かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『ポーラX』 POLA X
2009年 02月 24日 |
ギョーム・ドパルデューを偲んで。



2008年、出演作の『ミスター・ロンリー』で、そして、『Tokyo!』でレオス・カラックスに久しぶりに再会。
同様に、劇場公開作にてギョーム・ドパルデューにも再会できた年だったのに、その矢先に訃報をきいた。
『Tokyo!』でカラックスの撮るドニ・ラヴァンを見て、来月は、ジュリエット・ビノシュが来日することもあって、アレックス3部作のことなんかを思い出したりする。
カラックスは私にとって大切な映像作家の1人なのですから。

99年のユーロスペースでの封切時以来かな。ということは、もう10年近い年月が経過しているんだ・・・。よよよ・・。その当時は、ブログはもちろんやってないし、映画の感想をメモったりもしてはいなかったけれど、その2年後くらいのメールで私は、"『ポーラX』はあまり好きになれなかった"とか、"そのよさがわかんなかった"なんてことをチラリと書いているんだよね。それは、ひたすら暗くて、救いのないドラマだったからなのかな。哀しみ・痛さあってこそ、強く心を掴まれる映画というのもあるのだけれど、本作に関してはそういう手ごたえもなくて、ザワザワと嫌な気分にさせられただけだったのかもしれない。わからなさもあったのだろうか。

でも、再見してみると、あらすじは記憶しているから、物語に今更失望することはないわけで、こういう映画だったんだという新発見もあって、懐かしさにも感銘を受けるのだった。もはや、映画の主人公のこの手の破滅的な行動に、不安感でいっぱいになったりはしないから。それは免疫がついたというよりは、感じ方が多少はフレキシブルになったからじゃないかなぁなんて。あの時のカテリーナ・ゴルベワの印象は少し気味悪くて、得体のしれないものだった気がするもの。だから、優雅に自由に暮らしていたお坊ちゃまが、彼女に出会って生活を一変させることには、納得もいかなくて不快な気持ちになったのだよね。だけど今は逆に、東側出身の姉の登場に見て見ぬふりをすることができなかったピエールの繊細で誠実な一面を感じ取りたいというか。誰も彼もわが身を守ることに一生懸命な世界で、自らを破滅に向かわせようとも貫くものがあるなんて、そのまっしぐらな姿に心うたれるという感じ。狂気じみているとしても。

私にとってのギョームはまずはこのギョームなんだよね。バイクに乗って転倒するシーンだとか足を引き摺って歩く姿にドキリとさせられたり。ギョームは背中が、立ち姿がカッコいいのだよね。バイクに、そして馬に乗る姿も見られて感無量。ピエールって、傍から見たら、好青年じゃないのだろうけど、ギョームの人格が重なって見えてしまうんだよね。それでいて、結局さ、ピエールは虚構の人物でもあるから、どこかで安心なのかもしれない。どんなに彼が破滅的な生き方をしようとも、それでも生は生として、一筋の光を放出しているのだもの。でも、ギョーム・ドパルデューの生は、途切れてしまったのだよね。その無念さがピエールの悲劇に重なるのではなくて、逆側から照らし出しているように感じられて。複雑な思いでため息。レオスもがんばってねーって、思ってみたりするの。

ノルマンディの古城の佇まいが本当にステキ。エリック・ゴーティエのカメラはやっぱり好き。スプリンクラーが水撒きをする緑の芝生とお城のショットにクラクラ。多くのことを忘れていた。覚えていたのはあの前衛的なバンド。あのリーダーって、シャルナス・バルタスなんだーってことにも感動。世界のここらへんが好き。

-Cast-
ギョーム・ドパルデュー- - ピエール・ヴァロンブルーズ
カトリーヌ・ドヌーヴ- - 母親マリー
カテリーナ・ゴルベワ- - イザベル
デルフィーヌ・シュイヨー- - リシュー
ペトルータ・カターナ- - ペトルーツァ
ミハエラ・シラギ- - ミハエラ
ローラン・リュカ- - 従兄ティボー
サミュエル・デュピイ- - リシューの弟フレッド
パタシュー- - 編集者マルグリット
シャルナス・バルタス- - グループのボス

