かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『チェイサー』 
2009年 05月 12日 |
怒涛の追いつ追われつ。

元刑事のジュンホが経営するデリヘルで働く女達が相次いで失踪する。



パワフルにして切れ味のあるこれほどに出来のよい新作韓国映画に出会うのは久しぶりという気がするな。韓国映画が勢いづいていた一頃の印象的な力強さを思い出す。みんながそのタイトルを挙げているみたいだけど、私もやっぱり『殺人の追憶』や『オールドボーイ』の面白さを想起せずにはいられなかった。ついでに主演の元刑事役の俳優キム・ユンソクも粗野なアウトローがハマっていて、ソン・ガンホとチェ・ミンシクのことを思い出してしまうような味のある存在感。レオでハリウッド・リメイクしちゃったら、こういう人間臭さが台無しでしょう。

戦慄のシリアル・キラーもの。こんなに痛ましい事件が実際に起こったものだなんて何とも衝撃的。でも、これが実話ベースかどうかなんてのは二の次のことで、ただそこに展開するスリリングなドラマに、時折ゾッとしながらも心は釘づけになってしまうのだ。被害者はデリヘル譲で、犯人を追っかけるのも現職の刑事ではない今や裏道を行く男というのがとてもいい。穴だらけの警察の捜査システムがシニカルに描写されながら、時にその主人公はその警察組織の人間と絡み交差しつつも、彼らとは全く異なる粘度と温度をたぎらせてその男ジュンホは突っ走っていく。そんな構図がすこぶる面白くてエキサイティング。

そして、何がいいってこのロケーション、空間づかい。坂道、階段の路地の映画的魅力よ。こんな空間は別ジャンルの映画でも絵になるはずなんだけど、ここでは、陰惨な事件が起こった不穏な雰囲気を醸し出す一角であり、手に汗握る接戦の追跡劇の舞台空間として、極上の見せ場となっていた。その迷路のような一帯を目にしながら、事件の混迷ぶりにも歯がゆい思いを抱くのだ。チェイスのシーンなんていうのも映画では飽きるほど見てきたはずだけど、こんなタイトルがついているだけのことはあって、緊迫感あふれるお見事な見せ方だったな。サスペンスフルにジワジワとその場所を突き止めていくところも、ハラハラ体力勝負の追いかけっこシーンもね。銃を持っていない者同士の対決はなんてスリリングなんだろう。

怖いし、痛いし、気の滅入るような物語なのに、映画の手ごたえには満足。好きな映画とは呼べないけれど、この新人監督ナ・ホンジンの手腕はご多分にもれず評価したいな。
[PR]
by CaeRu_noix | 2009-05-12 22:23 | CINEMAレヴュー | Comments(2)
Commented by mezzotint at 2009-05-12 23:22 x
かえるさん
今晩は☆彡
かえるさんの記事、まっておりました!
凄い作品でしたね。キム・キドク作品に出演していた
ハ・ジョンウ、がらりと豹変して猟奇的な殺人者を、
演じていました。まるで本当の犯人ではないか?と思う
くらい彼が怖くて憎たらしく感じました。
あのシュチェーションも、この映画にぴたりとはまって
いました。まるでジョンホとともに犯人を追いかけて
いるような気分になりました。ハリウッドでのリメイクが
決まったようですが・・・・。さてオリジナル版を越えられるか?
監督はどのようになるのか?楽しみだそうです。
Commented by CaeRu_noix at 2009-05-14 08:10
mezzotint さん♪
あにょんはせよー。
や、お待ちいただくほどのことではないですよ。
これは、多くの方が鑑賞し、絶賛してますからね。
私の記事は何も大したことは書いてないし、そんなに力も入れてないです。
この手のジャンルの映画は他のみなさんにおまかせー。

そうそう、この犯人役の人って、ギドク作品にも出演していたんですね。
私は全然気づきませんでした。
ギドク作品では何の役で出ていたのかもわからず・・・。
でも、今回はとにかく印象深い演技を見せてくれましたよねー。
ホント、怖かった。
ハリウッドリメイクには、例によって何も期待はしないけど、監督や共演者が誰になるのかは興味深いですよね。
<< 『感傷的な運命』 Les de... PageTop 『GOEMON』  >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon