かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『大阪ハムレット』
2009年 02月 17日 |
ぬくぬく。ほくほく。

父親が亡くなり、母・房子と息子三人の久保家に叔父さんが居候するようになった。



ええなぁ、ええなぁ。大阪弁で会話したなるなぁ。
メディアの意図に偏ったものがあるせいか、大阪弁というと、声がでかくて早口でまくしたてる図々しいオバちゃんのウルサいしゃべりばかりがまず思い浮かんじゃうんだけど。でも実際、自分の大阪の友達の半分近くはゆったり口調で話す人だったりして。本作に登場する人々にしても、ヤンキー次男をのぞけば、みんな概してゆるやかなテンポでしゃべっていて、そのやわらか大阪弁は耳触りがよく、何だか和んじゃうカンジ。ええなぁ。時々、映し出される張り紙のフレーズがまた面白かった。大阪では本当にこういう文で注意書きの貼り紙がされているの?だとしたら、素晴らしい。「駐車厳禁」と書いてあるより、「お願いや"堺"、駐車せんといて」みたいな低姿勢な注意書きの方が人間味があって断然ええなぁ。大阪人情、下町情緒、ステキだぁ。

原作は、「少年アシベ」の作者による漫画なのだね。キャラクターの個性的なコミカルさは、確かにいかにもマンガチック。笑いが漫画的なテンポで織り込まれていたもんね。それでいて、アンバランスさも感じたの。ヤンキー次男のキャラがあまりにもコテコテに昭和風味なのに比べると、長男と三男を取り巻く出来事はわりと今日的なものを取り入れたという印象で。「漫画アクション」のサイトで、本原作漫画の第一話を読めるサービスがあったので、のぞいてみたところ、登場しているのは次男のユキオくんだけ。長男と三男は映画版オリジナルのキャラクターなのかな。他のものが合体したのかな。原作にはないものだとしたら、テイストが違うのも納得。でも、その編成に違和感があったというんではなくて、三兄弟のそれぞれドラマが物語られているからこそ、味わいが増すものになったと思う。三男・宏基くんが劇のヒロインに指名されるところなんて感動ポイントだったし。

こんな絵柄だったのか。マンガはマンガでちょっとシュールな感じがいいんだけど、ビジュアル的にはちょっと好感を抱きづらいよね。でも、それが映画だと、同じキャラにエピソードでも立体的に陰影が生まれて、しみじみ共感度の高いものになっていた。原作マンガの飄々とした強かなオカンとは違って、映画の松坂オカンは美しく優しく健気で、それなのにであっけらかんと大らかに生きているものだから、ついつい感動させられちゃうんだよね。いかにもっていうキャラじゃないさりげない肝っ玉母さんパワーにやられるの。マンガの次男ユキオくんは顔怖いし、マンガのおっちゃんは顔キモチ悪いけど、映画の彼らは、より人間味があって、愛嬌があってほほえましくてよかったな。先生もね。

みんなそれぞれ悩みごとを抱えながらもたくましく生きているってことが、マンガ原作ならではのユーモラスさで、大阪ノリを盛り込んで、映画的に綴られるから、楽しくもジワリジワリと心に響くのだ。兄弟それぞれのエピソードが順番に映し出されるというのは、群像劇ではおなじみのやり方なんだけど、いい感じでハーモニーになって気持ちが高なっていくの。ハムレットをモチーフにして、「生」をとらえたり、背中合わせの悲劇と喜劇についてアプローチしちゃうところもさりげなくてよいよね。悩まないっていうのもどうかと思うわけで、悩んでこそ人間。でも、悲しみを笑い飛ばして、生きるパワーに変換できたらよいよね。栄光に輝いていなくても、風変わりでパッとしてなくても、自分らしくどうにか生きていればそれでいいじゃないかって思わせてくれる。ヘンテコやけどたくましい久保家ぬくさはほんまにええよ。
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by CaeRu_noix | 2009-02-17 22:31 | CINEMAレヴュー | Trackback(1) | Comments(2)
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Tracked from 俺の明日はどっちだ at 2009-02-27 09:15
タイトル : 「大阪ハムレット」
うひょー! 舞台が大阪というだけですっかり心和んでしまった森下裕美の連作短篇オムニバス漫画「大阪ハムレット」の実写映画化作品。 中学生なのに成り行きで大学生と偽り(ちなみに大学の名前『同志館』!)女子大生と付き合うものの「私のお父ちゃんになって」と甘えられ恋に悩む長男。 喧嘩に明け暮れているツッパリながら、学級担任から「久保くんはハムレットやなあ」と言われ、父が死に、いつのまにか同居した叔父と暮らすというハムレットのような家庭環境、そして自分の出自に対しても悩む次男。 そして「女の子になりたい」とク...... more
Commented by SGA屋伍一 at 2009-02-18 08:24 x
おはよーさんです
原作は一巻だけ借りて読みました。映画は見てないっす。つか、こっちまで流れてきただろうか?

映画では別々のエピソードに出てくる少年たちを(オムニバス形式なんですね)、無理矢理一つの一家の話にしてあるみたいです

原作では中学生のと教師の道ならぬ恋のお話が好きでした
なんつーか、うらやましいヤツだなと(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-18 16:28
SGA屋伍一さん♪
流れてきたら映画も是非ご覧あれ~。
原作は中学生と教師の恋のお話だったのかしら?
映画の長男のエピソードが中学生なのに大学生ってことにして教育実習の女子大生とお近づきになっちゃう話でした。
なるほど。原作漫画は毎回主人公が替わる一話完結型なんですね。
一話の久保家をメインに他のキャラ、エピも加えたのかな。
台詞もまんまなのに雰囲気がかわるのが面白く。
伍一さんも道ならぬ恋をぜひ!
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