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『ホルテンさんのはじめての冒険』 O'HORTEN
2009年 03月 03日 |
喫煙するなら、パイプがいいね。
シュッポシュッポ、ジャーンプ。

ノルウェー鉄道の運転士として働くオッド・ホルテンは67歳で定年退職の日を迎えようとしていた。



『キッチン・ストーリー』、『卵の番人』のベン・ハーメル監督がノルウェー映画に帰ってきてちょっと嬉しい。前回はアメリカで、ブゴウスキーの映画なんかを撮ったわけなんだけど、『キッチン・ストーリー』の監督は、ブゴウスキーってタイプじゃないでしょうと思っていたもの。やっぱりユーモラスなこのテイストですよ。フィヨルドの国、バイキングの国、日本と国土面積はほとんど同じなのに、人口は大違いに少ない、のどかなイメージの広がる北欧のノルウェー。フィンランドのカウリスマキ、スウェーデンのロイ・アンダーソンにも通じるオフビート感が好感触。

ホルテンさんの飄々とした姿がたまらなく微笑ましいの。ムーミンパパか、ホルテンさんか、パイプをくゆらす姿がステキ。トホホな出来事に遭遇しても、慌てず騒がず、マイペースにひょいひょいとやり過ごしていくのだよね。言葉の少ないホルテンさんだから、もっと彼のことが知りたいなと、その挙動・行動をじっと見つめてしまうのだ。ハリウッド映画などのハイテンポに慣れてしまっている人には少し退屈かもしれないけど、メジャー大作のチャカチャカ、ガチャガチャした映画にちょっと疲れてしまうこともあるヨーロッパ映画好きの私なんかには、とても心地よい空気感とリズム。コネタにクスクス笑いつつ、時に哀愁を感じたりもしながら、ほのぼのぼの~。

老人ホームに入っている老いた母親はいるけれど、共に暮らす家族はいないらしく、飼っている小鳥に餌をやる姿が印象的。そんな孤独な環境で定年退職の日を迎えることになるのはすごく寂しい気もするのだけど、寂しさが前面に出されるわけではなくて、あくまでもコミカルに綴られるんだよね。何かの終りの日というと感傷的になってしまいそうなのだけど、ひたすら微笑ましさに覆われるかのような、そういう受け止め方が大切かもしれないなぁって思うのだった。真面目に勤続してきたホルテンさんが、最後の最後の日にちゃんと勤務をすることができなくなっちゃうなんてそれはガッカリなことだろうけど、サラリサラーリとプチプチ冒険を続けていくから、その姿にキューンとしちゃうのだ。

そして、路上に横たわるおじいさんとの出会いがまたオツで。目をつぶって運転はさすがに怖いでしょうって思うけど、人通りの少ない歩道で目をつぶって歩いてみることを試みる私は、そんな発想がツボだったり。とワクワクしていたら、あらあらあら・・・。ハートウォーミンーなのかブラックなのか。職業と弟の話の真実にはちょっと切なくなったけど、そんな一期一会が人生についての思いを深めてくれるのだよね。そんな大胆におかしな生き方をするじいさんがいるのだから、堅実に生きてきたホルテンさんもまだこれから一花咲かせちゃおうぜってな感じで、爽快なジャンプ。生きづらい世の中ではあるけれど、そんな心がけでゆるりといきたいものだ。
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by CaeRu_noix | 2009-03-03 20:53 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(4)
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Commented by ゆるり at 2009-03-05 13:34 x
この映画やたらと予告を観る機会が多くて、
(かえるさんのアドバイス通りなるべく見ない様にはしてても耳には入ってくるぅ)
正直、ちょっとウンザリしてました。(逆効果やと思うねんけど!)

けど、観に行ってよかったです。
ホルテンさんのしみじみとした様子だけで、優しい気持ちになれる。
色々な悲しみや複雑な事情があったとしても、それをドドーンと
前面に出してしまうんじゃない。風変わりなエピソードや
数少ないセリフで表現してしまうところが好きですね。
私が日本人である事と関係あるのか無いのかわかりませんが、
そういう一種の“奥ゆかしさ”みたいなものに惹かれます。

マット・ディロンのブコウスキーも結構好きでしたが。(=^_^=)
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-05 23:04
ゆるりさん♪
予告にはうんざりしますよねー。
たまにしか映画を観に行かない人にとっては、予告を観るのも楽しい時間なのだろうけど、私たちには苦行ですよね・・・。
そう、そして、目を閉じても、音は聴こえてくるのです。邦画は困るし。洋画の日本語ナレーションもいい迷惑・・・。
でも、ホルテンさんの名場面を何度も見られるのはそれはそれでステキかも?

そう、孤独感や悲しみや悩みごとを、観客に共感してくれとばかりに、訴えかけてこない描写の仕方がいいんですよね。
それでも、哀愁が感じるし、その思いを想像することはできるから、なんともいえない気持ちになりまする。
そうそう、私もそういう奥ゆかしさが大好きです。
感情をがんがんぶつけあうドラマには逆に心が動かなかったりして。
ホルテンさんは日本のオジサンのある層にも少し似ているかも。

マット・ディロンのブコウスキーはわたし的には惜しい映画でしたが、彼の佇まいは印象深いですー。
Commented by kenko at 2009-05-01 14:52 x
こんにちは♪

ゆるゆる〜っとしたノリ、小ネタ、ホルテンさんの人柄にすっかり癒されてしまいました。
ホルテンさんの退職パーティーでやってた鉄道の人ならではのマニアックすぎるクイズとか、良かったです(笑)

ベン・ハーメル監督の映画を観るのは初めてでしたが
すごーく気に入ってしまったので、
近々「キッチン・ストーリー」も観る予定です♪
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-03 10:11
kenko さん♪
ゆるゆる感がオツでしたねー。
ウォルト・コワルスキーのような人もオッド・ホルテンのような人もまた魅力的。
そうそう、クイズのシーンは私も好きでした。
みんなで一斉に汽笛だったかベルだったか音を出すところはすんごく微笑ましくてー。

「キッチン・ストーリー」も是非ご覧あれー。
オフビートのおじさんものはいいですよねー。
「卵の番人」も観てほしいけど、ディスカスにはないかなぁ。
ついでに、スウェーデンのロイ・アンダーソン作品なんかもどーぞ。
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