かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY
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『それでも恋するバルセロナ』 Vicky Cristina Barcelona
2009年 07月 08日 |
低温ウディが熱いスペインへ。

親友同士のヴィッキーとクリスティーナはひと夏のバカンスのためバルセロナを訪れる。



NYからイギリスへ渡ってかつての輝きを取り戻したウディ・アレンが今度はスペインへやって来た。それも旅ごころをくすぐる魅惑のバルセロナが舞台だなんて。そんな魅力の街を最大限に活かすように、ヒロインの恋のお相手が画家っていう設定なのが何とも心にくい。触発されたクリスティーナも写真に夢中になるっていうのがよかったな。芸術家の日々はバカンスにぴったり。いつもおいしそうなワインを飲んで、グエル公園をたびたび訪れちゃう日常がいいなぁって思うし、何度となく映し出される何気ない路地の風景のステキなことといったら。何しろ、撮影監督は『マルメロの陽光』を手がけた人なので、やわらかな光が素晴らしいのだ。そして、ヴィッキーと一緒にスパニッシュギターの調べの美しさにクラクラ。

ハリウッドのスタジオはキャスティングにまで口を出すようになったなんてことにも最後は不満をもっていたらしいウディ・アレン。今はたぶん、自分の好きなようにキャスティングをしているんじゃないかと思うのだけど、これがまた抜群のセンスだよね。三作目となって、スカーレットの魅力を映し出すことはお手のものだし、対称的な親友にレベッカ・ホールをもってくるところもいいカンジ。英語作品で観ることも多くなったハビエル&ペネロペに炸裂ラテン魂な本場の情熱キャラをあつらえてくれるなんて嬉しくなっちゃうね。それで、ペネロペにアカデミー賞をもたらしちゃうのだからさすがだよね。ハビエルがロマンスの相手役というのはちょっと胸やけしそうな感じがするんだけど、女なしでは生きていけない口説き上手な情熱的な芸術家というわけで、しっかりとハマり役だね。パトリシア・クラークソンまで呼んできちゃうなんて。

ウディ・アレンの映画といえば会話劇。機関銃のごとく口から飛び出てくる言葉はいつもならウィットにあふれた英語なんだけど、この物語の主人公のアメリカ女性ヴィッキー&クリスティーナは、ハリウッド製ロマコメに登場するアメリカ人女性のごとくハイテンションで饒舌というのではなくて思索しつつ言葉を選ぶタイプで、その分のまくしたてる台詞をペネロペちゃんが担当。スペイン語と英語を交互に感情高らかに噴射してくれる姿がそれはもう痛快。怒った姿もキュートだしね。いつもアメリカ映画を観ると、奥ゆかしき?ニホンジンの私たちからすると、アメリカ人女性って感情的でアグレッシヴな存在であることが多いのだけど、そういうのとは違い、ここで描かれ浮き彫りになるのは、スペイン人と対比させたアメリカ人の姿であって、その視点がやけに興味深かったなぁ。ヴィッキー夫妻が友人夫妻と会食した時の新居改装の話題がなんと薄っぺらく響いたことか。

何かの賞のニュースかなんかで、ペネロペとスカちゃんのキスシーンがあるということを何となく事前に知ってしまっていたので、彼らの関係がそういう方向に複雑化していくということに予想がついてしまったのは残念。それでも、一筋縄でいかない恋愛関係のからまりを飄々とウディ・アレンが物語っちゃうことにはニヤリ。スカちゃんとハビエルのベッドシーンなんかは控え目にしたかわりに、キスシーンは各組み合わせをしっかりお届けって感じで。何とも不思議な四角関係。『愛のうた、パリ/Love Songs』や『黒い眼のオペラ』が大好きな私なので、こういう超越路線は結構好きだったりして。親友同士で恋愛観が正反対のヴィッキーとクリスティーナが同じスペイン男を好きになったことでその友人関係が泥沼化するのかと思いきや、それぞれがその男に対照的なアプローチをとりながら、燃え上がったり悩んだり振り回されたりして、結局は同じような線上のひと夏の経験を噛みしめたという着地が面白い。それでも行きたいバルセロナ。オビエドも!
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by CaeRu_noix | 2009-07-08 23:59 | CINEMAレヴュー | Comments(12)
Commented by KLY at 2009-07-09 23:48 x
スカーレットとペネロペ目当てで観てましたんで、2人のセクシーさにクラクラ、ドキドキでした。というかもうそれで満足。観れただけで満足。(笑)
にしても、ニューヨークに帰った2人ときたらなんてドライなんでしょう。情熱の国スペインでアレだけ熱い恋に燃えた2人が…。女性の現実的な一面で浮かれあがった頭に冷水をかけられ、(良い意味で)クールダウンしての帰宅でしたよ。^^;
Commented by CaeRu_noix at 2009-07-10 02:50
KLY さん♪
スカーレットとペネロペ、う色っぽくって魅力炸裂でしたよねー。
映画は古くから女優を美しく撮ってナンボというのがあると思うのですが、意外とそれがちゃんとできていないものも多いですよね。
その点はさすがのウディ・アレン!
同性の自分から見ても、目が釘付けになっちゃう女優のセクシーさでありました。

NYに帰った2人はドライでしたっけ?
2人はあまりにも稀有な濃いぃ体験をそのひと夏で味わって、どっと疲れて半ば放心気味だったって感じに見えた帰国時でありました。
主人公の思いを伝えるナレーションが他人事のようにひょーひょーとしているから、ドライっぽく響くのかもしれないですけど、私は全然そういうふうに感じなかったんです。
ちょっとしたワンシーンでも全然違う受け止め方をしているようで、面白いものですよね。
まぁ、彼女たちは帰国してからは、スペインの出来事のことはあまり思いださないように努めて、日常と未来を生きていくのでしょうけれど、それは自分を落ち込ませないためであって、おのずからドライっていう感じとは違う気がしたんですよねぇ。
ウディの映画ゆえ、そんな傷心も笑いで包まれてしまうのですがー。
Commented by mezzotint at 2009-07-10 10:32 x
かえるさん
こんにちは!TB・コメントありがとうございました。
そうなんですか!またかえるさんに教えて頂き・・・。
てっきりバルセロナがスペインの南なのではなんて思って
おりました。確か地中海に近いですよね?
さらにもっと地中海寄りにカダゲスという村?いや町なのか
わからないのですが、そこでミニプリント展が開催されて
いるのですよ。毎年出品しているので、いつかその展覧会を
観に行きたいという密かな願望があるのですが。
なかなか実現できそうにありません。本作でバルセロナの街を
見るとやっぱり行きたくなりますね。ガウディの建築物がいたるところで
見られるというのも魅力的ですものね。何か映画の話題から
かなり外れてしまいましたが。
ハビエル&ぺネロぺのスペイン語でのバトルは見ものでした。
アメリカでの活躍が多くなったお二人は、英語作品での出演ばかり
にでしたが、今回は母国語が活かされて何か生き生きと演技
しているように感じました。それとあの音楽がたまらなかったですね。


Commented by acine at 2009-07-11 21:37
かえるさん、こんばんは!
低温というか乾いてるように見える(笑)、御大@スペイン夏物語、
なかなか熱かったですね~!
単に、ハビに自分を反映させて、スカとペネロペと一緒に一夏だけでも
暮らしてみたい!という妄想炸裂のような気もしないでも
なかったけれど(笑)、気楽に見るには面白い1作でした。
私、その昔、バルセロナに数ヶ月いたことがあるので、
バルセロナが舞台の映画にはうるさい(笑)んですが、
残念ながら、この映画、単なるバルセロナの名所巡りみたいに
終わってしまったのが残念でした。もっと一杯いいとこあるのになぁ・・・って。
ちなみに、バルセロナはあれでもスペインの中では熱くなく(笑)、
クールで勤勉な街として有名なんです(笑)。もっと熱く濃いアンダルシアあたりで
撮れば、もっとヒートアップして面白かったかな?でもちょっと土着すぎるか・・・とも
思ったりしました。
Commented by CaeRu_noix at 2009-07-12 11:26
mezzotint さん♪
わはは、毎度すみません。
レヴューの真ん中に書いてあったら気づかなかったと思うけど、TBで届いた部分に"南はやばそう"っていうのが見えたもので。
スペインって、全体的に南っぽいイメージですよね。
でも、南といったら、より情熱的なイメージのフラメンコのアンダルシア地方なんですよねー。
カダゲスというまちは知らなかったんですが、ちらりと検索したところ、ツアーの定番コースにも入っているような注目の美しい所らしいですね。
そうか、ここはダリの生まれた場所で「ダリ美術館」があるんですね。
ダリの町だから、そういう展覧会が開催されるのも納得。
いつかバルセロナ旅行をする機会があったなら、是非カダゲスにも行きたいです。
mezzotint さんも是非!

