かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『レイチェルの結婚』 Rachel Getting Married
2009年 04月 29日 |
不穏さと音楽と幸福感のあふれるレイチェルの結婚式へようこそ。

姉レイチェルの結婚式のため、バックマン家の次女キムが9ヶ月ぶりにコネティカット州の自宅に帰る。



アン・ハサウェイの演技が評判をよんだ本作。てっきり彼女がタイトルロールのレイチェルなんだと思っていたら、そうじゃないんだ。『マーゴット・ウェディング』に同じく。レイチェルっていい名前だよね。私が英米人に生まれたら、レイチェルになりたい。そして、結婚する姉レイチェルの妹、わけあり問題児のキムがハサウェイの役どころなのね。式に出席する家族を中心にドラマが展開するわけなんだけど、まず注目してしまうのは、レイチェルとキムの姉妹関係。『イン・ハー・シューズ』のことも思い出した。いつだって、正反対の性格の姉妹の間に発生する軋轢はヒヤヒヤもの。

ジョナサン・デミといったら、思い浮かぶのは『羊たちの沈黙』くらいのものだから、そんなメジャー系監督のデミが、「ドグマ95」の影響を受けているとは思いもよらなかったな。ドキュメンタリーを観ているような臨場感あふれるドグマな演出、映像が私は大好きだったんだけど、最近はそういったスタイルの映画にあまり出会わなくなっていて、むしろ懐かしい感触を覚えた。デミ的には新しい試みであり、アカデミー賞関連作としては個性的なのかもしれないけれど。パーティに集う人々の間に不穏なものが浮かび上がってくるところなんかはドグマの『セレブレーション』を思い出さずにはいられなかったし。とにかく、インディペンデント風味なヨーロピアン・テイストな感じが私好みであって、そのリアリティにグイグイと惹き込まれてしまった。

レイチェルの気持ちもわかるし、キムの気持ちもわかるから、それはもうドキドキハラハラしちゃうんだよね。周囲の人が好奇の目で見て、腫れものに触るように接することに、キムはどんなにか気まずい思いをしたことだろう。妹が不憫な状況にあるということはわかるけど、今回は自分の晴れの舞台なんだから、妹には自重してほしいと願って苛立つレイチェルの思いもしごく真っ当だと思う。それぞれがうまくやろうと思っているはずなのに、不協和音が響いちゃうから、いたたまれない。巷の映画評で引き合いに出されている『ウェディング』はあくまでもアルトマンの群像劇なので、常にユーモラスさとドライさの狭間で全体を俯瞰している印象があるのだけど、本作はもっとキムやその家族に寄り添っている感じ。シドニー・ルメットの娘ジェニー・ルメットのオリジナル脚本は、女性たちの複雑な感情をきめ細やかに描き出していて、彼女たちに心寄り添わずにはいられないの。

臨場感あふれる演出によって、そのパーティに参列している気分になれたのも楽しかったな。それも形式的な式典じゃなくてオリジナリティにあふれた手作りウェディングというのがとてもステキなの。お相手はアフリカ系でアジア人の友達がいたり民族色が豊かで、宗教にもこだわらずサリーを着たりするのもいいなって。日本だと、形式ばったお決まりのスピーチをする人が多いけど、ここに登場するアメリカンは皆、自分の言葉でそれぞれに気の利いたことを言っていて感心。(シナリオに書かれているといってしまえばそれまでなのだけど。)日本の父さんたちとは違い、娘の結婚相手とその仲間たちと共に食器洗い合戦に興じちゃうノリのいいパパの姿も微笑ましかったな。そして、レイチェルのお相手がミュージシャンということで、粋な音楽に満ちたパーティだったのが最高に楽しかった。デミ監督がこういう感性をもった人だとは全然知らなくていたく感激。

こんなハレの日には、日頃押し隠していた不和が浮かびあがったりもするけれど、全てを包み込んで浄化する特別なエネルギーもあふれるのが祝祭。そして、人生は続くって思わせるエンディングも好き。
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by CaeRu_noix | 2009-04-29 11:29 | CINEMAレヴュー | Trackback(9) | Comments(13)
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Commented by margot2005 at 2009-04-29 23:45
こんばんは!
ジョナサン・デミといえばそう「羊たち〜」と「フィラデルフィア 」ですが、昨今ではこんな地味な映画も作る人なのですね?
とはいえ中々素敵な作品でした。
あのウエディングお洒落でしたよね。インド風で、最初花婿がインド?なんて思っていたらアフリカ系で、住んでるとこはハワイなんてナイスなストーリーでした。
Commented by ぺろんぱ at 2009-04-30 22:09 x
こんばんは。

いつもながら無限の広がりを感じるかえるさんのレヴューですね。
まだまだ勉強不足の私ですが「インディペンデント風味なヨーロピアンテイストな感じ」には何となく共感できる思いがありました。

