かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『PLASTIC CITY プラスティック・シティ』
2009年 03月 22日 |
プラスティックなブラジル旅情がいい感じ。

日系ブラジル人のキリンは、ユダに育てられ、サンパウロの東洋人街リベルタージでユダが仕切るショッピングモールを縄張りに闇稼業で暮らしていた。



ジャ・ジャンクー監督作品の撮影監督ユー・リクウァイの長編劇映画3作目。ということはあれですよ。クライム・ムービーといったって、エンタメものなんかじゃなく、アート系寄りなわけですよ。これまたオダジョー主演っていうことで、普通に話題を集めちゃうわけだけど、『悲夢』も本作も、良くも悪くもやっぱり作家性ありきの映画なのよね。というわけで、シナリオがウリのものよりも、映像で表現しようと試みる作品が好みな私としては、ロケーションの魅力もあってか、悲夢よりこちらの方がしっくりと気に入っちゃった感じ。

ストーリーがよくわかんないタイプと小耳に挟んでいたのだけど、始まってみたら、結構ちゃんと物語が紡ぎだされていて、なんだ、案外と普通のクライムものじゃないかって思ったりした。そうしたら、なるほど後半はもはや、順序だてての出来事の描写がされなくなっていくじゃない。一般的にはそんな後半が不評なのかなって思うのだけど、私は後半戦の方が楽しかったなぁ。だって、そもそものギャングの闘争劇なストーリーが大して面白いわけじゃなかったから、それがどう運ぶかってことよりも、この映像作家はブラジルロケでどんなものを撮りたいと思うのかっていうことの方が、私には興味深かったんだもの。去年の映画祭で観たオムニバスの『ウェルカム・トゥ・サンパウロ』の映像の断片が過りつつ、地球の裏側にあるそのエキサイティングな街に思いを馳せるの。

欧米化された街に暮らす東洋人の我われは、混沌としたエネルギーに満ち溢れるエキゾチック・ブラジルを憧憬せずにはいられないの。ブラジルでなくてはならないという、中国の大地のものとは違うダイナミズムをユー・リクウァイはカメラにおさめたいと思い、オダギリジョーはその異国の地でのロケをやってみたいと思い、私はそれをスクリーンで感じたいと思うわけだ。ジャ・ジャンクーの撮影監督といっても、大陸の人ではなくて、出身は香港で、ヨーロッパの留学経験もあるユー・リクウァイ。香港人のウォン・カーウァイの『ブエノスアイレス』のアプローチが思い出されたりしたのが、好印象になったのかもしれない。アマゾンのジャングルを鳥瞰で撮ったところは、『欲望の翼』を思い出したしね。といってもさすがに、ウォン・カーウァイ作品やジャ・ジャンクー作品ほどに心を釘づけにしてくれるものではないのだけど、抽象的で私には好きなタイプ。

ここのところしばらくは、自分的オダジョーベストを塗り替える映画には出会っていないことに変わりはないものの、韓国映画の中で日本語をしゃべり続けたあちらよりも、ポルトガル語と中国語を話す本作のオダジョーは好演していたかなって思えた。ブラジルのいい加減さの中での仕事は二度とごめんだし、監督のやり方について、注文をすることも多かったというアンソニー・ウォンに対し、ブラジルロケは楽しかったし、監督の撮りたいように撮らせたいと思っていた柔軟なオダギリ。そういう受け身なスタンスが良くも悪くも垣間見られたような。ユー・リクウァイは、風景を切り取るのはお手のものでも、登場人物を作り上げること、俳優の演出については的確ではなかったのかもしれない。ユダとキリンたちのドラマはそれほどのインパクトはもたなかったかな。それでも、嫌いじゃないの、映像詩なところがね。プラスティックなチープ感こそが魅力。
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by CaeRu_noix | 2009-03-22 10:07 | CINEMAレヴュー | Trackback(6) | Comments(2)
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Commented by こべに at 2009-03-23 01:19 x
こんばんは~!かえるさん☆

げっ!ポルトガル語っていうのですね!?
中国語も喋ってたことすらわからないし
もう恥ずかしい(あせあせ)

ワタシがフランス人だったら、気に入っちゃうかもな?!
と、なんとなーく思いました。

ハザートとかアカルイミライとかってのは古過ぎちゃうけど
そういうオダギリがもう一度観たいなーんて思ったりもしたので
かえるさんのオダギリベストが何なのか気になるなぁ。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-23 23:08
こべに さん♪
○○○○語のことは内緒。w
中南米は大体スペイン語圏なんですが、ブラジルはポルトガル語なんですよねぇ。
サウダージのポルトガル語。
オダジョーの台詞はポルトガル語よりも中国語の方が多かった感じですよね。
あれは広東語なのかしらん?
もちろんウマいのか下手なのかは全然わかりましぇんが。

そうですね。フランス人なら気に入るかもー。
実は私はフランス人(パリジェンヌ)なので、気に入ったんですの。
この監督は、ベルギー国立高等舞台芸術学院(INSAS)で映画撮影を専攻したそうで、そこで学んだものはフレンチテイストなんでしょうー。

ハザードとかアカルイミライとかは、作品的にはかなり好きなんだけど、オダギリ自体の存在感はちょっとまだ薄い感じなので、そのものベストにはならずかな。
東京タワーとかたみおのしあわせとかは見てないんだけど、オダギリそのもののmyベストは、①ヒミコ ②ゆれる ③山椒魚  って感じかなぁ。
オダギリの演技に惹かれた最初は、血と骨だったりするんだけど。
と最近は、オダギリの魅力に高揚することもなくなってしまいましたわん。
作品に恵まれていないのか。
私が飽きちゃっただけなのか??
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