かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『リリィ、はちみつ色の秘密』 The Secret Life of Bees
2009年 04月 09日 |
飛べ飛べハッチ。

1964年の夏、サウスカロライナ州。母の死の記憶にとらわれていた14歳のリリィは、ある日父T・レイに黙って旅に出る。



ダコタンもティーンエイジャーになっていたのねぇ。ハリウッドの人気子役主演のアメリカ製ヒューマンドラマというと、過剰にいかにもな感動の押し売りがされていそうで、少し敬遠気味だった私なんだけど、実際は、イメージしていた物語とは少し方向性が違っていて、堅実にしっかりした作りの映画で、思いのほか興味深く感動的なよいオハナシでしたね。ダコタンになんて感情移入できないかもって思っていたのに、(さすがにトムクルの娘だった『宇宙戦争』の時のような役回りではなく、)ショーン・ペンの娘役だった『I am Sam』の健気な彼女をなつかしく思い出しちゃうような、傷を負ったひたむきな少女のダコタンでした。存在が唯一60年代っぽくない感じはあったけれどね。多感な少女期に、母親不在というだけでも寂しいだろうに、父親は愛情を注いではくれないし、おまけに母のその死にもトラウマを抱えているなんて、リリィのその心情を思うと、それはやるせなくて。

トラウマ少女の再生・成長ドラマというだけならありがちなのだけど、まだ人種差別があからさまだった時代に、白人の少女が黒人の人々との出会いと交流を通して、成長していくという物語であったから感慨もひとしお。リリィが母なき不遇の少女でなかったら、黒人姉妹の家に居候して、黒人少年と映画を見に行くなんてことはありえなかっただろうと思えるのだけど、愛を渇望する孤独な少女だったからこそ、肌の色なんてものにこだわらずに、人間と人間の温かな触れ合い・つながりを実感し、大切にすることができたのかなって。心の狭い差別主義者の暴力行為に憤りを覚えた後に出会った、三姉妹の長女オーガストの大らかの素晴らしさったらないよね。リリィの保護者気分で、オーガストのような寛容偉大な女性に受け入れてもらえて、本当によかったなぁって胸がいっぱいになるの。妹メイの笑顔が見られるなら、おうちをド派手ピンク色に塗ることなんてわけないと言うオーガストの心意気はなんてステキなんだろう。はちみつ色というよりはそんなピンク色が象徴的。

養蜂業という職業も味わいがあるよね。ミツバチといえばハッチとマーヤ。冒険物語と相場が決まっているのだけど、リリィもミツバチなテーマに沿って冒険と心の旅をするのである。トラウマを抱えた少女が温かな出会いを通じて、癒されて再生をするメデタシメデタシな物語と思いきや、またもや差別による暴力に遭遇し、その流れでメイまでもが哀しい決断をしてしまうというショッキングな出来事にも見舞われる。せっかくトラウマを克服しつつあったところに、新たなるトラウマになりそうな事件が起こるのだから、予想したほどに予定調和なハートウォーミングものじゃないなというビターな味わいにドキリ。リリィのせいで、という思いが誰かの心に刻まれたりはしないかとドキドキし、ちょっと複雑な思いが残るのだけど、100%のハッピーエンドなんてないところがむしろポイントなのかもしれない。甘くとろけるハチミツだって、それを作る過程では針に刺されて痛い思いをしたりするわけで。それでいて、刺されても2度目には免疫ができて平気になるのだってね。そんなふうに強くなっていくことをリリィはゆっくりと学んだのかもしれないね。ハニー。
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by CaeRu_noix | 2009-04-09 01:54 | CINEMAレヴュー | Comments(2)
Commented by とらねこ at 2009-04-14 00:57 x
こちらにもこんばんは♪
女性たちを中心に据えたハートフルな物語って、いいですよね。
『若草物語』、『キルトに綴る愛』、大好きだった『ジョイ・ラック・クラブ』・・・。
『宗家の三姉妹』も好きでしたー。

ジェニファー・ハドソン演じるロザリンが顔を殴られて眼帯をしていて、二人で行く宛なく道を歩くシーンですが、
あそこでリリィも殴られて痣だらけで眼帯をしていて、音もなく歩くシーンであったなら、ギドク的・キタノ的で自分はもっとこの映画が好きだったかもー、なんて思ったりもしました。
Commented by CaeRu_noix at 2009-04-15 08:12
とらねこさん♪
こちらにもどもども。
主人公は男性に限るって豪語する方もおられますが(笑)、私はやっぱり女性たちの物語にも惹かれますわー。
女特有のねちっこさとか嫌いな気質・習性ももちろんあるんだけど、この社会はやはりまだまだ性差別がないとは言い難く(個人的なレベルにおいては、いかに女性がパワフルになっていようとも、社会、組織・システムの中ではやはり不遇よねーって思うのですわ。ヒガミ?)、だから、女たちががんばる物語には、感動せずにはいられないのですー。
私も姉妹ものって好きかも。でも、『キルトに綴る愛』は未見ー。

>殴られて痣だらけで眼帯をしていて、音もなく歩くシーンであったなら、

わはは。それはいい演出かもー。
でも、ダコタン主演のアメリカ映画ではありえないでしょうねぇ。
この映画は物語的にもいい映画だったし、撮り方もなかなか手堅くエクセレントだって感じられましたけど、例えばそういう格別に個性的アプローチなんかがなかった分、個人的お気に入り度はさほど高くないかなぁという感じではありましたー。
ミチバチの撮り方が「ダイアナの選択」風だったら、私はもっと好きだったかもー。
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