かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『THIS IS ENGLAND』
2009年 03月 25日 |
少年よ、少年は、大志を抱くよりもファッションありき。

サッチャー政権下の1983年、イギリス。フォークランド紛争で父をなくしたいじめられっ子のショーンは、スキンヘッズの不良グループと仲良くなる。



シェーン・メドウズ監督が、自身の幼少期の体験を基に描いた青春ドラマなのだって。主人公のショーンは見た目まだまだ子どもっていう感じなのに、年上の不良グループの連中に子ども扱いされることもなく、しっかと仲間入りする構図が面白いなぁって思ったんだけど、それも体験上のものなのかな。小憎っ子が主人公だから、彼が破目を外しすぎませんようにと、日常のささやかな悪だくみも何やらスリリングで、少年の冒険譚が楽しめるのであった。

最初は思ったほどに、テンポがよくなくて、音楽や映し出されるファッションは魅力的なんだけど、期待したほどの高揚感は得られなかった。この監督の前作の『家族のかたち』の作りもそんなによくはなかったから、大きな期待を抱いていたわけでもないけど、こういう題材のものなら、トレ・スポみたいなノリで、ロック・ストックみたいなテンポで、ハイテンションにスタイリッシュにいった方がよりクールな映画になるのになぁって思ったんだよね。着実に地味めな運びで、初めは少しまどろっこしさを感じたのだけど、徐々にリズミカルになってきたので何とか。

とりわけこういったファッションやカルチャーに関心があったわけでもないんだけど、当時の流行が忠実に再現されているというのは魅力的。なるほど、スキンヘッド・カルチャーって、労働者階級の若者たちの間でブームだったのか。ショーンの髪が剃りおとされて、れっきとした仲間入りを果たすシーンは印象的。初めは、ベルボトムなおズボンをバカにされていたショーンだけど、シャツをプレゼントされて、一人前と認められるところは感慨深かった。結局、若い頃ってば、何がしたいっていうわけじゃなくて、仲間と行動し、仲間に認められることが嬉しかったりするものだよね。とにかくファッションが大事で、服装や好きな音楽で仲間意識が強く結びついて、青春は輝くのだよね。

労働者階級の人々を描いた物語というと、ケン・ローチ作品でお馴染みだったけれど、当然のことながら、ケン・ローチの視点は、カルチャーというところに重点は置かれたりしないわけなので、この時代のこの階級の人々を、別の切り口から見つめることができたのは興味深かったな。ドラマのテイストは全然違うけれど、この少年ショーンは、『ケス』の主人公の少年のごとく、ビター・アンド・スイートに大人に向かう道を歩む姿が、危なっかしくも微笑ましくて、とても印象深いのであった。それと、『ワンダーラスト』にも出ていたヴィッキー・マクルアはこういうファッションがすごく似合って、チャーミングだなって思った。
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by CaeRu_noix | 2009-03-25 12:25 | CINEMAレヴュー | Trackback(3) | Comments(4)
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Commented by こべに at 2009-03-27 01:15 x
こちらも記事書いてないのですが
コメント残してゆきます・・・(あせ)

かえるさんの仰るとおり
リッチーなテンポで、トレスポなノリのがいいなぁーと
予告やポスターでそんな期待を抱かせるものがあった
ものですから最初は調子くるっちゃったりもしたのですが
ロケーション、空の色や流れてる空気はやっぱりたまらなくスキでしたよ!

ヴィッキー・マクルアは今回もチャーミングで可愛かったですネ☆
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-28 01:39
こべに さん♪
こちらにもどうもですー。
そうなんすよ。
もうちっとハイテンションにアップテンポでノリノリな青春暴走映画をイメージしちゃってましたよねー。
なので、序盤は少々タルかったですー。
こういうものかと慣れてきたら、興味深く見られたし、基本的には好きなお話だったのですけどね。
そう、イギリスの労働者階級な人々の等身大ドラマはいいですよねぇ。
他の監督の演出でも観てみたいなぁと思う余地はありましたー
スキンヘッズのメンツは地味だったり強面だったりと、目の保養系の男子が少なかった中、ヴィッキーちゃんの魅力には注目しちゃいましたわ。
Commented by シリキ at 2009-03-29 20:27 x
観ました。うーん、評価は難しいのですが、ちょっと中途半端な感じだったかも(また辛口で)。青春カルチャーと今とかぶる人種差別問題(不景気になるとレイシストが増える)の両方を描きたかったのかなあと思うのですがどちらかに絞った方がインパクトあったかもです。でもでも、あの80年代のファッション、音楽はとても懐かしく感じて10代の頃の仲間っていいなあと感慨にふけましたよ。監督の次回作に期待かな。
Commented by CaeRu_noix at 2009-03-30 00:13
シリキ さん♪
そうなんですよ。期待していたほどの満足度はなかったかなぁという感じでした。
フライヤーの写真がカッコよすぎでズルいー。
人種差別の問題はエピソードとして興味深かったし、そういうテーマを盛り込むことは問題ないと思うのですが、全体的にもうちょっと高揚感をもたらすタイプにしてほしかったなぁと。
せっかくのファッションと音楽がちょっともったいないモッタリ感でした。
私は個人的に思い入れのある音楽とかではなかったんですが、シリキさんはそのへんも楽しまれたことでしょう。
日本の80年代カルチャーはこんな風に絵にならないなぁって思ったりしつつ。
でも、青春ものはやっぱりいいですよねー
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