かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『マルセイユの決着』 Le deuxième souffle
2009年 01月 17日 |
お・と・し・ま・え!ダンディズムに酔うのだ。

1960年代のフランス。大物ギャングのギュが脱獄し10年ぶりにパリを目指す。



フィルムノワールの巨匠ジャン=ピエール・メルヴィルの幻の名作『ギャング』(66)のリメイク。

決着と書いて、おとしまえと読むのだー!原作小説のタイトルの「おとしまえをつけろ」から来ているもよう。原作の著者ジョゼ・ジョヴァンニは、映画監督の仕事もしていて、あの自伝的な『父よ』の作者でもあったのか。ヴァンサン・ルクールくんの演じていたあの映画の主人公がギャングと刑務所を体験したこの著者なのかってことを今更知った私。

さて、名作フィルムノワールが多大な製作費をかけて、ダニエル・オートゥイユ主演でリメイクされたっていうのに、日本ではシアターN渋谷でひっそりと3週間ポッキリの上映だなんて。そんな扱いをされるほどにダメダメ作品なのかという不安がよぎったけれど、心配は無用でした。もちろん、きっとオリジナルのメルヴィル版はもっといいんだろうなぁって思わせられる余地はあったけど、長尺でも飽くことなく酔えるノワールものでした。フランス映画は人気がないとはいえ、『あるいは裏切りという名の犬』はあんなにヒットしたのに、なんでコレはこんなに注目をされていないの?せっかくの映画なのにね。雰囲気重視の私は大いに満足。

コテコテの古めかしき時代感。クドさを感じさせるほどに作りこまれた映像によって、暗黒世界に匂い立つダンディズムが素晴らしい。例えば、ジョニー・トーの映画なんかもそういった空気感を極めているけど、あちらはやっぱり現代の香港のドラマらしいあっさりとしたシャープさがあるんだよね。こちらはその点フレンチならではの、格調高いまとわりつくよなこってり濃厚テイスト。黄色がかった映像がよい感じなのです。室内はともかく、昼間の屋外は黄色っぽくしなくても・・・って思うこともあったほどに徹底的。

美術や撮影のこだわりが全てではなく、そんな60年代的ノワールの雰囲気を完成させているのはもちろんギャングな男たちのシブい存在感。でもね、私としては、主人公のギュの役は他の俳優がやってくれた方がよかったな。こういう大作の主役には、名優ダニエル・オートゥイユにオファーがいくのは当然なのだろうけど。それほどにキレ者の大物ギャングには見えないのだもの。モニカ・ベルッチのような経験豊富な?ゴージャス女が惚れてつくしてしまう男としてはもう少し際立つ魅力がほしい気がしたの。(ヴァンサン・カッセルがフケ顔メイクでギュの役をやればよかったのになーなんて。)オリジナル作品の主演俳優は当時はもう10歳くらい若かったことを思うと、年齢的な違和感も納得なのだけど。

オートゥイユがちょっと見劣りしてしまったのは、他に注目に値する人がいたからなんだとも思う。印象に残ったのは、ダニエル・デュヴァルの佇まい。そして、最高にカッコよかったのは、オルロフ役の43年生まれのジャック・デュトロン。暗黒社会に生きる男の風格が漂っていて、黒いスーツ姿がキマるスレンダーさがいいの。穏やかさとシャープさを合わせ持つ感じ。そんなジイに惚れぼれしちゃったばかりに、いつもだったら、ニコラ・デュヴォシェルくんカッコイイ!って思うはずの私なのに、今回は若造の出る幕じゃないぜって感じたほどに。と品定めしつつ、ギャングな男たちのそれぞれの色香ある存在感に魅入って満喫。
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by CaeRu_noix | 2009-01-17 02:02 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(2)
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Commented by umikarahajimaru at 2009-01-18 00:41 x
気がつけば、アラン・コルノーって全然劇場公開されない監督になってたんですね。未公開作が観たいですね。 といいつつ最新の『マルセイユの決着』よりも30年前の『セリ・ノワール』の方が断然すばらしいのですが。
ところで『マルセイユの決着』って、ストーリーラインが『エグザイル/絆』に似てると思いませんでした? 本当は『ギャング』と『エグザイル』が似てるっていうことなんでしょうが。
Commented by CaeRu_noix at 2009-01-18 01:23
umikarahajimaru さん♪
アラン・コルノー監督作品の日本公開は久しぶりのことだったんですねー。
この方に限らず、ヨーロッパ映画は本当に限られたものしか日本では公開されないですよねー。
あの名匠の作品もあの秀作もぜーんぜんだもの。
そして、お恥ずかしながら、私自身、コルノー作品の劇場鑑賞をしたことがありません。
あと、『インド夜想曲』くらいしか観ていないかも。タッチは好きです。
断然すばらしい『セリ・ノワール』を観てみたいものですー。
ストーリーラインは『エグザイル/絆』に似ているとはあんまり思わなかったのですけど、比較すると共通項がありますね。
エグザイルにはお色気情婦が登場しないけれど。お店もやってないし。
雰囲気もかぶりましたかな。本家のあちらが後に香港ノワールの影響も受けたという説も。
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