かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『ウェディング・ベルを鳴らせ!』 Zavet
2009年 05月 06日 |
約束通りにあふれるパワー、みなぎる生命力。

セルビアの山奥の村で祖父のジヴォインと2人暮らしの少年ツァーネは、ある日、祖父から3つの約束を果たしに町へ行くように言われて、牛のツヴェトカを連れて旅立つ。



お待ちかねのクストリッツァ節炸裂!底抜けに明るく楽しいドタバタ・コメディがとことんパワフルに突っ走る、転がる、飛び回る。これって、日本の昔話に着想を得て作られた物語なんだって。なるほど納得の、それはシンプルでちょっと懐かしい設定。あるところに、おじいさんと男の子がのんびりと暮しておりました。ある日、おじいさんからおつかいを頼まれて、男の子は牛を連れて町へでかけました。そして、美少女に恋をして、見舞われた困難に立ち向かっていくのでありました。そんな万国共通に昔ながらのお約束通りの単純な筋書きが、クストリッツァ印のお約束賑やかアイテムに彩られているのがたまらない魅力。心をめいっぱい解放して、愉快ツーカイに高揚するのだ。飛びます、飛びます!

オムニバスの『それでも生きる子供たちへ』の『ブルー・ジプシー』に続いて連続主演のウロシュ・ミロバノビッチくんがそれはもう可愛くて微笑ましいの。のどかな山村で伸び伸びと暮らしているだけのことはあって、純朴でほのぼのマイペースなキャラなんだよね。それでいて、ジイさん譲りの知恵者ということか、案外とちゃっかり者だったりするのが愛嬌いっぱいでとってもチャーミング。こんなに子ども子どもしたツァーネが花嫁探しだなんて、おとぎ話度も倍増で、初めから安心してHAPPY ENDに向かえるという感じ。でも、そう、メデタシメデタシはお約束なんだけど、そこはクストリッツァワールドなので、道中は奇想天外、荒唐無稽にすっとぼけ。次は何が来るか、どう転がされるのかっていう一つ一つに注目してワクワクしっぱなしさ。

ミキ・マノイロビッチが風俗店の経営者なんて『やわらかい手』と同じような役どころだなって思ったんだけど、あちらでは風俗店主があんなにいい人だなんて腑に落ちない部分があった私としては、こちらの極端な悪人ぶりが嬉しくなっちゃった。音楽も手掛けている息子ストリボルは、コメディアンの才能があるとはいえない気もしたけど、図体のでかい強面肉食風采の彼が、あえてとぼけた漫画チックな挙動をするのが楽しい。クストリッツァ映画の登場人物は、ユーモラスに極端な個性をもった濃ゆい人がほとんどなんだけど、相変わらずヒロインはしっかり美少女でお馴染みのヘルシーセクシーな魅力を放っていて、よく見つけてきたものだと感心。取り巻く人々もみんなみんなヘンテコで愛すべきキャラ。もちろん、人間だけでなくて、動物たちもめちゃラブリー。ツァーネが牛のツヴェトカ引いて歩く姿はとにかくお気に入り。猫の演技も素晴らしかったな。