監督.脚本:レオス・カラックス
原作:ハーマン・メルヴィル
脚本:ジャン=ポル・ファルゴー、ローランド・セドフスキー
撮影:エリック・ゴーティエ美術:ローラン・アレール
編集:ネリー・ケティエ 音楽:スコット・ウォーカー
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by CaeRu_noix | 2009-02-24 23:49 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(10)
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Commented by えいはち at 2009-02-25 11:21 x
かえるさん、お久しぶりです。
あいかわらずあまり映画は見てないんですが(最近Coccoのドキュメンタリー見ました)、
このタイトルを見ると、やっぱり書き込みたくなっちゃいます。
今のところ公開時に見たのみです。もう10年経ちますか。
配給はユーロスペースですが、僕が見たのはシネマライズでした。
終わって灯りがついたとき、あそこの重金属っぽい独特の内装が目に飛び込んできて、
内容とシンクロしたような感覚、10年前のことなのに記憶が鮮烈に甦ります。
重い、重い作品でした。『ポンヌフの恋人』の疾走感は微塵も感じられません。
激しく愛しあう二人の背景に横たわる、当時のバルカン半島情勢や、
植民地を搾取し豊かさを享受してきた欧州の富裕層、格差社会、など、
現在にも通じる問題を突きつけられたまま、突っ込んでいく絶望的なラスト。
お気に入りの映画には成り得ないんですが、いつまでも心にまとわりついて離れません。
時々ふっと見返したいなという気も起きるのですが、まだまだ踏ん切りがつきません。
というか、各シーンがまだ生々しく脳裏に焼きついていますので、再見は当分先でしょう。
Commented by manimani at 2009-02-25 22:30 x
ポーラXは観てないんですよ
まずいですよね、これは
そういえばどこかで上映しましたね、どこでしたっけ??
家にあるチラシ漁らないと・・・
(と、ムダコメを・・・)
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-26 00:01
えいはち さん♪
久しぶりのコメントありがとうございますー
ポーラXへの反応、嬉しいです♪
公開は99年10月なので、もう9年半ほどに。
そうですか。公開はライズだったんですね?
同じ頃に、ユーロで特集をやってたのか、アレックス三部作をユーロで観たらしい記録があるので、「ポーラX」もユーロかなと思ったのですが、そう言われると、ライズっぽい気がしてきました。
本当に、気が滅入るばかりの重苦しい暗い内容の映画でしたよね。
私もこればかりは"好き"という表現ができませんでした。
でも、今回再見してみたら、不快な気分に襲われることはなかったんですよね。
私の場合は、99年には詳しいことを何も知らなかったので、直感的に生理的に不快になったことが大きいのですが。
今は、10年たった現在にも通じる問題を描いていることに感心してみたり。
カラックスもブルジョア批判な切り口をもっていたとはわかってなかったので。
そんなテーマが見え隠れすることも興味深く、後はただ、カラックスの感性・センスに再会できたことが嬉しかったのでした。
えいはちさんも是非いつか再見してみてください。
それと、カラックスには長編新作を何とか撮ってほしいですー。
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-26 00:03
manimani さん♪
シネマアンジェリカで上映中ですよー。
私はそれで観たので記事にしたのですぅ。
カラックスはスクリーンで見ないとね♪
でも、14時20分から1回の上映で、たぶん金曜日までです・・・
明日か明後日、仕事をさぼって、是非!w
Commented by manimani at 2009-02-26 05:40 x
そうだ!3鬼才!変な企画!(笑)
うむむむ〜14:20か〜@*+?#ムリだあ;;
Commented by mi10kuma at 2009-02-26 09:36
シリキです。ああ、この作品観たいです、もう一度。
もうカラックスはこういう、ドンズマリのような映画は撮らないかなあ。
やっとチェ2部作が観れて、昨日は恵比寿へ行く用事もあったのに時間があわずに「ロルナ」がみれなくて涙でした...
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-26 23:29
manimani さん♪
ですです。3鬼才!
『Tokyo!』上映関連。
他の2監督のは2作品かかるのに、カラックスのはこれだけで寂しく。
『ボーイ・ミーツ・ガール』もやってくれー。
『ポーラX』、いつか観てくださいねー。
ドヌーヴの入浴シーンもあります。w
Commented by CaeRu_noix at 2009-02-26 23:32
シリキ さん♪
金曜まで上映中でーす。
って、一週間ポッキリ、一日一回上映じゃ厳しいですよね・・・。
ドンズマリのような映画をまた撮ってくれる可能性もあると思うのですが、
それ以前に、長編映画を撮る企画自体がなさそうなのが問題です。
何も言わずに、資金だけ出してくれる人がいたら、期待はできると思うのですけれど・・・。
ベネックスとかも・・・

うう、ロルナは残念でした。
私が代わりに?エビスでロックンローラを見てまいりましたよ。
Commented by たかこ at 2009-05-25 00:36 x
あのアバンギャルドなバンド、奇妙な格好で、弾いてるのか何なのかわからない感じが、不思議でおもしろいなと思いました。オーケストラ風味の余興??

そう、今観たから不安感でいっぱいにはならなかったです。
イザベルの不気味さも、最初の方でぶざまにコケる後ろ姿のシーンを見たら、怖くなくなりましたw

バイクの転倒とか脚を引きずるシーン、びっくりしました…。こんなことってあるのか…って。
美しい男子だけど危ない感じ。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-25 01:36
たかこさん♪
前衛バンドはそれはもうインパクトがありましたよね。廃墟が似合うー。
ああいう音楽と政治的なものが結びつくというのがもっともらしいようで実はよくわからなく、でもこの音楽が明らかに、見る者の心のざわつきを湧き立たせていた感じでなくてはならないものでしたー。

初めてこの映画を見た時は、私はたぶんイザベルに対して、何とも言えない不穏なものを感じていたはずで、彼のドヌーヴ母とのお風呂シーンにも軽くショックを受けたような記憶があります。
今はあれこれ免疫がついちゃった。
たかこさんもピンク系とかあれこれご覧になっているから、全然OKよね。

ひとつひとつのエピソードを拾ったなら、リアリティがあるとはいえないんだけど、映画としては世界が確立されているという感じで。
危なさが魅惑的ー。
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