かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
latchodrom.exblog.jp
(映画を見るのにいそがしくてブログはもう)
Top
『バビロンA.D.』
2009年 05月 19日 |
クッキングをして、赤ワインを飲むヴィン・ディーゼルっていいかも。

放射能汚染地帯が点在する近未来。新セルビアに住む傭兵のトーロップはマフィアのゴルスキーから、オーロラという少女をアメリカへと運ぶ仕事を請けた。



マッチョにアクションなお人のヴィン・ディーゼルは私の担当外で、たぶん主演作を観たことはない。でも、世界をまたにかけての近未来ものっていうのは劇場鑑賞必見でしょう。なにしろ、監督はおフランス人のマチュー・カソヴィッツだから、コテコテのハリウッド大作とは一線を画するテイストも期待できるんじゃないかって。いや、しかし、公開されてみたら、何だか何だか、本作ってば、やけに不評な感じ。ええ?そんなにダメなのー?と、少し不安になりつつ。

ええ?何がそんなにダメなのー?かなりかなり楽しめちゃった私。この手のジャンルのものとしてはずいぶん好みだったよ。そんな感想はマイノリティなのでしょうか。それはそれでいいやと思ったのだけど、後で、本作が監督の意向通りに完成されていなかったという事実を知って複雑な気分。カソヴィッツ自身が納得していない不完全なものを面白かったと思った私はおめでたい奴?いや、だって、充分によかったんだもの。でも、せっかくの大作が、意にそわないかたちで公開されることになったのは本当に残念。

不完全なものでありながら、そのビジュアルには大いに満足。荒廃した近未来の世界各地をダイナミックに横断するから好き。セルビア、モンゴル、カザフスタン、ウラジオストック、アラスカ、カナダ、ニューヨーク。近頃のアクション映画は、007やボーンシリーズ等、世界の各都市を舞台にしているものも多いけれど、現代劇においては、移動には飛行機なんかを使うのか当然だから、移動過程そのものはあまり映し出されないんだよね。だけど、このドラマの主人公はデリバリー・ボーイなのだ。潜水艦やスノーモービルを乗り継ぐというSFならではの運び屋っぷりを見せてくれるのにワクワクしちゃうんだよね。ただのアクションにはあまり興味がない私もアドベンチャーな要素が入ると俄然楽しくて。

映像が気に入ったというのがポイントかな。これって、リュック・ベッソン監督作でお馴染みのカメラマン(ティエリー・アルボガスト)が撮っているんだ。『レオン』はもちろん、そういえば私は、エンタメ大作の『フィフス・エレメント』の世界も大好きだったんだよね。本作にはああいった彩りはなくてシックな印象なのだけど、時々フィフス・エレメント的なスケール感が感じられたもの。そして、実写のセット撮影にこだわったところも好感触。SFにしろアクションにしろ、見るからにCGでーすっていう映像が実写の狭間に差し込まれる大作にはいつも興ざめしちゃうから。それでいて、おそらく本物ではないはずの夜空のオーロラがリアルに美しいものだったり、3Dタッチスクリーン地図がエクセレントだったり。ベンガルトラもよかった。

ヴィン・ディーゼルっていうのも意外とよいじゃない。ドライに突っ走るサバイバルがよく似合う。体で勝負なアクション俳優というイメージだったけど、たびたびのクローズアップにおいても、実にいい表情をするのだよね。クローズアップも俯瞰ショットも気持ちよくキマっていたから、映像の重なりがメリハリのあるバランスよいものに感じられたのかな。ミシェル・ヨー、シャーロット・ランプリング、ランベール・ウィルソン、マーク・ストロング、ジェラール・ドパルデューっていう豪華キャストにも嬉しくなっちゃうし。カメラも被写体もよし。

謎が明らかになってみると、オーロラちゃんの秘密そのものには、あっと驚く巧妙な面白さがあったとはいえないけれど、その疑問にうまく引っ張られた手ごたえがあったから、オチが不満だとも特に思わなかったし。確かにまぁ、一般的には、ラスト・終盤こそが大事なのだから、ここ一番の盛り上がりが最後にあればよかったのだろうけど。でも、そこはもはや、スタジオと監督が決裂しちゃったから、望む余地もないのかな・・・。不完全作でも十分に楽しめた私は、ディレクターズカット版だったら、どれほどに高評価だったことでしょう。

だ・か・らー、ハリウッド・メジャー・スタジオの仕事なんてさー。今度は、フランスでまた、ヴァンサン・カッセルなんかと一緒に映画を作ってほしいなぁ。『憎しみ』みたいなのをよろしく。がんばれ、マチュー・カソヴィッツ!
[PR]
by CaeRu_noix | 2009-05-19 23:59 | CINEMAレヴュー | Comments(2)
Commented by SGA屋伍一 at 2009-06-05 23:42 x
こんばんは。公開もあらかた終ったいまごろになんですが

つっぷしてまでかばったあのお料理、結局彼は食べられたのでしょうか。あと彼が調理してたあの動物、なんか猫っぽかったような気がするのですが・・・ そんなことばかり気になります

カソヴィッツさん、調べてみたら『クリムゾン・リバー』もこの方だったんですね。あれは「知られざる修道院見学ツアー」みたいなところが楽しい作品でした

ヴィン・ディーゼル出演作品では声のみの『アイアン・ジャイアント』を強く推奨します。『レミーのおいしいレストラン』のブラッド・バード監督作品
普通に生身で出てる映画としては『ピッチブラック』というエイリアンものが良かったですが、「必見!」というほどでもないかも・・・
Commented by CaeRu_noix at 2009-06-06 01:23
SGA屋伍一 さん♪
いまごろに!!
え?料理のシーンって、最初の方?旅路の途中?
最初の方のは赤ワインと合わせてたんで、ネコ肉じゃないでしょう。ネコ肉に合うのはロゼワインですからー。でも、あの界隈は荒廃してましたから、畜産及び食肉業がちゃんとしてなかったかもしれないので、鶏肉などじゃないのかもしれませんね。や、私の受けたイメージでは鶏肉だったけど。でっかいカエルの肉かもー。
カソヴィッツの代表作ってなんでしょう?『クリムゾン・リバー』になるのかな。もっともエクセレントな監督作は「憎しみ」だと思っているのですが。俳優としての彼も印象深いですけどね。この件に挫けずに、監督業もがんばってほしー。
これを機に ヴィン・ディーゼル出演作をあれこれ観よう計画は立てていない私なので、あえて『ピッチブラック』等を観ることはたぶんないでしょうー。『アイアン・ジャイアント』って、私観てないですっけ?(さぁ?)
でも、ヴィン・ディーゼルの存在感は思ったよりよかったので、また好み系の映画に出演していたならば、いつか劇場で再会したいものですー。
<< 『ミーシャ /ホロコーストと白い狼』 PageTop 『ベルサイユの子』 Versa... >>
XML | ATOM

個人情報保護
情報取得について
免責事項
Beige Shade by Sun&Moon