純スペイン映画の配給は年に片手で数えるほどしかないので、ウディアレンがスペインを撮ってくれたのはすごく嬉しいです。
世界にはばたいたスペイン俳優カップルの共演なんてそれはもう素晴らしいですし。
ペネのスペイン語台詞はアドリブで放送禁止用語が炸裂していたそうですね。
アレンの映画はいつも音楽がステキなんですが、今回発掘したサウンドもサイコーでしたねー。
Commented by CaeRu_noix at 2009-07-12 12:23
acine さん♪
御大、確かにカサカサですね。w
わはは、そうか、ウディとハビはキャラクターがあまりにもかけ離れているために、そんなことには全く気付かなかったのですが、低温カサカサ飄々ウディだからこそ実は、ハビのような濃いぃ情熱のラテン男になってみたい願望があるのかもしれませんね。
スカとペネロペ、2人のセクシー美女に愛されるハビの存在は実はウディなのね。そうかもー。

おお、バルセロナに数ヶ月もいらっしゃったのねー。
写真はちらりと拝見しましたが、またじっくり見せてもらいますー。
私は、ずっと前に卒業旅行でちょろっと立ち寄っただけなので、観光名所めぐりな感じでも、なつかしくて充分に嬉しかったのでした。
滞在は1日程度だったから、ガウディ関係の超有名観光スポットしか行っていなく。
本当はもっともっと素敵な場所が他にあるんですねー。
うーん、行きたいー。カタルーニャもガリシアも行ってみたいっす。
アンダルシアも魅力的だけど、ウディ映画にはちょっと似合わない感じなので、乾いたバルセロナでよかったんじゃないでしょうかー。
VIVA、スペインー
Commented by denkihanabi at 2009-07-16 11:39
アントン・シガーが、セクスィーおやじになって出てきたのは驚きました。あの路線のセクスィーは日本にもアメリカにもいませんね。ヨーロッパ的。セルジュ・ゲーンズブールとか。あと、スパニッシュ・ギターの人がセクスィーでした。あのギターを至近距離で彼女に聴かせるのは危険な気がしますね。
Commented by CaeRu_noix at 2009-07-17 02:26
denkihanabi さん♪
アントン・シガーを基準点とすると大変身ですよねー。
私にとっては、『ノーカントリー』のハビエルではなくて、『海を飛ぶ夢』の、『ライブ・フレッシュ』の、『ハモンハモン』のハビエルなので、 キャラクター的にはこれもまさにハビエル!って感じでしたが。
そうですよね。日本人にはこういうセクシィは無理ですよね。それ以前に、どうしてもハビエルがせくしーで魅力的とも感じられないふしもありますしー。
アメリカだと(アメリカ人ではないけど)、ベニチオ・デル・トロなんかも同じ系統のせくしぃ男だと思うのですが。でも、ハビやんの方がもっとラテンならではの濃さをもってますけどね。そうか、よーろっぱ的。
スパニッシュ・ギターはその音色があまりにも素晴らしくて、演奏者のせくすぃーさにはうっかり気づきませんでした。そっかー
Commented by seqtaxus08 at 2009-07-23 09:28
CaeRu_noixさん、はじめまして!Bunkamuraで観てきて、楽しかったので一言。スパニッシュ・ギター、セクスィ〜でしたね。全編、このラテン系のミューズィックとナレーションで軽快にドゥライヴィン。うまく、ウディの魔術にのせられて、こちらも一夏の体験ができたかも。。seq
Commented by CaeRu_noix at 2009-07-23 23:58
seqtaxus08 さん♪
はじめまして、ようこそ!よろしくお願いしまーす。
ご覧になりましたか。楽しい映画でしたよねー。
NYで撮っていた頃にはいつも小粋なジャズを聴かせてくれていたのが、『マッチポイント』ではオペラになって、そして今回はまた一味違う音楽が映画の魅力をアップさせてくれましたよねー。
スパニッシュ・ギター、ステキにせくしーでしたよねー。
ドロドロドラマになってもおかしくないようなストーリーを、ウディならではの軽快さでもって仕上げてくれました。
旅ごころ、恋心誘われる一夏の体験ができちゃいましたよね。
Commented by mig at 2009-08-01 22:54 x
かえるさん

これ好みでしたわ♪
すごくアレンっぽい。だけどアレン出てなくて良かったと思いました^^
どろどろなカンケイなのに小粋な感じがアレン流。
バルセロナ、いきたーい。
Commented by CaeRu_noix at 2009-08-03 00:03
mig さん♪
これ、よかったですよねー。
ウディ・アレンがスペインで撮るなんてかなり斬新で。
ウディ・アレンの映画は基本的に好きだけど、ご本人が出演していないものの方がよかったりしますよねー。
『ギター弾きの恋』とかも好きなんですよね。
これはホント激しくてめちゃめちゃドロドロぐちゃぐちゃな関係のはずなのに、サラリとしていて嫌な感じがしないのがいいですよね。
ラテンの情熱をこんなにさっぱり味に描ける人は希少。
そう、バルセロナの魅力にも恋い焦がれー。
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