かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『キャラメル』
2009年 02月 08日 |
甘くてスパイシー。味わい広がるレバノンのキャラメル。

ベイルートのエステサロンに集う女性たちの物語。



レバノンにこんなにハートウォーミングな女性群像劇が誕生したなんて嬉しくなっちゃう。アカデミー賞外国語映画賞部門のレバノン代表だったりと、すこぶる評判もよかったから、一般公開を楽しみにしていたのだけど、期待どおりのステキな映画だったね。これは、ミュージック・ビデオなどを手がけていたナディーン・ラバキーの初の長編映画で、その74年生まれの女性監督は、美しき主演女優を兼ねていたことを思い出し、そのセンスと実力に驚嘆。かっこいいなぁ。アラブ女性の輝ける星。

レバノンの国から思い出すのは、まず内戦であったり、ヒズボラという組織の名前だったりする。スクリーンでレバノンの風景を観ることは時々あったのだけど、いつだってそれは戦争を描いたものか、或いは武力紛争によって荒廃した街や不穏な空気に包まれた人々の姿だった。でも、当たり前のことなんだけど、政情が不安定な国だってどこだって、一般の人々はささやかな毎日を送りながら、私達と同じように一喜一憂しながら生きているんだよね。当たり前なのに身近ではなかったレバノンの女性たちの物語。どこの国も同じなのだなぁと共感させられたり、その民族、その国ならではの特色が興味深くもあったり、群像劇好きの私にはたまらない魅力的なものだったな。アラビアンな音楽も魅力的。

キャラメルというタイトルからして既に、女性ならではの感性が感じられるのだけど、まさかまさか、キャラメルってそういう存在だったとは。お菓子屋さんではなくて、エステサロンが舞台なのに、冒頭から、琥珀色のキャラメルが鍋でじっくり煮詰められるショットが映るのだけど、それが脱毛ワックスのように使われるものだと知ってビックリ。甘ったるーいキャラメルは痛みをもたらすものであり。でも、そうやって、女たちは美を追求し続けるのだ。エステサロンという場所で、女たちがは鏡と向き合い自分を見つめ、男たちの前ではさらけ出せない思いを吐露しながら、来た時よりも美しくなって店を出て行く。舞台設定とその場所だからこそ滲み出るテーマ性がオツなのだ。美容院に行くのさえ億劫だと思っている自分をことをすっかり忘れて、かしましいサロンの空間を満喫。