『ウェディング』は、なるほど、そういう視点の違いはあるのですね・・・フムフムです。

何より、心洗われる思いだったのは、かえるさんのこのレヴューが「次への予感」めいたものを本作に感じさせてくれたことです。拙レヴューはどうしても「負」「暗」の部分に目を向けたまま終わってしまったのですが、それに比してとっても温かな印象を受けました。また一つ、違った目で本作を見られそうです!(*^_^*)
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-02 00:37
margot さん♪
デミはドゥミと大違いでカッチリ硬派なイメージで、代表作は一にも二にもひつちんでしたー。
でも、実はデビュー当時はインディペンデントな作品も手掛けていたんですね。
このたび劇場ロビーに貼ってあったインタビュー記事をちらりと読んで知りました。
今回は初心にかえって?こういうのも撮ったみたいですね。
定番な題材ながら、アメリカ映画の定番っぽくない風合いがよかったですー。
民族色とりどりでとても自由な雰囲気に包まれている式だったのがステキでしたねー。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-02 01:53
ぺろんぱ さん♪
無間地獄へようこそ?
ドグマ95はどうでしょう?
私は、ハンディカメラの臨場感いっぱいの映像がすごーく好きだった時期がありまして、こういうタイプには新鮮さよりも懐かしさを感じちゃうんですけど、いずれにせよ、好みであることは変わらず、ハンディといえば、アメリカじゃなくて、ヨーロピアーンなんですよね。(でも、ハーモニー・コリンもドグマだったっけ?) 

『ウェディング』は、細かい部分は忘れちゃっているので、他のアルトマン群像劇と総合して、その印象を語っているかもしれませんが、とにかく余裕かまして俯瞰している感じなんですよー。

