはいつも1人でいるために、兄のガスとその妻はカリンに心配をされていた。



きゅーん。ぐわわわーん。ほよ~。
ヤラレマシタネ。すばらしいですね。
オリジナル脚本バンザイ。そうなの、こういう映画を作りなさいって思うのだよ。そう、みんなさぁ、こういう映画を観た方がいいよー。寒い冬にココロが温かくなるよ。

冒頭から好感触。田舎町、建物にしんしんと真っ白な雪が降り積もる光景。その静けさがとてもよい感じで秀作の予感。そして、登場したエミリー・モーティマーは、いつも暗めの役、落ち着いた役が多い気がするから、こんなふうにはしゃぐように明るく話す姿はなんだか珍しいなと思いつつ、これまでで一番彼女がチャーミングに見えて、そんなキャスティングにもセンスを感じさせるのだよね。ライアン・ゴズリングくんにしても、いつも演技は上手いと思いながら、馬フェイス系が好みじゃない私は、どうもさほどイイと思えずにいた。でも、今回のゴズリングくんは素晴らしい。とまどう表情も、お花を放り投げる素早さも見事。

孤独なラースを心配する兄の妻カリンのお節介紙一重の優しさは、とても微笑ましいのだけど、ラースにとっては気が重いものであったりするんだよね。1人で寂しいと思わない人がいるはずはないと疑わないカリンは、ラースが抱きしめられると痛みを感じたりするなんてことは思いもよらないのだろう。でも、それが問題だなんてことではなくて、誰も誰かを悪者に仕立て上げたりはしない。そして、ドクターの言葉に従って、兄夫婦も町の人たちもラースとその彼女ビアンカを受け入れる。否定して、矯正を試みたりはしない。静かに見守るのだ。なんて、なんて温かな物語なのだろう。

だって、現実の世の中は、何かっていうと、異端の者を排除しようとするものだから。いい歳をした男が、ラースのような行動とったなら、家族は恥ずかしさにその事実を世間から隠そうとするでしょう。周囲の人は、そんなおかしな人間には関わりたくないと避け、ともすれば、施設に収容されることを望むでしょう。そんなヘンな男は犯罪者予備軍だというレッテルを貼られかねないのが今の社会。だから、大らかにラースとビアンカを受け入れるこの町の人々の姿に胸は熱くなるばかり。そんな感動ドラマが、少しも説教臭くなくて、これ見よがしじゃなくて、ユーモアいっぱいに綴られるのが、それはもうイキなんだよね。

最初はね、シャイで人づきあいを億劫に思う1人が好きなラースが、ドールちゃんを恋人にしちゃう気持ちも理解できるかなって思った。危険な行動は彼の窮屈な心情の表れなんだものって。でも、そんな彼がビアンカとのおつき合いを経て、ボーリング場で元気に跳ね回る血の通った女性の魅力に心ときめいた時は最高に嬉しかったよ。黙って彼の言うことを聞いてくれるウザくないビアンカちゃんは、もしかしたら理想の女性だったりするのかもしれないとしても。それでもやっぱり人間はさ、煩わしいこともたくさんあるけど、生身の人間の体温の温かさに何かを感じるものなんだよね。そんな大切なことを、こんな滑稽な物語展開を通して、ジワリジワーンと思い知らせてくれるなんて。

テディちゃんを蘇生させるところがとびきり好きだ。
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by CaeRu_noix | 2008-12-27 17:46 | CINEMAレヴュー | Comments(6)
Commented by とらねこ at 2008-12-28 18:56 x
かえるさん、こんばんは♪

>孤独なラースを心配する兄の妻カリンのお節介紙一重の優しさは、とても微笑ましいのだけど、ラースにとっては気が重いものであったりするんだよね
>ボーリング場で元気に跳ね回る血の通った女性の魅力に心ときめいた時は最高に嬉しかったよ

カリンとマーゴを始めとする、女性の存在が、彼の心の病を促進してしまったかもしれませんが、結局彼の病を“救う”ことが出来るのも、彼女たちのおかげでしたよね。
かえるさんおっしゃるように、家族の病を“恥”として隠すことをせず、かつ一人の“人間”としてきちんと向き合って、温かな思いやりを忘れないカリンの姿に感動しちゃいました。家族だからこそ、放っておけないし、幸せになってもらいたいですもん。
「病気だから」と言う事を何でも流してしまったり、腫れ物に触れるように接していたら、ラースは救われることもなかったですよね。
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-28 20:30
とらねこ さん♪
あったかーい映画でしたね。
ビジュアル的には、雪の白が広がって寒々しイメージが強いのに。
ミニシアター系の中で、英語圏の賞がらみ映画は優遇されているし、本作は宣伝もバッチリという感じだったので、私はそんなに期待値は高くなかったのですが、それゆえにぐあーんとやられましたです。