結婚を控えてとある事実に悩むニスリンのエピソードは、お国ならではイスラム教徒ならではのもので興味深く、この21世紀においても封建的な風習の中で生きる女は大変なのだなぁって同情。でも、そういう悲惨な状況が、コミカルに語られているところがとてもステキ。逆に、年をとることに怯えておかしな行動をとるジャマルの姿は、ユーモラスに描かれているからこそ、その痛さがやるせなくて仕方ないのだけど。ローズの姿はせつないのを通り越して、ただただ感動しちゃう。ラヤールがやっとの思いでホテルの一室でパーティの準備をするシーンにはせつなく共感させられ、でも同僚たちは彼女の手作りケーキがまずいという本音で笑わせてくれる。それぞれの悩みごとはリアルに共感できるもので、ズッシリと哀しいものもあるのだけど、ジメっと淀むことなく流れるように語られているのがすごくいいの。みんなこうやって生きているんだよねって、清々しい気持ちになれるのだ。
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by CaeRu_noix | 2009-02-08 23:58 | CINEMAレヴュー | Trackback(10) | Comments(12)
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Tracked from ヨーロッパ映画を観よう! at 2009-02-10 00:04
タイトル : 「キャラメル」
「Sukkar banat 」...aka「Caramel」 2007 フランス/レバノン ベイルートの小さなエステサロンに集まる5人の女性たち。彼女たちにはそれぞれに秘密があった... ラヤールにナディーン・ラバキー。 二スリンにヤスミン・アル・マスリー。 リマにジョアンナ・ムカルゼル。 ジャマルにジゼル・アウワード。 ローズにシハーム・ハッダード。 監督、脚本もナディーン・ラバキー。 エステサロンのオーナー、ラヤールは両親、弟と同居中。親からは“いつ結婚するの?”と言われる...... more
Tracked from DIARIO-M at 2009-02-10 21:56
タイトル : 『キャラメル』 @東京国際映画祭
好き度:★★★★☆ ベイルートのヘアヘステサロンに集う5人の女性。彼女はお互いには言えない悩みをそれぞれ抱えていた・・・・。レバノンっていうと、内戦のイメージが強くて、実際人々がどういう生活を送っているのか、あんまりピンとこなかったのですが、この作品で描かれているレバノンの現代の女性たちは、おしゃれして美しくて生き生きしていてでも抱えている悩みは、不倫、自分の容色の衰え、家族の介護などなど、「ああ。わかるな〜。」と私たちでも共感できることも多くて。女性の悩みって、国境を越えるのね・・...... more
Tracked from 地球が回ればフィルムも回る at 2009-02-19 02:12
タイトル : 『キャラメル』
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Tracked from cinema!cinem.. at 2009-02-25 01:21
タイトル : 『キャラメル』
渋谷のユーロスペースで上映してるレバノン産映画『キャラメル』を観てきました。 映画を見始めた時に間違って併設の『愛のむきだし』を上映してるスクリーンに入ってしまって、3分くらいそのことに気付かなかったバカな自分w。 てっきり予告編で流れてるのかと思ったら、途... more
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タイトル : キャラメル
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Commented by minori at 2009-02-09 16:34 x
かえるさーん。
とうとうご覧になったのですねー。レビュー待ってましたよー。
そう、今まで見たことのなかった世界を、しかも女性目線で見れたステキな作品でしたよね!この国のこと、全然知らないのに、女同士、なんだか共感してしまう、そんなアプローチがステキでした。美容室になんだか足を運びたくなるし、こういう風に女同士でわいわいお話したくなるのもこの映画の魅力。キャラメルはフツウに最初、美味しそうーと思ったんですけどねー(笑)
Commented by margot2005 at 2009-02-10 00:19
かえるさん、TBありがとう!
これは観たくって初日の最終回に行きました。結構入ってましたね。
女性ならではの展開...内戦など暗い部分には一切触れないで、女の友情が素敵でしたわ。
レバノンがあのように雑多な宗教国ってこと初めて知りました。
ヨーロッパ文化(フランス)に憧れる女性たちがキュートでしたわ。
Beauty、Brain、Body と3Bお持ちのナディーンがまぶしかったです。
“キャラメル”は一度試す価値あるかしら??
Commented by Minita at 2009-02-10 22:04 x
かえるさん、こんばんは~!
レバノンが舞台の映画は初めてだったのですが、そこに描かれている女性たちには、とても生き生きして素敵でしたね~!
悩んでいることも、とっても共感できるもので・・・。
ああいうサロンがあるなら、私も通ってみたいかも(笑)
女性監督ならではなのかな?色使いもとっても好きでした。
私は東京国際映画祭でみたのですが、ラバキー監督は、
妊娠中ということで来日がかなわなかったのが残念でした~。
でもアラブの女性って本当に美しいですね・・・。
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-11 00:00
minori さん♪
ようやく日本でも一般公開が始まりましたよー。
minoriちゃんも大絶賛だったから、前から楽しみにしていたんだけど、ホントに期待に違わないステキな映画でしたわん。
遺跡を見るためにシリア、ヨルダンには行ってみたいと思っていたけど、隣接地域にありながら、レバノンばかりは不穏な国のイメージが強かったですから。
遠いレバノンの女性たちを身近に感じられてよかったです。
群像劇は好きなのでよく見るけれど、主人公がほぼ女性だけのものは久しぶりだった気がします。共感ポイントがいっぱいでしたねー。
そうそう、普段は女だけのコミュニティって苦手だと思っている私なんだけど、ベタベタし過ぎず年齢もキャラもバラバラな彼女たちの雰囲気は風通しがよさげでいいなぁって思えました。
同性嫌いな女子も多いけど、足を引っ張り合うよりは助けあえたらいいよねぇ。
キャラメルはおいしそうでした。とりあえずね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-12 20:33
margot さん♪
私もとっても楽しみにしていたんですよー。
2/1のユーロスペースは大盛況でした。
両方とも31日公開作品だったし、映画の日だったこともあり。
いつもよりも若い女性客が多かった感じです。
ユーロスペースでかかかるレバノン映画が大人気なんて嬉しいかも。
この映画の撮影中は一応平和だったようですが、撮り終わって編集作業をしている段階の2006年にレバノン侵攻/空爆があったんですよね。
私がフィルメックスで観たドヌーヴ主演の映画は、彼女がその後にその地を訪れる様子をカメラに収めたものだったので、あの荒れた光景を思い出すと複雑な気持ちにもなりますが、そういう状況と背中合わせだからこそ、元気になれるステキな映画が作られたことにより価値がありますよね。
すばらしい才色兼備のナディーン・ラバキー!うらやま。
キャラメルは材料費もリーズナブルだし、においもグッドで試す価値オオアリですとも♪
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-12 20:36
Minita さん♪
レバノンの女性たち、とてもステキでしたねー。
中東にはそれなりに興味があったつもりでいたんですが、私はレバノンのことを何も知らなかったことに気づきました。
昔からフランスと関係の深い国だったんですね。
だから、キリスト教徒が3分の1程もいたり、ドヌーヴが訪れたり(笑)、本作もフランスと合作で作られるという話になったのかな。
手術のエピソードばかりはムスリム特有のものという感じでしたが、それ以外の悩みごとは万国共通のものって感じで、とても共感できましたよねー。
そうそう、エステはおろか、美容院に行くのもめんどくせーやとか思っている私なのにw
、こういうサロンなら入り浸りたくなっちゃいますわ。
おお、監督は妊娠中だったのですか。もう生まれたのかしら?
残念。アラブ美人を近くで拝む機会はなかなかないですもんね。
Commented by ぺろんぱ at 2009-02-15 13:41 x
こんにちは。
京阪神では昨日封切で、早速観て来ました。
予想していた以上に深く心を打つものがあり、(私にとっては)生涯を通じての心に残る作品となったような気がしています。