いつもそうかもしれないけど、私はそんなに映画の終わりに負の思いは色濃く残らないんですよね。とにかく、一時はボロボロだったキムが最後には姉たちをちゃんと祝福できたのだから、ホッとひと安心。みんないろんなものを背負いながらもまた新しい朝を迎えて、気づかないうちに一皮むけたのかなーって思える清々しさがあったのでした。
Commented by kusukusu at 2009-05-02 18:50 x
今晩は。
本作はまだ見ていませんが、『羊たちの沈黙』以降の作品しか見て無いとイメージわかないかもしれないけど、ジョナサン・デミはもともとバリバリのインディーズ風の作品を撮る監督でした。『サムシング・ワイルド』はもうロックとファッションに溢れた快作でした。たしか、ジョナサン・デミは一時期、音楽評論家をしていたこともあったとのことで、そうした関係でトーキング・ヘッズの『ストップ・メイキング・センス』を始め、ミュージックものも撮っているんですね。
かえるさんのレビューを読むと、そうした昔の作風に戻った作品のようですので、ちょっと面白そうですね。
Commented by kusukusu at 2009-05-02 19:06 x
補足です。
ただ、インディーズ時代から一方でピーター・フォンダ主演の『怒りの山河』とか、凄いアクションものを撮っているんですね。そういう意味では、『羊たちの沈黙』で作風が変わったというわけでもなくて、最初から『怒りの山河』みたいなアクションものと、『サムシング・ワイルド』みたいなファッション感覚あふれたラブコメディと両方があった感じ。『怒りの山河』の路線が『羊たちの沈黙』になっていくのかな。当時、『怒りの山河』と『サムシング・ワイルド』とであまりに感じが違ったから、このジョナサン・デミという監督はほんとに同じ1人の監督なのか? もしかしたらたまたま同名のジョナサン・デミという監督がいて、実は2人の別の監督なんじゃないか?なんて知人と話していた覚えがあります。実際には同じ1人の監督だったようで、まあ、デミ監督自身はどちらも自分がやりたいこととしてあるんでしょうね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-03 10:57
kusukusu さん♪
ジョナサン・デミ監督作は、これまでは羊と「フィラデルフィア」と「クライシス・オブ・アメリカ」しか観たことなかったです。
ロックとファッションに溢れたなんてきくと『サムシング・ワイルド』は是非観てみたくなりますが、写真を見ると80年代特有のダサさも懸念されて、今となっては食指は動かないかも・・・。
にしても、デミは音楽評論家だったんですか。
今作は友人のミュージシャンが出演したという恰好だったそうですが、音楽にあふれた映画だったのがステキでした。
まぁ、ジャンル・作風が偏らずに、アクション映画も恋愛ものも撮れちゃう監督というのはたくさんいると思いますけど、それほどにタッチが異なるんでしょうか。
なんにしても、歳を重ねても新たなる方向にチャレンジすることはステキですよね。
『レイチェルの結婚』はラブコメというのとはまた違うのですが、是非ご覧くださいー
Commented by ノラネコ at 2009-05-04 22:37 x
ラストシーンが良かったですね。
決してハッピーエンドではなく、かといってバッドエンドでもなく。
人生色々あるけど、結局家族は家族だし、どこかで繋がって生きていくしかないんだよ、という感じでしょうか。
ホームビデオというのが、人の人生の一シーンを切り取った物だとしたら、これは確かに見事なホームビデオでした。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-05 11:23
ノラネコ さん♪
ラストシーンはとても気に入ってます。
結婚式の準備をするシーンもいいのだけど、賑やかな饗宴のあとの静けさの中の後片付けというのもまた趣があり。
そして、また来た時と同じようにキムはその場所から車で去っていくのですが、来た時と去る時のキムは何も変わってないのか、プラスマイナスではマイナスの方が大きいのか、というとそうではないですよね。
全てがメデタシメデタシではなく、古傷がまた痛んだりもしたけれど、キムが結婚式に参列した意味は大いにあったと思えますからね。
一挙に幸せ街道には乗れないけれど、そうやって一歩一歩生きていくしかないんですよねー。
ステキなホームビデオでありましたねー。
Commented by kusukusu at 2009-05-12 13:48 x
見ました。清々しい作品でした。
なぜ清々しいのか? 以下のように考えました。
これは、手持ちカメラ撮影という、ダルテンヌ兄弟やトリアーみたいな手法を用いています。しかし、ダルテンヌ兄弟やトリアーのようにセンセーショナルに嘘を暴いて人間の真実みたいなものを描き出そうという方向とはベクトルが違うように思いました。たしかに嘘を暴いてはいるのですが、その上で、人が生きて行くためにはそういう嘘って必要なんじゃないか?とポジティブなものとして「嘘」をとらえようとしているのだと思うのです。だから、センセーショナルに嘘を暴きたてるというのとはちょっと違う。そこが清々しいのではないかと思いました。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-12 21:54
kusukusu さん♪
ご覧になりましたかー。
清々しい、そうですね、私もそんな印象です。
手持ちカメラものの狙いというと、臨場感あふれる等身大のナチュラルさかなとまず思うので、それは青春ものなんかにふさわしい手法と思っていました。(最近では『ハルフウェイ』など)
でも、そう、ある意味元祖ともいえるドグマの場合は、とことんシニカルに、朗らかさや清々しさとは対極の方向性で、人間の偽善や欺瞞を暴くというような視線で、手持ちカメラが使われていたんですよね。
なるほどそう考えると、そのカメラの使い方には、青春もの系のみずみずしいピュアさを引き出す感じと、ドグマ的に人間の本質を追究するっていう鋭い感じの両方がほどよくミックスされていたのかも、と私の場合は思いました。
人の信頼を裏切る・欺くというのとは別で、真実をあえて伝えないことというのはこの世界には実際必要ですよね。だから、嘘というものはしょっちゅう映画のテーマにもなっているし。
Commented by めかぶ at 2010-07-19 22:00 x
毎度、今頃のコメントで失礼します~。
いつもこれはよかった!って形でかえるさんのレビューを探すんだけど今回は逆です。観ていてこんなに心がざわざわして居心地の悪い映画は久しぶりでした。
こんなコメントでごめんなさいね。みなさんの感想を見ても清々しく感じたり、素敵なウェディングだと感じたり。。なぜ、自分にはそう感じられないのか幾分情けなく思いました。
映画は観るときの自分の肉体的精神的状況によって感じ方が変わるものだと思うのですが、今の自分にはこの映画の不穏な空気に捕われたまま抜け出せなくて、その先の一歩に気持ちが行ってくれなかったのかなぁと。。。残念~。
いつか違った目で観られる時にもう一度観てみたいような。。。怖いような。
Commented by CaeRu_noix at 2010-07-20 01:27
めかぶ さん♪
いえ、コメントありがとうございます。
や、確かにこれは、彼女たちに心寄り添うほどに、居心地の悪いイタさを感じる映画でした。でも、それが不快で嫌というんでなく、切実な痛みが突き刺さってくるからこそ、映画としての手ごたえを感じ、それが堪能ポイントになった気がします。
私はさほどそういうタイプでもないんですが、衝撃的で痛い映画ほど評価を高くしてしまう人もいたりして。めかぶさんの場合はそうじゃないんですよね。登場人物たちの痛さをそのまま受け止め、他人の不幸を娯楽としては味わえない人。それはそれで良心的な受け止め方だと思います。
私の場合、ハリウッド的に安易なハッピー映画が嫌いな分、アメリカものでここまでリアルに痛みを描いてくれると、むしろいいぞ!って思ったり。
で、その辛さが切実ゆえに、終盤の小さな光に必要以上の幸福感を覚えたり、ディテールのちょっとした部分にやけに感動したりするんですよね。
音楽のある祝宴は素敵だなという思い一つでご飯三杯いける。
明るい気持ちになれなかったのは残念ですが、それだけどっぷり居心地の悪さを感じてくれたなら、監督はむしろ喜ぶかもしれません。
ノープロブレムっす。
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