仏語題の「Promets Moi」って、少年のおじいとの約束のことなんだけど、そこにはクストリッツァファンにはお約束の楽しみどころがあふれているというわけだ。そして、普遍的なテーマは、万国共通のお約束。イーストウッド爺さんが次世代に思いを託すように、ジヴォイン爺さんも若き孫の幸せを思いながら、決して時代の風潮には左右されずに、ポリシーをもって創意工夫にあふれた自分流の生き方を貫いているの。そんなおじいさんの思いを受け継ぎつつ、もっと柔軟なツァーネ坊なのであった。原題の「Zavet」は遺言という意味合いらしい。おじいさんも一緒にゴールインしちゃったのがまた心にくいし。、弱者を搾取するマフィアの存在というのはリアリティもあるから、悪者をやっつける単純明快さも素直に気持ちよく。ウェディング・ベルを鳴らせ!っていう邦題は、原題とはまるで違うけど、おじいさんがベルを作っている場面がまたステキにツボだったから、それもいいかなって思った。ベルが鳴り響き、饗宴がめくるめく。エネルギーを満喫。
[PR]
by CaeRu_noix | 2009-05-06 14:40 | CINEMAレヴュー | Comments(12)
Commented by mi10kuma at 2009-05-07 21:01
ほんと原題の「約束」通り、愉快痛快クストリッツアワールドを堪能しましたねえ。「ライフ イズ ミラクル」が少し不完全燃焼だった私には最高の出来映え!
貧しいけれど発明とユーモアのセンスはバッチリのおじいちゃんとおじいちゃん譲りの賢さを持った笑顔が素敵な少年のハッピーエンドがほんとに嬉しかった。極悪で憎たらしいマフィアに知恵とユーモアで応戦する後半のドンパチ劇は手も汗握ったりして。お金じゃ手に入れられない心の豊かさをまたもらっちゃいました。あと、あそこの村は「ライフ イズ ミラクル」の撮影後に監督が買い取ったんですってね。5年も住んでいるとか。映画学校、宿泊施設、スキー場、レストランがあって、なんだか足を運びたくなります。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-09 00:43
シリキさん♪
わーい。次から次へとツボなアイテムが登場して、それはもう楽しかったですよねー。
そうですか。私は「ライフ・イズ・ミラクル」も大好きでした。あちらは戦争を描いていたゆえに、シニカルなテーマに心打たれた部分もあったんですが、今回はもっと気楽にのびのび楽しめたという感じかな。
主人公がじいさんと少年っていうのからして好みでした。ヒューマンドラマにはよくある設定だけど、クストリッツァ作品としては珍しい主人公/家族構成でしょうかね?二人ともゴールインっていうのは観る前は予想もできなかったから、妙にほほえましかったかったですよねー。
そう、こんなにコメディ全開なのに、意外と冒険劇にも真剣にハマってしまったし。グローバリズムの中をマイペースで己の価値観を大切に生きるってなんてステキなんでしょう。コメディの中に包み隠されたテーマ性にもグッときましたねー。
そうそうそう、ロケーションの素晴らしさ、風景の美しさだけで百点です。あんなところにマイタウンを作っちゃうなんていいですよねー。行ってみたいなーって思いました。スキー場まであるんですかー!

Commented by kaka_o00o2 at 2009-05-11 10:06
相変わらず楽しかったですね〜
余白恐怖症かと思うほど画面が面白キャラクターで埋め尽くされ、
隙間ができたら、例の青いあの人をブ〜ンと飛ばす。
この人たちをもう一度じっくりみて楽しみたかったけど
パンフレットは意外にあっさりしたものでした。
登場人物動物多いから余裕でトランプとか作れますよね〜
原題の「Zavet」が遺言という意味があるんですか。
シャレがきいてますね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-11 22:28
kaka さん♪
ご覧になりましたか♪
期待どおりの楽しさでしたよねー。
うん、クストリッツァは余白恐怖症なのかも。
常にめいっぱい、スクリーンは愉快なものたちで埋め尽くされていましたよね。
メインストーリー的な間はあれど、コネタ的にはフル回転。
そうそう、スキマと思いきや、あの人が常に飛んでましたし。(笑)
飛ぶものは当然何かしら登場するだろうなと思ってましたが、あんなにさりげなくもしつこく出てくれるとはー。
わはは。なるほど!トランプ作れちゃうかもしれませんね。
キャラが足りなかったら、ぐるぐるとか小道具も使えばいいし。
そんなトランプは是非ほしいですー。眺めるだけで、楽しそうー
kaka さん!ぜひぜひ描いてください♪
「Zavet」というタイトルもシンプルでいいですよね。
(自分で辞書を引いたわけではないのですが、そういう意味だと紹介されていた記事を発見しまして。)
それだと、ひょっとしてじいちゃんは・・・って思っちゃいますが・・・。
葬列に出会った時はドキドキしましたもの。
自らの命が長くないことを見据え、孫に花嫁探しをさせちゃう爺さんの責任感ったらステキです。
そして、Wでハッピー・エンドでよかった、よかったー。
Commented by manimani at 2009-05-12 21:05 x
こんばんは〜
やっと観ましたです。
あんな嫁ならワタシが欲しいです!!
ツァーネ、ぐっじょぶ!

それから、ワタシはあの模型のツインタワーにのけぞってしまいました
あのあっけらかんとしたシニカリズム!(笑)
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-13 00:15
manimani さん♪
祝☆鑑賞。
なんののうはうもなく、年頃の女子との初めての接触で、あんな嫁を見つけちゃうなんて、ラッキー過ぎというかつわもの過ぎというか。
クストリッツァの映画はいっつもみんな、主人公がそんなにサエナイ人であっても、ちゃっかりかなりのいい女をモノにできちゃうんですよねー。
気持ちいいほどに。ぐっじょぶー

ツインタワー建設計画にはビックリでしたよねー。
他の人はなかなかそういうネタは使えないでしょうが。
こんなパワフルコメディの中ではお茶目なシニカルコネタって感じで。
何もかもににやーり。
Commented by Nyaggy at 2009-05-25 12:58 x
かえるさん、こんにちは。
日本の昔話に着想を得ていたんですかー・・・なるほど。
大筋はシンプルなのに、こんなに楽しくてワクワクする作品に
仕上げてくれるなんて~!
原題をそのまま日本語にすると、またイメージが違いますね。
鐘の音が鳴り響く情景って、幸せな感じで好きなんですが、
その鐘をお爺さんが自分で作っちゃう所は、私も好きでした~。
その後の空中シーソー?も楽しかったし。
お腹いっぱい、大満足です♪
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-26 00:49
Nyaggy さん♪
むかーし、むかーし。あるところに、おじいさんと孫の麦太郎が仲良く暮らしておったところ的な。
日本の昔話に着想・・・っていう件は私も後で知ったのですが、妙に納得しちゃいますよねー。
本当にあらすじはいたってシンプルなんだけど、どこをどう切っても、クストリッツァならではの世界になっているんですよね。
こんなにボリューム満点の味付けができる人はそうそういないかなぁと。
私は本来、ドリフ系な笑いってそんなに好みじゃないはずなんだけど、何がどう違うのか、クストリッツァのドタバタならばすんごく楽しめちゃうんですよねー。
おお、Nyaggy さんも鐘の音、お好きですかぁ♪
音はもちろん、鐘の見た目も好きだったりするんですが、まさかまさかの手作り作戦にはそれは嬉しくなりましたよねー。
シーソーな展開も強烈でした。これでもかっていう立体的な空間づかい!
楽しんでいただけてよかったでーす!
Commented by mchouette at 2009-06-10 10:12
まったく、おじいちゃんが仕掛けた落とし穴やおじいちゃんが考案した珍発明品の数々といいクストリッツァの頭の中はどこまでドタバタのエネルギーが渦巻いているんでしょうね。
とにかくこのごった煮状態を最後のHappyEndの大団円までもっていくところがまさにクストリッツァならでは。
Commented by CaeRu_noix at 2009-06-10 23:56
シュエットさん♪
ツァーネ坊やもラブリーでしたし、おじいちゃんの人間性、その頑固な生き方には大いに惹かれるものがありまたよねー。
何でも買うのが当たり前、今やワンクリックでお買い物ーなこの時代に、あれこれ手作りをするおじいを素晴らしさといったら!
若い世代が引き継がなくてはいけないものの一つかもしれませんね。
珍発明品のすべてを全部じっくり見せてほしいほどでした。
そして、そうですね。そんな人物をさらりと登場させるクストリッツァの思考・創造力がまた最高なんですよね。
気持ちのいい大団円でありましたー
Commented by sakurai at 2009-08-28 14:11 x
「昔、昔、あるところにおじいさんと、孫が暮らしていました・・・」って言うふんいきでしたもんね。なるほど、なるほど。
いやーー、クストリッツァ節、完全全開で、ほんとにうれしくなりました。
よくぞ、こんだけのエネルギーを画面から、発せられるもんだと、感心します。
私もミキさんの怪演がツボ。
「やわらかい手」も悪くはなかったのですが、いい人すぎましたもんね。
いやーー、堪能しました。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-29 01:24
sakurai さん♪
まさかまさか、日本の昔話のようなものを想定してくれたとはー。
日本人のクストリッツァファンとしてやたらに嬉しくなりましたー。
このエネルギーを持続できるって本当に感心しちゃいますよね。
どっかんどっかんでもなくて、ちゃかちゃか感もとめどなくー。
そうなんですよ。「やわらかい手」は良作だったと思うのですが、あんなふうに貧しい女の性を売ってぼろ儲けしている人が、実はいい人ですーっていう設定は解せないものがありまして・・・。
こっちのとことん悪役キャラの方がしっくり痛快だったんです。
また観たーい。
<< 「イタリア映画祭2009」 PageTop 『グラン・トリノ』 Gran ... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon