かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『感傷的な運命』 Les destinées sentimentales
2009年 05月 13日 |
『夏時間の庭』が俄然、楽しみになっちゃった。庭の美しいことよ。



オリヴィエ・アサイヤス特集@東京日仏学院 にて

20世紀初頭、リモージュの陶器作りの名家に生まれながら牧師の道を選んだジャンは、ナタリーとの間に一人娘がいるが、夫婦仲が上手くいかず、離婚する。ジャンは舞踏会で 20歳の娘、ポリーヌと出会う。
原作は20世紀初頭のフランス人作家ジャック・シャルドンの同名小説。
2000年 スイス・フランス

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シャルル・ベルリング・・・ジャン
エマニュエル・ベアール・・・ポリーヌ
イザベル・ユペール・・・ナタリー
オリヴィエ・ペリエ
ドミニク・レイモン
ジュリー・ドパルデュー

何しろ、アサイヤスといったら、『イルマ・ヴェップ』や『DEMONLOVER』のイメージが強くて、おまけに『レディ アサシン』だもの。こんなにエレガントな文芸ロマンスを撮っていたなんて何だか意外で。そんな意外性も相まって、この映画の優美な素晴らしさには甚だ感激。アサイヤスが馬車や葡萄をこんなに印象的に撮ってくれるとは。

なんで、これ一般公開されなかったの?ベアール主演の文芸ものなんて、充分に集客できそうなのにね。3時間という長尺がネックだったのかしら。こんなに素敵なフランス映画が映画祭や特集上映でしか上映されないなんてもったいない。

アサイヤスのセンスというのは、音楽にしてもファッションにしても、どちらかといえばハードで最先端なものに向かっている印象だったのだもの。そんなふうに決めつけていた自分は無知でしたね。アサイヤスの世界には、黒のレザーなんかを着たクールな女がお似合いだとばっかり思っていたから、ワルツに合わせてクルクルと舞うオフホワイトのドレスのやわらかな風合いにハッとしちゃった。

人生はワルツのように・・・。ジャンがポリーヌを見染める舞踏会のシーンのステキさが何ともステキで。このダンスの振り付けがまたよくって、くるっとターンして首を傾けるポリーヌの姿がとても魅力的に脳裏に焼きつき、ジャンが彼女に惹かれずにはいられないその瞬間の気持ちに共鳴してしまうの。そして、彼の人生の中で彼女はダンスをし続ける。

それから、陽光のふりそそぐ庭で、ポーリーヌがサクランボを取ろうと木に梯子を立て掛けて上っていた時に、ジャンが戻ってきた場面の素晴らしいことといったら。時は立ち止まらずに移ろいゆくものなのだけど、一瞬、時間が止まるかのように、きらめきに眩さに包まれてしまうの。ジャンも映画の観客の私も。流麗なエリック・ゴーティエのカメラの完璧さに感嘆。光や風のやわらかさを感じずにはいられないの。

鐘の音にも心とらわれて。感傷的なワルツのごとく、感傷的な運命?感傷的であるということは、それは無ではなくて、短調の哀切の響きをもつのだとしても、そこにメロディが流れ、存在しているということ。リズムがあって、ハーモニーがある。人生は一筋縄ではいかないもので、運命はいつだって皮肉。でも、それはみな音楽のように美しい。
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by CaeRu_noix | 2009-05-13 10:32 | CINEMAレヴュー | Trackback | Comments(2)
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Commented by 武田 at 2009-08-19 00:05 x
かえるさん、こんばんは♪
ようやくPCがつながり、お邪魔することができました。
先日は嬉しかったです。コメントいただき、ありがとうございました。
マチューの「官能の迷宮」、お盆前に見たのですけど、どうも感想を書きづらくて・・
マチューは、見れば見るほど魅力的ですね~。毒がありますね~。
そしてそして、ベアールとシャルル・ベルリングが出演しているというこの作品、まったく知らなかったのですが、かえるさんのレヴューにうっとりです。
アサイヤス監督は、「イルマヴェップ」のイメージがかなり強かったんですが、こんな文芸作品も撮っておられるんですね。しかも、相当魅力的に。
早くDVDになってほしいです。シャルル・ベルリングも4本ほど立て続けに見たのですが、興味深い俳優さんですね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-19 10:08
武田 さん♪
こちらこそ、本記事にわざわざコメントいただき嬉しいです。めるしー
おお、ご覧になりましたか、官能!
感想を書きづらいタイプであるほどに、観ることそのものには興味がわきますね。
マチューは昔はインテリ青年役が多めだった感じですが、最近は悪人寄りというか、ちょっと腹黒いひと癖ある役も目につき、楽しませてくれるんですよねー。

私もこのアサイヤス特集がなかったら、この映画のことはほぼ知らずにいたに違いありません。
よほどに好きな監督・俳優の作品以外は、日本公開されていない映画のことはいちいち把握してないのが普通ですよね。
でも、フランス映画の日本での配給事情は本当に乏しくて、こんなに素敵な作品でさえ、未公開ということが真剣に悔しいのでした。
エロス系は辛うじて、DVDになりがちなんですが・・。
アサイヤス監督は今年、本当に見直して、大好きになりました。
マチュー主演の「8月の終わり、9月の初め」も相当よかったですし。
「夏時間の庭」はご覧になってないでしょうか。ぜひぜひー

シャルル・ベルリングもいいですよねー。
「ドライ・クリーニング」を再鑑賞したい今日この頃。
そして、「とまどい」を探しに行かなくてはー
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