
リオデジャネイロの貧民街区“ファヴェーラ”で生まれ育った二人の少年、アセロラとラランジーニャは親友同士だった。
『シティ・オブ・ゴッド』の衝撃は忘れられないよねぇ。決してバイオレンスな映画は好きな方ではないのに、アレは血が騒いじゃったよね。ヘヴィーな内容なのに疾走感いっぱいのテンポが快感で。鮮烈なスタイリッシュ映像にクラクラしちゃったもの。
本作は、その『シティ・オブ・ゴッド』の姉妹編なのだって。(兄弟編?)
冒頭で、ビーチに繰り出す若者たちが映し出される青春映画なノリにワクワク。ラテンの奴らはやっぱり底抜けに元気。そう、普段は仲良しでやんちゃな、決して特別ではないように見える若者たちなのだ。だけど、事件が起きれば、彼らは銃を装備し、たちまち泣く子も黙る非道なギャングの表情を見せるの。
映画のつくりとしては、『シティ・オブ・ゴッド』ほどに斬新な映像、構成の作品ではなく、それほどのインパクトはなかった。こちらの方が、ヒューマンドラマ寄りで、手堅くまとまりのある印象。といっても、決しておとなしくまとまっているということじゃなく、手持ちカメラによる躍動感は健在で、センスのよさを感じさせる気持のいいショットの連続だったな。
ファヴェーラの丘、デッド・エンド・ヒルの一角の映し方にはゾクゾクしちゃった。ブラジル映画『オルフェ』を観た時に、そんなファヴェーラのカリオカの丘の絶景に魅せられたのだけど、『~ゴッド』では、あの急斜面の丘はあまり登場しなくて、そのことが少し残念だったの。でも、今回はロケーションが絶好で、その映し方もバッチリ。高台から街と海岸が一望できたり、坂道の狭い路地での命からがらの逃走劇が繰り広げられたり、その街の輪郭を感じながら、その丘で彼らが生きているっていうことがリアルに伝わってくるの。
少年ギャングの乱闘模様も、ゴッドが痛快なエンタメ的テンションでガンガンいったのに比べると、痛さを感じさせる現実味があった。自分たちの住む街の至近距離でいきなり銃撃戦が始まるなんてたまったものじゃない。激しい銃撃戦が起きても、主人公には当たらないから安心して見てしまうハリウッド映画とは違って、発砲されるたびにハラハラしちゃう恐怖感がここにはあった。本当はギャングになんてなりたくはないのに、敵の組織に命を狙われて、こちらのギャングの仲間になさざるを得なかったアセロラが不憫。
そして、2人の友情物語と父と息子の物語が絡み合って、いくつもの見どころがあり。主人公の二人が、極悪非道のギャングというんではなく、人間臭い悩める若者なのが好感ポイント。まだまだ遊びたい盛りという感じなのに、父親でもあるアセロラの葛藤が興味深かった。生きるって大変だよなぁ。貧困の中、危険と背中で生きるなんて酷だけど、活力にあふれる彼らからは悲惨さを感じたりはしないのが救い。2人の友情と前向きな底力にただただ励まされるのだった。鮮やか、ラテンカラー。

「シティ・オブ・メン」★★★★ ダグラス・シルヴァ、ダルラン・キュンハ主演 パウロ・モレッリ監督、2007年、ブラジル、106分 子供が銃を泣きながら撃っている そんなチラシを見た気がする、 前作の衝撃はそれ程だった、 第一ブラジルからの映画なんて め...... more

“銃と暴力のファヴェーラ・サーガ第二章”・・・そう聞いてしまったら、見ざるを得なくなってしまって。『シティ・オブ・ゴッド』に震えるほど感動し、映画にブン殴られるような思いをしたのが、もう'02年、6年も前のことなのね。... more

普通高台の方が高級住宅街だけど、ここでは高台の方に貧民街があって、高台から見下ろす下界には美しい海と、発展した大都会の街並みが広がってるんですよね〜・・... more
こんなに激しい物語なのに、どこか明るく爽快で。重すぎず、軽すぎずな、このバランス感覚に、ハラハラしながら、それでも楽しめてしまいました。
前作は、衝撃度が高すぎて、正視するには勇気がいりました・・・。
アセロラ役の少年は、『~ゴッド』に出てた少年の頃と、顔が同じでしたね(笑)出てすぐに気づいてしまいました^^v
自分は『~ゴッド』では、ヴァージンシネマだった頃の六本木で見たのですが、英語の字幕と日本語の字幕が出ているのを見ましたが、あれには驚きました。
ヘヴィーな物語なのに、爽快な青春ものな手ごたえもありましたよねー。
アセロラくんの顔はおんなじでしたね。アセロラっていう名前もツボで。
もちろん、『シティ・オブ・ゴッド』のような傑作というんではないけど、これはこれで気に入りましたー。
『~ゴッド』はホントに衝撃的でしたよね。でも、痛さを感じつつ、そのスタイリッシュ映像に血が騒いじゃいました。血なまぐさい映画は上位にくることの少ない私なのに、2003年のベストテンにランクインしましたもの。
そうそうそう、六本木で英語字幕入ってたの覚えてます!
今はTOHOシネマズになっちゃったから、何ヵ所かの劇場で公開されるものがほとんどだけど、その当時は六本木でしかやってないものが結構あった感じで、いそいそと見に行き、さすがロッポンギはガイジンさん多いから、エーゴじまく入るんだなーって感心した記憶ありー。
本作もアミューズの小さいスクリーンじゃなくて、シネコンくらいの環境で見られたらよかったのになー。