そうなんですよ。ホント、よくできているなぁと思ったのはそのへんです。
ラースはうるさい女たちが苦手なのよ、放っておいてあげてよーくらいに思わせられたのに、その後は面倒見のいい人間の女たちのお陰で、ヒーリングできたような展開がなんて素晴らしいんだろうって。
日本などもやたらに世間体を気にしますからね。恥のブンカ。うちの者がよそ様に迷惑をかけてはえらいことという感じですからね。バッシングされる前に、自ら封じ込めておこうってな。
そんな社会の一面を見ることも多いから、カリンたちの行動にはひたすら感動しましたよね。そういう感動が、お涙ちょうだい路線でいくのじゃなくて、ドールちゃんをお風呂で洗ってあげたりだとか、笑いと表裏一体の場面で見せてくれるのがオツでした。
キテレツな物語なのに、学ぶことが多かったです。
Commented by ぺろんぱ at 2008-12-28 21:07 x
かえるさん、お邪魔します。

私も冒頭部分、好きです。あそこからもう“すぅっと”引き込まれてしまっていました。
ラースを凄く心配している兄夫婦なのだけど、実はラースも、カレンに自分の母親を重ねて子どもを宿している彼女をもの凄く心配しているところが何だか切なくて、でも温かくて。

「見守る」「待つ」という形の愛も深いものなのだなぁって感じました。

何度でも観返してみたい作品です。
ビアンカの表情にも注目してみたり。基本、同じ表情のはずなんですが、もしかして微妙に違って見えてきたりするのかも、などと思ってます。

Commented by CaeRu_noix at 2008-12-29 12:27
ぺろんぱ さん♪
すぅーっといきましたよね。
しーんな感じとカレンのきゃぴーな感じがよかったなぁ。
シャイな主人公、言葉を話さないパートナーゆえに、寡黙なワンショットが素晴らしい味わいで、カウリスマキ映画を彷彿とさせるものがありませんでしたか?
そうですね。ラースはカレンに触れられることは苦手ではあったけど、兄ちゃんの奥さんの親切な彼女にちゃんと好意的に接していて、お母さんになる彼女のことをとてもいたわっていることがまたステキでしたよね。
人と人との関係性は1対1だったら、それだけで終わっちゃうんだけど、線が繋がって輪になるところで、いろんな可能性が広がるということを、某映画を見て感じたのですが、ここにもそれが当てはまりますね。
「受け入れる」「否定しない」「求めない」、そして、ただ「見守る」「待つ」ことがいかに大切かと実感しましたよね。崇高な愛。
ビアンカの表情も気になりましたよね。確かに、場面によって、違った表情に感じられました。ビアンカにも哀悼をー。
Commented by 哀生龍 at 2008-12-30 12:45 x
良くあることですが、多分、かえるさんと哀生龍とは違う感じ方でこの作品に“ジワリジワーン”としたんだと思います。
1つの障害を乗り越える時に受ける、痛さと切なさと哀しさ。
「苦しい思いはしたくないから、立ちはだかる壁なんか越えなくったっていいよ」と逃げを打って泣き言をこぼしたくなるような辛さ。
そして、兄貴との関係。
そんな所にやられてしまいました。
Commented by CaeRu_noix at 2008-12-30 13:36
哀生龍 さん♪
そうですね。哀生龍さんは、私の感動ポイントには心は動かされなかったようなので、哀生龍さん的には"違う"ってことになるのでしょうね。
が、結果的・最終的には確かに私は、人々の温かさによってラースが再生するあたりに最も感動したのですけれど、途中までは哀生龍さんのぐっときたポイントにも大いに胸を締め付けられていたんですよ。
だから、わたし的には、今回も感じ方は違ったよーっていうことでもなかったんで、珍しく私の方からコメにいってみたのですが、真っ向から違うと言われてしまいましたね。w
まぁ、結果的には、感じ方の核になる部分はやっぱり違ったということでしょうかね?
痛さと切なさと哀しさにキューンとなったからこそ、逆転部分の感動も大きかったのですです。
感銘の重点はずれていたのであれ、この素敵な作品にジーンとなれて、よかった、よかったということでー
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