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かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『美しいひと』 La Belle Personne
2009年 03月 17日 |
「フランス映画祭2009」にて 『美しい人』

16歳のジュニーは母親の死後に転校して、新しい高校でオットーとつき合うようになるが・・・。
パリ16区、レセ・モリエール。舞台は高校。
恋愛心理小説の祖といわれる17世紀の「クレーヴの奥方」の翻案作品。



さてさて、華やかなはずのおフランスなのに、めっきり地味地味な今年のフランス映画祭。
いつもなら、あの監督の新作やこの俳優の公開未定作品が見られて、ウキウキワクワクな映画祭なのだけど、今年はとても寂しいラインナップで・・・。当初は上映作に入っていたのが嬉しかったジュリー・デルピー監督作品も、ホラー作品3本セットのオールナイト上映の枠になっていたために断念。そんな寂しい状況の中で、私が最も楽しみにしていたのは、このクリストフ・オノレ監督作でありました。(アサイヤスのとか、ギョーム主演作とかは、ほどなく一般公開されますからね。)

d0029596_3222064.jpgいつも、仕事を休んでまで、オノレ監督作品を観に行っている私。いや、最初は監督の名前で観に行ったわけじゃなかったんだっけ。『パリの中で』(Dans Paris) はロマン・デュリス主演作だから観たかったんだよね。でも、それがめちゃめちゃ気に入ったので、オノレ監督は急上昇のmy必見監督になったのでした。 『愛のうた、パリ』 (Love Songs)は去年のmyベスト中のベストだし。そんなわけで、オノレ監督の未公開新作を監督のトーク付きで鑑賞することができてハッピーでありました。

ヌーヴェルヴァーグの後継者みたいな言われ方をするタイプの作風にはノックアウトされがちな私。フランス映画らしい映画でありながら、最近はあまりお目にかかれないタッチのフランス映画。フランスの高校が舞台のみずみずしい青春ものな恋愛ものって、意外に見かけないように思うから、何か懐かしいような新鮮な感銘を受けちゃった。『パリの中で』を観た時の記事に、何故か勝手に、デプレシャンの映画を観た時の感動を引き合いに出していた私。今回もふと、『そして、僕は恋をする』なんかのことを思い出しちゃったんだよね。学生たちのざわめきの独特の空気感がすごく好きなのだ。友人同士がじゃれ合いながら、校内を駆け抜ける若者たちの姿の映し出し方にキューンなのだ。やっぱりクリストフ・オノレの感性が私は好きだなぁって思った。なんてセンシティヴな躍動感!

d0029596_3223968.jpgよほどにオノレの世界にマッチしたらしい4作連続で主人公のルイ・ガレル。守備範囲の広い恋多きイタリア語教師役っていうのがまたキュートにハマっている。ネクタイ姿もいいじゃない。イタリア語もセクシーじゃない。ナンパなクセにうら若き乙女ちゃんに夢中になってしまう向こう見ずな情熱男ぶりが可愛いじゃない。深刻さと軽快さのバランス/混じり合い加減がすこぶるよいのだ。そして、そして、噂のレア・セイドゥの佇まいの素晴らしいこと。彼女を主演にしたオノレの嗅覚が嬉しくなっちゃうね。目鼻立ちそのものは決して美人顔じゃないと思うのだけど、整っていないからこその魅力。深い哀しみを抱えているような陰りのある表情、ひたむきな目がとても印象的。この前の2作のヒロインは陽のイメージだったのだけど、こういうアンニュイな女の子っていうのもすごくいいよね。ヌーヴェルヴァーグな存在感にため息。青春のファム・ファタール。

おフランスといえば情熱的なアムールの国ですから、自由奔放な現代においては、およそ「クレーヴの奥方」の貞淑さを物語るのには無理があるはずなのに、この翻案作品は説得力のある胸をうつドラマになっておりました。その頑なさはフランスの恋愛シーンには似合わないと思いきや、レア・セイドゥレア・セドゥー扮するジュニーがそれを見事に体現。恋する高揚感も傷つきやすさも絶頂期の青春期にこんな葛藤に見舞われてしまうジュニーのやるせない思いに心とらわれずにはいられなくて。オットーのことに対する罪悪感は並大抵のものではないと思うし、若くして恋の情熱が一過性のものであることを悟っていることには何とも言えないやるせなさを感じさせるの。感情に流されないなんて、なんてえらいのかしらって感心しちゃう反面、若いのに感情に素直に従う行動を制御せざるを得ない状況に置かれてしまったことが可哀想にも思えてしまって。多様な思いが交錯しつつ、彼女と共にこの学校での思い出を噛み締めるラスト。そして、身を切るような思いでその選択をした彼女はまさに、潔くて崇高な"La Belle Personne"であるなぁって。