キャラメルの用途にはびっくりしました。
てっきり食べるモノとして描かれるものとばかり・・・。

ローズのくだりには胸を締め付けられるものがありましたが、考えてみればあのラストも、ただ哀しいだけではなく彼女が何かを捨てることによって
新たな強さを得たのだと思える(そう思わないと救われない)ものだったと今感じています。

女性達の生き生きした感じは素敵でしたね。
髪を切った女性の微笑が(もう一つのラストと対比されて)印象深かったです。
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-16 00:49
ぺろんぱ さん♪
オールタイムのベストに食い込みそうなほどですか♪
そんなに気に入っていただけたなんて嬉しいです。
そうなんです。予想以上にグッとくるステキな映画でしたよねー。

キャラメルの用途にはビックリでしたよねー。
キャラメルっていったら、普通は食べるものですもんね。
そして、一粒300メートル!

ローズが出かけるのを断念した場面はとてもせつなかったです。
でも、なんていうか、「ラブ・アクチュアリー」のローラ・リニーのパートがそうであったように、必ずしも不幸な場面なのではなくて、家族をほおっておけないその優しさが輝くのであり、そんな彼女には、また別のハッピーの機会が訪れるのではないかなって思っちゃうのです。
髪を切った女性の姿を追うカメラもすごく好きでした。
ヘアスタイルを変えただけでこんなにウキウキしちゃう女性たちが愛おしく。
ラストで、あえて主演格の5人以外の女性を映し出すというやり方が素晴らしいなぁって。
Commented by Nyaggy at 2009-03-09 13:12 x
かえるさん、こんにちは♪おひさしぶりですー。
ナディーン・ラバキー監督は、74年生まれなんですね。(同い年!)
あるある、と共感できるような女性的な悩みから、レバノンならではの事情まで楽しく見る事ができました。

ローズ姉妹の話は切なかったですね。でも愛おしかった。
>「ラブ・アクチュアリー」のローラ・リニーのパートがそうであったように
…って、なるほど~、そうですね。
きっと彼女には、まだこれから別のいい事が待ってますよね。
真っ赤に染めた髪が意外に似あっていて、かわいかったです。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-10 00:18
Nyaggy さん♪
お久しぶりでーす。
きゃあ、そーなんですかぁー。Nyaggy さんの歳をきいちゃった♪
同い年な女性がこんなに素敵な映画をつくって、大活躍というのは嬉しいことですね。
レバノンなんて遠い未知の国っていうイメージだったけど、共感しちゃうところはたっくさんありましたよねー。
自由な日本人的にビックリだったのは手術のくだりなんかでしょうか。
サロンの雰囲気なんかは西洋的でどこも一緒なのかなって感じでしたよね。
イスラムな結婚式の独特の楽しさで。

1人だけエステの従業員ではないローズは独特の感慨をもたらす存在でしたよね。
彼女のあの決断には拍手したいです。
がっくりするよりも、彼女の姉を思う気持にジーン。
そして、そう、そんな思いやりをもった人にはまた別のハッピーが訪れると思うのですー。
イメチェンしたローズ、恥じらった感じが可愛かったですよねぇ。
Commented by mezzotint at 2009-03-27 23:02 x
かえるさま
今晩は☆★
お邪魔致します!何とナディーン以外のキャストの皆さん、
素人のだそうです。自然な演技でしたよね。
そういうところがいい感じなのかもしれませんね。
キャラメルがエステの道具ななるなんて面白いですよね。
私はリリーがお気に入りです!TBさせて頂きました。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-29 00:20
mezzotint さん♪
そうそう、主演もした監督以外は俳優さんじゃないらしいですね。
とどこかで読みかじってはいたものの、本当に全く普通の職業についている女性たちだったんだーとmezzotint さんの記事を読んで、改めてそのことを確認。
そう、みんなすごくナチュラルにその役になりきっていましたよねー。
監督の演出力のなせる技だったのでしょうか。素晴らしい。
キャラメルの用途にはビックリでしたが、そこがオツですよね。
リリーの存在もよかったですよねぇ。ハラハラしたり、和まされたり。
妹ローズは大変でしょうけど、観客のわたし的には、ラブリーキャラでした♪
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