d0029596_435375.jpgオノレ監督が、古典の「クレーヴの奥方」を映画のモチーフにした理由の一つは、サルコジ大統領が、「なぜ学校で<クレーヴの奥方>を学ぶのか、この小説を読んでも意味がない」と発言していたことなんだそう。文学の名作を尊重する作家らしい態度が嬉しいじゃないですか。サルコジへの抵抗を暗に含んだ企画を、大統領夫人の姉のパートナーくんと、大統領夫妻の介添え役をした人の娘ちゃん主演で映画化しちゃうのって、何とも面白いじゃないですか。

Léa Seydoux(Junie), Louis Garrel(Nemours), Grégoire Leprince-Ringuet(Otto), Esteban Carvajal-Alegria(Matthias), Simon Truxillo(Henri), Agathe Bonitzer(Marie), Anaïs Demoustier(Catherine), Clotilde Hesme, Alice Butaud,Esther Garrel,Chiara Mastroianni
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by CaeRu_noix | 2009-03-17 01:18 | CINEMAレヴュー | Trackback(4) | Comments(11)
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Tracked from 地球が回ればフィルムも回る at 2009-03-17 11:37
タイトル : フランス映画祭でオノレ『美しい人』
フランス映画祭で、『愛のうた、パリ』に続く、クリストフ・オノレ監督の最新作『美しい人』。 ある高校での、教師を含む生徒たちの多角的な恋愛関係を描く。転校生のミステリアスな雰囲気の16歳の女の子が、(たぶん)一番、面倒でない相手としてクラスの中で一番さえない草食系男子を彼氏として選ぶが、美男子で複数の女教師や女生徒と関係がある若いイタリア語教師にも求愛されることになり面倒なことになっていく・・といったような話。asa_nakaさんのブログですでに指摘されているように、ちょっとエドワード・ヤン監督の『クー...... more
Tracked from シャーロットの涙 at 2009-03-18 00:31
タイトル : 美しい人 LA BELLE PERSONNE 
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Tracked from ヨーロッパ映画を観よう! at 2009-03-18 22:42
タイトル : フランス映画祭2009...「美しい人」
今年も開催されたフランス映画祭。年々開催日程が短縮され、上映作品も少ない。今年は4日間で12本(長編)。今迄は同じ作品を日にちを変えて上映していたが、今年は深夜(24:00〜)に数本同じ作品が上映された模様。 今年こそ全部観たい!!と思ったけど、やはり無理で観れたのは8本。どの作品も良かった。 「La Belle personne」... aka 「The Beautiful Person」2008 フランス “この人を愛してはいけない...”パリの高校を舞台に繰り広げられる美しくも哀し...... more
Tracked from EURISKO2005 at 2009-11-01 22:26
タイトル : 美しいひと
 フランス映画祭で3月に公開された作品だそうです。フランス語の音の抜き方というか... more
Commented by マダムS at 2009-03-17 08:35 x
コメントだぶったらゴメンナサイ!
映画祭関連記事、覗いて下さって有難う~♪ 映画の感想も書かねば(^^;)
かえるさんはお好きなクリストフ・オノレ監督にも直接逢えたようで、良かったですよねぇ~ ちょっと調べてみたらロマン君とも何本か撮っているのねぇ? コチラの感想読ませて頂いたらちょっと興味が沸いてきました。 ルイ・ガレル君、教師役でしたか^^てっきり学生役かと勝手に思い込んでました(笑) 監督ご本人もなかなかのイケメンではありませぬか!!(笑)今後ちょっと要注意してみます。 他にも日本未公開作品何本かご覧になったとのこと、今後も感想のアップ楽しみにしてますね~♪ 私が一番観たかったのは実は「西のエデン」なんだけど時間的にやはり無理・・なんとかDVD化されないかなー。。
 ジュリー・テルピーのは私も観たかったけど時間的にも「血がドバっ系」というのにも無理でしたね(^^;) 
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-17 23:38
マダムS さん♪
今年は参加されたのかしらと思っていたのですが、やはりやはりでしたね。が、華麗なるアリバイは一緒だったようなのに、今回はバッタリお会いすることもできずに残念でしたー。
私の方は、ビノシュ団長を拝む機会がなかったのは哀しかったですが、オノレ監督にお目にかかれたのは嬉しかったですー。なんだかんだいって、公開の決まっている映画プラスオープニングセレモニーで団長に会うためには仕事は休まないのに、オノレ監督の配給未定映画を観るためなら、当然のごとく、有休をとっちゃう私でありましたー。
そうなんですよ。クリストフったら、イケメンさん監督です♪ このたびは年相応の体重増加を少々感じてしまいましたが、ネットで見かける監督の若い頃の顔写真は、かなりのイケメン青年でして。ご注目あれ!
ロマンくんが出ている『パリの中で』もすんごいいいんですよ。これは春に日仏でやるそうなので、都合がつきましたら是非。日本語字幕はないのかなぁ。
そう、ルイ・ガレルが先生役をやるようになったとはビックリですー。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-17 23:42

私の方はもはや個別レヴューは書かないかもしれません。(笑)
今回の映画祭、作品数は少なかったのに、スケジュールが不親切だったから、多くを観ることが難しかったですよねー。夜の回はちょっと遅めだし、オールナイトなんて酷過ぎですよねー。徹夜でホラー3作っていうのはあまりにもあまりにも・・・。デルピーのは配給してほしいー。
『西のエデン』もとてもよかったですよー。ロードムービー好きの私としてはとてもツボでした。作品的には素晴らしいのだけど、配給するのには主演俳優が無名なのがネックでしょうかね。でも、フランス映画祭やイタリア映画祭の上映作品って、結構DVDになっているので、最低限その線は期待したいですよねー。
フランス映画祭、もうちょっと盛り返してほしいっす。
Commented by シャーロット at 2009-03-18 00:26 x
ぼんそわ♪お疲れ様でした~

そうですか、今回はレビューは本作のみですかぁ…。
アンヌ・コンシニの印象はいかがでした??私的には彼女も拝みたかったw
それにしても、オノレ監督はかなりお気に入りとなりましたです。やー、ホント音楽使いには惚れこんでしまった。映像的にも胸キュン度高し♪
それとルイ君も良かったけど、何気に私はグレゴワール君にも萌えてしまったし; 男子皆クルクルヘアなのが印象的でしたが彼だけがすっきりショートで好青年風がまたよろし。

新作映画はやはり後まわしで、日仏にはおすすめのロマン君を見に行きます~。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-18 13:14
シャーロット さん♪
来週あたり、新作にレヴューを書きたいのが少なかったら、仏映画祭ものの個別レヴューを1、2本書く予定。
が、時間的余裕がなければ、本作で打ち止めかも。

アンヌ・コンシニはすごくステキでしたよー
気取った感じがまるでなくて、明るく朗らか気さくにチャーミング!
トーク時も常にユーモアを心得ていて。
サイン時もちゃんと目を見て微笑みかけてくれ、去り際には軽く手をあげて、じゃあねのポースもしてくれました。1人1人にね。

オノレ監督作を気に入っていただけてよかったですー。
私はさほどルイ・ガレルふぁんではないんですが、オノレ作品の中の軽快なルイくんキャラはすごく好きなんですよねー。ドワネルっぽい挙動がサイコー。
監督はグレゴワールくんのこともよほど気に入ったんでしょうね。
私はクルクルヘアの男の子が気になり。
彼らがはしゃぎながら校内を闊歩する姿を映し出す感触が大好きで。

日仏のカンヌ監督週間の他の上映作も気になりー。
新作を後回しと決めなくてもいいと思うんですが(笑、この春はフランス映画の新作はほとんどないですしね。
オノレを極めるなら、ドゥミのロシュフォールも観ようよって感じなんですがー。w
Commented by margot2005 at 2009-03-18 22:55
こんばんは!TBありがとう!
私もこの日仕事休んじゃいまして六本木へ...久々に一日3本は疲れました。日曜日も3本でしたの。
さてルイ・ガレルが教師役って?と思いましたが、若きイタリア語教師“トレヴィアン!!”でしたわね。
彼の何気ないファッションもとってもお洒落でした。
ガレルとレア・セイドゥとは2歳くらいしか年が違わないようですが、レアはちょっと東洋的な感じのベイビー・フェイスで役にぴったしだと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-20 00:13
margot さん♪
ふふふ、margot さんもお休みしてまで、映画祭にのぞんだのですかー。
同志よっ♪
スケジュールが詰まっていない3本ですから、かなりの長丁場になって疲れますよねー。
トークショーを聞いたりしていると、ごはんを食べるヒマもなかったり。

ルイ・ガレルが教師役って意外でしたが、よかったですよねー。
でも、そうなんですか。レア・セイドゥとはわずか2歳違いなんですかー。
レアちゃんはしっかり高校生に見えましたよねー。
いかにもな正統派美人じゃない独特の個性がいいですよねー。
アンナ・カリーナを彷彿とさせるなんてことも言われているようで。
わたし的には、一昔前なら、カラックスやベネックスの映画に出ていそうなイメージ。
今度はタランティーノ監督作にも出るようで、もう世界に羽ばたいちゃうもよう。
Commented by Minita at 2009-03-20 20:01 x
かえるさん、こんばんは~!TBありがとうございました!
こちらからは送れなかったです、すみません・・・(T_T)

クリストフ・オノレ監督はかえるさんのお気に入りなのですね~。
機会があったら、他の作品も見てみたいです♪
映像が非常に綺麗で、ひさしぶりに恋愛映画を堪能いたしました!
ハリウッドだと、まぶしくらいの太陽のもと、オープンに恋愛にいそしむ「ビバリーヒルズ高校白書」のような作品になっちゃいそうですが、
この映画は静かにでも激しく燃え上がる恋心の切なさがとても味わいぶかく、
そして、出演者がみんな素敵で、幸せな気分になりました~。
私も退学になっちゃうクルクルヘアーの男の子、好き(笑)

Commented by CaeRu_noix at 2009-03-21 00:06
Minita さん♪
おつかれさまでしたー。
Minita さんはフランス映画祭で何をご覧になるのかしらと思っていたのですが、myお気に入り監督の作品を鑑賞してもらえて嬉しかったですー。
私は好きな監督がたくさんいすぎるので、もうむやみやたらに増やすのはやめようと思っているんですが、オノレ監督については、1,2作を観てビビビときてしまったのですー。
『ジョルジュ・バタイユ ママン』以外は監督作が一般公開されていないのは寂しい限りなんですが、機会ありましたら他のもご覧くださいましー。

そうですね。同じ題材をアメリカで撮ったら、思いっきり陽気になっちゃうでしょうねー。
今なら、ハイスクール・ミュージカルのノリがイメージされちゃう。w
そういう明るく楽しい世界とはもちろん全然違う、苦しい恋模様に詩的な味わいがありましたよねー。
現代的なテイストにヌーヴェルヴァーグ的な懐かしい風合いが織り込まれている感じがほどよく。
そうそう、さりげなくみーんなステキで絵になってましたよねー。
そして、やはり、クルクルヘアーの男の子に目を付けましたねぇ♪
何君だっけ?
Commented by marikzio at 2009-08-21 15:43
再びお邪魔です♪
ああ、羨ましい。トークショーつきで、この作品を観たのですね。欲を言えば、出演者にも来て欲しかったですよね。主役の女の子とか、ガレル君とか。
シチュエーション的には古典的な感じですが、そこにまた良さを見いだせるのがいかにもオノレ流。
なんで日本公開されないんでしょ?あー、私も観たいー。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-22 01:28
marikzio さん♪
こちらにもありがとうございますー。
写真のようなホッソリイケメンではなかったけど(笑)、生オノレ監督、ステキでしたよー。
そうなんですよね。近頃のフランス映画祭のゲストはすっかりしょぼくなってしまったので、有名な俳優さんが来てくれることには、もはや期待さえしなくなっているんですが・・・。もちろん、望むのは主演陣の来日でありました。
監督と俳優さんの両方がいてくれたら、トークもより興味深いものになるだろうし、華やかになりますよねー。
「クレーヴの奥方」の世界がこんなに瑞々しく表現されるなんてステキです。
フランス映画はなぜ、こんなにも公開されないんでしょうかねぇ?
『ママン』のようなエロティックなインパクトが必要なんでしょうかね?
またどこかで上映されたり、DVD化したりするといいですよね。

ではでは、また今後も読ませていただきますねー。
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